9月の亡霊にならないための梨たち(0907)

いただきものの梨を食べた、もう9月なんだね、きっと秋なんだね、なんだかやけに涼しくなってしまって、暑いのにはもう飽きていたからうれしいんだけどすやすやと眠り呆けてしまう。毛布のやわらかさばかり詩にしたくなるからやめてほしい、眠れない夜も眠りすぎる夜もおなじだけ美しいって早く気づきたい、夜にばかり答えがあるような気がする、どこにもないのに、答えなんてどこにもないから、考えこむのが好きなのにね。
数学だって嫌いじゃなかったあのころ、数学が嫌いなふりをしなきゃ生きていられなかったあのころ、の、わたしはそういえばもっと眠るのが苦手だった。 
  
 
とくに誰と会うわけでもないくせに文章のひとつも書かずに1日を終えてしまった日、やけに虚しく苦しくなる、生活がままならないから詩を書くんじゃなくて、詩を書いていないと生活がままならない、ようになってしまいたい、
眼鏡の左端がほんの少し曇ってる、新しい眼鏡がほしい、縁のうすい、丸めのフレームの眼鏡、けれどどうせ君に会うときはしないから、どうだっていいような気がしてしまう、どうだっていい生活、まで、愛せるだけの隙間がどこにあるか、探したさきで、君に会いたかった。
 
 
君に、だれかに、可愛いと言ってもらうためだけのすべて、それだって自分のためでしかないのに、自分の好きを貫いた方がいいよ、なんて言われたらつまんない気持ちになるだろうな、って、言われてもないのに考えながら髪を切るならどうしようかと悩んでいる、
日常に溶け込んだ季節に、振り回されない自分が大抵うつくしくて、たまにくだらない、
詩になるまでに丁寧に丁寧にやさしく頭の中で激情を暮らさせている、音楽も聴きたくないから、調子が悪いのかもしれない、悪くたってなんだって書かなきゃやってらんない、ようにやっぱりなっちゃいたい、
なくたってどうせ死ねないけど、ないと何もかもままならない、君と詩の、共通点ばかり探している。
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 

生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。