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1104回目の朝はあのカフェでモーニングを食べようね

 
逃避を幸福と呼ぶのをやめたくて、夜な夜なナイフを研ぐことだけが日課になる。
  
 
刺したいひとたちはみんなみんなあたしのことを知らない、だからまだ太陽は昇らないでほしい、なのにいつも不躾に空は明るくなって、あたしは終点に近づいていくから、降りる駅が決まっていないことに焦りだす。
 
 
 
自分が乗る列車のことを環状運転だと思っているひととは多分仲良くなれない、
仲良くなりたくないの間違いでしょって、笑ってくれる、あたしが仲良くなりたかったひと、
世界には、好きなひととたくさんのどうでもいいひととほんの少しの嫌いなひとがいる。
お前の世界は狭いよと嫌いだった先生みたいな顔で言うひとの世界の狭さ、誰にも教えてもらえなかったの、可哀想。
 
 
 
書いているのが詩であるのかそうでないのか、あたしにも分からなくなってしまいたい、
詩人だと名乗らなくても、詩人だと呼ばれなくても、研いだナイフで刺されたひとがその表面のきらめきに気づいてしまえばいい、
大好きな女の子と彩りよく盛られた野菜を食べたカフェの、レースカーテンから漏れ出す光のことを思い出す、羽根の刺繍がかわいいカーテンだった、
太陽が昇っていてよかった。
 
 
幸福が光だということ、だからその後ろには柔い影がいつもできるということを、
分かっているからあたしとあの子は仲が良くて、それからあたしもあの子もとびきり可愛いのだ、

 
買ってしまったワンピース、早く着たいな。






 
 

生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。