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ふたごの無精卵ともう来ないあの夏の0519

 
ベーコンのうえに割ったたまごがふたごだった、 わぁ、ふたご!って思わず声に出しちゃったけど、いままでのわたしだったらたぶん、写真を撮ったりはしなかった、
すぐにスマートフォンをとりにリビングへ走って、食べ物を撮るのにぴったりのアプリをひらく、こいびとに写真をおくるためだった、
わたしがすきなのは結局いとしいひとたちであって、美しい景色ではないのだとおもう、美しいわたしではないのだとおもう、だれかと分かち合うためにしか、だれかとあいしあうためにしか、美しさも醜さも使えない、
わたしは、例えばたったひとりの世界で、着る服を上手に選べない。

 
すきなひとと引き換えにでも詩情をえらべるひとこそがシジンなのだと思ってた夏、テンサイ、みたいなだれかに好き勝手に輪郭を描き足される夏、が、またくる前の雨、頭がいたい、もうおなじ夏は二度と来なくて、それがうれしい、
頭がいたくてもいたくなくても、きみがいてもいなくても、しあわせでもふこうでも、詩をかくこと、テンサイ、に、なれなくてもいいと思えるまでもうすこしかかりそうな、湿度、そう、温度はひくいのに湿度はたかい、のが、わたしだとおもう、じめじめしてんのもやになっちゃうけど、乾いた夏に苛立つ、のが、そのあかし。
 
  
永遠じゃないの、わかってても、永遠みたいな顔でずっと居座っていたかった、あつかましく、うつくしく。
かりそめの永遠だってわかちあいたかった、あなたと、あの子と、きみと、そう、これを読んでいる、きみと。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。