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【恐竜】世界初の恐竜は福岡でも発見。超巨大ペンギンと始祖鳥の謎に迫る。【歴史】
科学者が恐竜の研究を始めたのは
1820年台と言われている。
思ったより最近じゃない・・・?
西郷隆盛が生まれたのが、ちょうど1828年。彼はカメラに映るのが嫌いだったという話はあまりにも有名。
そう、1800年台とは、カメラも実用化されていた時代なのだ。
紀元前2億年も前からいたと言われる恐竜が初めて発見されたのが、1800年台。あまりにも最近だったと思わないだろうか??
恐竜について知られていることは、あまりにも少ない。恐竜が面白いのなんて子どもっぽい??いやいやいや!
大人だからこそ、本気で楽しめるテーマだぞ!!
今回は、恐竜と彼らの驚きの生態について深堀りしていこう。
■世界初の恐竜:メガロサウルス🦖
世界初の恐竜の発見はイギリス。メガロサウルスの化石だった。
1842年にはイギリスを代表する古生物学者のリチャードオーウェン卿が「恐竜」という言葉を作り出し、一世を風靡したのだ。
世界で初めて発見された「メガロサウルス」
実はメガロサウルスは日本でも化石が見つかっている。
福岡県でメガロサウルスの歯が見つかっており、石川県、群馬県、福島県、岐阜県など日本のあちこちでいろいろな部位の化石が発見されている。もちろん当時の地理状況とは異なるが、現在の日本列島全域にわたって、メガロサウルスは生息していたのだ。
■恐竜の分類法、最新の科学でも結論出ず🔬
恐竜は最近まで、大きく2つに分類するのが普通だった。
・鳥に類似 :Ornithischia -鳥盤類-
・トカゲに類似:Saurischia -竜盤類-
超!シンプルに!説明すると!
竜盤類は骨盤が前向きについており、鳥盤類は後ろ向きについていると言われているらしい。特に鳥盤類は骨盤の形でグループの派生を示すことができる為、有効な分類法だと考えられている。
しかし、この2分類法は大雑把な分類法だ。重複してしまったり、”その他”に分類するしかないような種もたくさんいる。要するに不完全な方法なのだ。
実は、恐竜の分類法については近年でも盛んに論文が発出され、アカデミックでは大きな論争を呼んでいる。
2017年にnatureに掲載された恐竜の系統樹がこちら。
*1)Figure1 より引用改変。拡大してみた方がおもろいで。
この論文が掲載されたのが2017年とごく最近。そのことからも、恐竜の分類法にはいくつもの論争が繰り広げられていることがわかる。また、Wikipediaなどで調べると分かるが、ある記事では獣脚類に分類され、ある記事では竜脚形亜目に分類されるという種も存在し、かなりごちゃごちゃしている。
とはいえ、この系統樹は私のような素人を納得させるには十分な説得力を持っている。実際、この分類法は私たちの感覚にもよく合っているように思えないだろうか?
系統樹の右側に”鳥盤類”というワードがあるのが分かるだろうか。
そう、現在の鳥たちは2億年前の恐竜の子孫なのだ。
非常に迷惑なことに鳥類は”竜盤類”の子孫であり、
”鳥盤類”の子孫ではないことが判明している。
ややこしいわ!
細かい分類は今はどうでもいい。
「鳥類が恐竜と密接に関わっている」
その事実だけで十分世界は面白くなる。
さて、5,000~6,000万年ほど前には私たちの良く知る鳥がすでに生まれていたことが明らかになっている。なんだと思う?
そう、「ペンギン」だ。
■絶滅した、超巨大ペンギン🐧
2019年8月、驚くべき論文が掲載された。ニュージーランドにて超巨大ペンギン:Crossvallia waiparensisが発見されたのだ。超巨大ペンギンは、大きさ1.6m、体重が70~80kgと推定された。
実は現代のペンギンにも大きい種が存在する。
「コウテイペンギン」だ。
https://www.hoshizaki.co.jp/penguin_island/penguin/html/emperor.html
より引用
コウテイペンギンは115cmあるので、そこそこ大きい。
水族館で見ても結構大きなサイズだ。
しかし、超巨大ペンギン:Crossvallia waiparensisの大きさは、160cm。日本人女性の平均サイズが158cmと言われているので、ほぼ同じである。
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-7354959/Giant-penguin-fossil-New-Zealand.html より引用
一番右が、今回見つかった超巨大ペンギンである。
これは怖い。
超巨大ペンギンがいたら、ちょっと水族館にはイケナイ。
ペンギンが嫌いになりそうだ。
実は、現在のニュージーランドにはこの写真のような様々な巨大動物が存在し、その化石が発掘されている。人間、ちっちゃ。
こうした過酷な環境では農業もできず、住居を構えて文化を発展させることもできず、人間が現在のような高度な文明を気づきあげることはできなかっただろう。運に感謝である。
ともあれ、5,000~6,000万年にはサイズ感が違うとはいえどペンギンが進化し、今と同じような姿かたちを獲得していたと考えると、おもしれ~。
さて、原始の鳥と言えば、始まりの鳥。
「始祖鳥」について知りたくなってくる。
