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夜のけものはひとりじゃなけない

 
好きなひとと会った帰り、駅から家まで、歩いて10分もかからない夜の道、薄手のオーバーサイズのジャケットを羽織ってちょうどいいくらいの涼しさ、雨はやんでいて、濡れたコンクリートがぽつんとある街灯でひかっていてきれいだと思った、ら、帰りたくない、と、低めのヒールを履いた足が速度をゆるめていた、先週のことだった。すぐ、そのまま、帰ったんだけどね。だってどうやっても、明日は来るんだし、ろうどうをしなきゃ、そういう時間すら、ままならないから。
わたしはこの家にいるあいだのわたしが、好きじゃなかった、好きなひとや、ともだちといるわたし、あとは大海明日香のことが、こんなにも好きなのに、いちばん時間の長いここのわたしのことだけを好きになれない気がした、
ううん、自分だけじゃない、ここにいるあいだ、わたしは、なにもかもを、きらいになってしまいそうになるときがある。
 

しあわせなことだと思う、好きな自分で、好きなひとといられる、着飾っているあいだはちょっとだけ自分のこと可愛いと思えたし、それで十分じゃん、そういう時間を増やしていけばよかった、しあわせってそういうことだった、今日明日にはどうにもなんないことだけど、そのために生きればよかったし、生きているはずだった。
ぼんやり足元の写真を撮ってから何日も経っているの、だれにも責められないこと、書いたって書かなくたっていいって、言われたいけど言われたくない。

 
 
梅雨だからかな、毎日ぼうっとするような、ねむたいような心地、昼間はなんとかやりすごして、夜になったらみんなでけものになろう、みんなでならないてしまえるかもしれない、わたしたちは群れをなすいきもので、孤独がなによりわたしをみじめにするって、離れるたび、気付いてしまうようなひと、愛だの恋だの、なにもかも、詩にしたらわらうだろうか。


生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。