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ギリシャ時代から伝わる、世界最古かつ、現代最強の記憶法。

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記憶力に自信、ありますか?

私はないです。近年スマホやPCなどのデジタルガジェットが普及し、外部記憶として使えるようになった為、記憶の価値は相対的に低いものになってしまいました。

しかし、入試資格試験におけるテストでは外部記憶の持ち込みは基本的に禁止なので、記憶力はまだまだ重要です。

もちろん、普段の生活でも記憶力はあった方がいいのは間違いありませんよね。記憶力がちょっと足りなくて「買い物に行ったのに買い忘れがあった」「仕事でのケアレスミス」が起こった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

今回は、平凡な記憶力から2年で日本一の記憶力を身につけた平田直也さんの記憶術を中心に、エビデンスのある記憶法を簡単にまとめていきます。

記憶力を競うメモリーリーグの平田直也さんの成績。
せかいいちとかすごぃ....(僕の語彙力...)
彼は5分でランダムに並んだ数字200個を覚えられるそうです。


■世界最強の記憶術は、最古の記憶術?

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*西暦1511年に哲学者ジュリオ・カミロによって描かれた記憶の宮殿

世界最強の記憶術は「場所法」です。

「場所法」にはたくさんの名前があります。記憶の宮殿(マインドパレス)、Lociのメソッドなど、記憶術について学ぼうとすると必ず出てくるのが、場所法です。

それもそのはず。「場所法」は古代ローマ・ギリシャ時代に開発された最古の記憶法なのです。古いだけでなく最良の記憶法でもあります。当時、デジタルはもちろん、紙やペンを気軽に使える時代ではありません。石碑にいちいち買い物レシピを書く人など、いるわけもない時代です。

「記憶」に最大の価値があった時代だからこそ、最高の方法として開発された「場所法」は、今でも輝きを放つ方法なのです。

メモリーリーグの日本一である平田氏アメリカチャンピオンのジョシュア・フォア氏など、記憶を極めた人材は、必ずと言っていいほど「場所法」をメインの記憶術として使っています。

記憶力に注目する人が少ない今だからこそ、マスターすれば他の人よりも圧倒的な差をつけることができるかもしれません。


■「場所法」のやり方

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場所法は3ステップで行う記憶法です。

①:自分の知っている場所を思い浮かべる
②:覚えたいものを、好きな場所に設置していく
③:場所を辿りながら、覚えたものを取り出す

①:場所馴染みのある場所ならどこでもOKです。

自宅、行きつけの店、学校、職場、コンビニまでの道など、自分の生活に関連している場所の方が記憶が捗ります。

②:設置のステップでは、具体的な場所に記憶を設置していきます。思い出す時の抜けを防ぐためにも辿る順番が大切です。「入り口から時計回りに回っていく」など、自分だけのルールを決めましょう。

入り口→洗面所→キッチン→テレビ...など場所が確定してから、記憶を置いていきましょう。

③:想起のステップでは、置いてきた記憶を辿っていけばOKです。

2〜3週ほどで抜けなく道を辿れるようになります。

記憶は言葉としてではなく「イメージ」として置いていくようにします。

この通り、「場所法」はマスターするまで少し手間が必要です。ただし30~40分あればマスターできますし、1回マスターすれば何度も使えるのでやってみて損はない方法です。

本を読む→書き出すのような一方向のインプットーアウトプット法と違って「場所法」は常にインプットとアウトプットを頭の中で繰り返す方法だからこそ、効率的に記憶を定着させることができます。


■試しにやってみましょう!

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1. 自分の家など、身近な場所をイメージしてみましょう。
2. 「台所」「テレビ」など特徴的な場所を10個決めましょう。
3. 回る順番を決めましょう。おすすめは時計回りです。
4. いよいよ記憶を配置していきます。

■今回覚える単語10個はコチラ!
ボール、教科書、くぎ、氷、ネックレス、ウサギ、歯ブラシ、ハンバーグ、エアコン、花

5. ↑に記された10個の記憶を配置しましょう。
6. 思い出しながら場所を2〜3週辿ってみましょう。

できるようになったら、成功です。

僕も実際にやってみました。僕の場合は5回反復しました。すると3時間後にもこの記憶が定着していました。テスト勉強など、長期記憶に変えたい場合は時間をあけて忘れた頃に復習することで記憶がさらに定着するようになります。