■恐竜と鳥類のミッシングリンクを埋める始祖鳥🕊️
始祖鳥とは、
その名の通り鳥という種の始まりを伝える鳥。
学名はアーケオプテリクスである。かっこいい。
始祖鳥の化石が発見されたのは、ちょうどダーウィンが進化論を発表した1年後。ダーウィンが進化の中間段階が存在する事を発表していたその時、始祖鳥は発見された。
始祖鳥は鳥と恐竜の進化の中間におり、恐竜の獣脚類と始祖鳥には密接な関連がある。
獣脚類の恐竜と、始祖鳥は足の指が3本、手や胸の形態、前足と後足の形態、椎骨、頭蓋の構造など、骨格が非常に似通っているのだ。
つまり、始祖鳥は恐竜と鳥類のミッシングリンクを埋める重要な種なのである。研究者にとって、これほど面白い研究対象はない。
さて、始祖鳥を談ずるとき避けて通れない問題がある。
「飛べるか、飛べないか」だ。
■飛べるのか飛べないのか問題で白熱する🦅
鳥類は”竜骨突起”という骨を持っている。
鳥が飛べるのは、非常によく発達した大胸筋にある。
僕たちがどれだけ頑張って筋トレして大胸筋を鍛えて、翼っぽいなにかを装備したとしても、決して飛べるようにはならない。
しかし鳥は、その圧倒的な大胸筋で飛ぶことができる。その巨大な筋肉を支えるのが「竜骨突起」だ。
翼をもつ鳥類は竜骨突起を備えている。ペンギンは飛べないが、それでも水中で羽ばたき推力を得るために竜骨突起と発達した大胸筋を持っている。
走ることに特化したダチョウは、この竜骨突起を持っていない。
彼らはそのせいで飛べないのだ。
さて、始祖鳥の話に戻ろう。
始祖鳥にも「竜骨突起がない」
始祖鳥が飛べたのか、飛べないのか問題の根本は竜骨突起がないことに起因している。竜骨突起がない以上、大きな大胸筋を支えることが出来ず、飛べなかったのではないか?という意見を完璧に突き崩せる証拠は存在していない。
しかし、始祖鳥が空を飛べていたという証拠もいくつかある。
例えば、始祖鳥の翼の骨の強度は飛行に十分なものだったという話や、血管の量が多く、現生鳥類と類似している点などである。
そんな中、最も興味が湧いたのは、
「脳のスペック」についてである。
■CPUが優秀じゃなきゃ、飛行はできない👨💻
飛べたかどうかを含めて、その生物がどんな能力を持っていたかを考えるには、骨格の分析だけでは当然限界がある。
技術の進歩によって、その形態をもっと詳しく知ることができるようになった。
そう、始祖鳥の頭蓋が2004年にロンドン自然史博物館の研究者たちによってCTスキャンされ、徹底的な分析にかけられたのだ。
始祖鳥の頭蓋のCTスキャン画像
https://www.nature.com/articles/430619a
Figure.2 より引用
その結果、始祖鳥の脳は、爬虫類よりも大きく、現生鳥類よりは小さかったものの、基本的に鳥と同じような構造を持っていることが明らかになった。さらに、視覚野が優位であり、平衡感覚を司る内耳管がよく発達していることも判明した。
飛行機を飛ばすときを考えてほしい。
自分の速度や高度、傾きを処理できなければ、離陸も着陸もできないだろう。飛行中の墜落だってあり得る。それでは生物としては欠陥品だ。繁栄できたはずがない。
飛行には高度な処理装置が必須だ。この論文は、始祖鳥の脳が飛行に十分な処理能力を持っていたことを示している。
竜骨突起がなく、大胸筋が十分に発達していなかったとしても、グライダーのように滑空を主とした飛行をしていた可能性は十分に考えられる。
恐竜から鳥への進化の狭間にいる始祖鳥は、陸生生物より優位だが、流暢というには拙い飛行をしていたのかもしれない。
まとめ
恐竜について調べてみるの、おもしろそ~と思って調べ始めてみたら、あまりにも面白くて日曜日が丸つぶれしてしまったじゃないか。
論文や様々な文献にあたるのは面白いですが、相当根気がいるので手っ取り早く大量の情報を知りたいヒトは、本を見るのがオススメ!(笑)
恐竜・ペンギン・始祖鳥と、調べれば調べるほど面白い話題。
しぇあしてくれてもええんやで。
🐱🏍 Twitter : https://twitter.com/hagakun_yakuzai
引用
1.Langer, Max C., et al. "Untangling the dinosaur family tree." Nature 551.7678 (2017): E1-E3.
2.Mayr, Gerald, et al. "Leg bones of a new penguin species from the Waipara Greensand add to the diversity of very large-sized Sphenisciformes in the Paleocene of New Zealand." Alcheringa: An Australasian Journal of Palaeontology 44.1 (2020): 194-201.
3.Ostrom, John H. "Archaeopteryx and the origin of birds." Biological Journal of the linnean Society 8.2 (1976): 91-182.
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