ひとりとひとりのふたりぐらし
いっちょ前に健やかなふりをして白湯を飲むところから1日は始まる、
100円ショップで100円じゃなかったキラキラのマグカップは大きさもちょうど良くて、レンジに入れても大丈夫だから気に入っている。
イチゴ柄のパジャマを引きずったままねだると、こいびとが食べていたピーナツクリームのコッペパンを3分の1くらいちぎって渡してくれた。
やわらかい甘さが心地いい、このあいだ食べた紅茶味のフレンチトースト、おいしかったな。また買いにいこう。
ぼーっと考え事ばかりしているから、カフェオレに牛乳と間違えてオレンジジュースを注いでみたりしながら生きている、
今日の夕飯は異国の人がやっている八百屋さんで買ったトマトと野菜をごちゃごちゃに入れたお味噌汁だった。
目下の目標はとりあえず、ひとめぼれしたズボンがかわいく履きこなせるように痩せることだよ。
ダイソーで買ったヨガマットが部屋の隅で丸まっている、くすんだ水色のヨガマット。部屋のインテリアをぼんやり眺めると、自分が思ったよりも青色が好きだってことに気づいたりする。
いくつかある小さな観葉植物はこいびとの趣味で、窓のそばで太陽のほうに向かって首を伸ばす姿がかわいい、生き物が育つところを見ていたいから花を飾ることには興味がないらしい。
わたしはずっとほしい陶器の花瓶があって、それを手に入れられたら花のある生活をはじめちゃおうかなと思っている。
造花でもいいな、キラキラの、枯れない造花。
わたしみたいにわざとらしく光って、図太いのに繊細なふりをする、かわいい造花。
飾りたい花のことを考えられるくらい、どうにもならないくらい平和だから、生活がぼやけていてあんまり鮮明じゃない。
幸福って鮮烈な光みたいなものだって思ってたけど、眠たくなるような春の風みたいなものなのかもしれない。
眠ってしまいたくないな。いつになったら、眠りたいと思えるのだろうか。
眠らないために書いた詩がわたしより先に眠ってしまうのはさみしいから早く起こしてほしい、
目覚ましはいつまで鳴らないんだろう、
いつまで、夜は続くんだろうか。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。