とはいえ面倒だとおもいますよね(笑)
近年はテクノロジーによる記憶力アップも検討されているようです。


■VRで記憶の迷宮を作る

VR空間に記憶したいものを配置して、実際に体験することで記憶の定着を促進する試みは、かなりの成功を納めています。

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Krokos, Eric,  (2019): Fig4より引用

例えば、2018年にMayland大学で行われた研究では、VR空間を使って場所に顔を当てはめて覚えてもらう実験を行いました。

覚えるフェーズでは、左のように顔写真が並びます。最終的に参加者は21個の顔を覚える必要がありました。5分間の記憶タイムのあと、しばらく休憩したのち、画面は右側のように数字に入れ替わります。この数字の適切な場所に、顔を当てはめていくテストが行われたのです。

VR空間を使った参加者の正答率は90.48%と、とても良い成績でした。

このスコアは、デスクトップPCを使った同じ実験よりも優位に高いスコアでした。

2012年にAlberta大学で行われた研究でも、仮想空間を使用することで従来よりも「場所法」をカンタンに利用できるようにすることに成功し、効果的に記憶力を向上させることが出来ています。

したがって、VR環境によって記憶力のブーストができる可能性は高いと言えるでしょう。

最近は、記憶の宮殿を作る専用のVRゲームも登場しています。

さらに、マインクラフトを使って記憶の宮殿を作っている猛者も。

試してみても面白いかもしれませんね!(笑)


■その他の記憶術

問題解決大全」や「アイデア大全」で有名な読書猿さんが古今東西の記憶術についてまとめてくれています。「場所法」以外の記憶術をもっと知りたいという方には読書猿さんのページがオススメです。


■寝ると記憶は定着する?

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近年、「勉強後に寝ると記憶が定着する」のが定説でした。

私たちの身の回りにはイベントがたくさんあります。勉強後にイベントに遭遇すると、それに記憶が影響を受けて、勉強効果が薄れてしまうのです。

睡眠には、記憶をイベントの干渉から保護する効果があるとされています。したがって、勉強後に寝ることで記憶が定着するというのが定説でした。

しかし、2020年4月にUniversity of Tübingenによって行われた最新の研究成果では、睡眠に記憶を保護するような効果はないことが示されています。

彼らは勉強後に「昼寝」した場合、「夜」の勉強後に寝てもらった場合、勉強後すぐに「寝なかった」場合を比較して、記憶効果に差が出なかったことを示しました。

したがって、睡眠と記憶の関係性はまだまだ研究途上。
睡眠時間をしっかり整えることや、脳の栄養状態を整えることの方が効果があると思われます。無理に睡眠時間をいじって体内時計の変化が起きてしまわないよう注意しましょう。


まとめ

「場所法」は世界最古かつ最強の記憶法です。

電子書籍よりも紙の本の方が頭に入っている経験ってありませんか??

紙の本だと、読んでいる位置も明確ですよね。それをカギにして記憶が思い出しやすいのです。あれも場所に関する記憶。私たちの記憶は、場所と明確に繋がっています。

一見、導入が難しいように感じますが、一回覚えたらずーっと使える良い方法なので、ぜひ一度試してみては?

もっと詳しいやり方や練習法は、日本チャンプの平田直也さんの本を読んでみるのがオススメです。顔と名前や口座番号、クレジットカードの番号など、ありとあらゆる記憶を「場所」に結び付ける方法が書いてあります。

記憶力を高めたいワケじゃないんだよね・・・というヒトでも、知識欲がガンガンに刺激されるオススメ本。


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引用

Pöhlchen, Dorothee, et al. "Evidence against a large effect of sleep in protecting verbal memories from interference." Journal of Sleep Research (2020): e13042.

Legge, Eric LG, et al. "Building a memory palace in minutes: Equivalent memory performance using virtual versus conventional environments with the Method of Loci." Acta psychologica 141.3 (2012): 380-390.

Krokos, Eric, Catherine Plaisant, and Amitabh Varshney. "Virtual memory palaces: immersion aids recall." Virtual Reality 23.1 (2019): 1-15.

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