自分の理想の世界を言語化するということ
先日、100社以上の企業のブランディングにCBO(最高ブランディング責任者)として携わってきたチカイケ秀夫さんに「アーティスト・クリエイター向けのセルフブランディング」についてお話を伺いました。
こちらが内容のまとめ記事です。
こちらのインタビューの間、私自身の経験について質問され、改めて自分が何をしていきたいのかに向き合うことができたので、今日はそちらについてまとめます。
私自身はアーティストとして「社会治療」という医療概念を考えているのですが、社会治療は個人に向かっていた医療を個人が暮らす環境にも目を向けるという意味合いの概念です。
病気を治す時に、個人だけでなく、その人が暮らす環境と合わせて治療することを考えるのだけど、その環境の治療には、医療従事者だけでなくて周りにいる人たちみんなの力が必要だよね、という感じです。
自分が暮らす社会を癒して、社会から自分が守られる、みたいなイメージでしょうか。
インタビューの途中に、自分が幼い頃に1か月半ほど入院していた体験が出てきたのですが、この体験のおかげで私は病院がとても好きなんです。病院で働くみなさんに良くしていただいたというのもありますし、子どもで病気だったから、失敗しても誰にも責められなかったんですね。おねしょがなかなか抜けなくて、毎日おねしょしてたんですが、病院にいる間は怒られなかったんです。
自分にとっては病院が自分を守ってくれる場所でした。
そこで出てきた自分の想いは、
『守られていると感じる、誰にも責められない世界をつくりたい』
っていうことだなと。
大人になると失敗がなかなか許されないものになってきます。特に医療現場でのミスって大変ですよね。ただ、重い病気や介護が必要になった時、家族や医療従事者だけで命を抱えるのもなかなか大変なんじゃないかなと。みんなでちょっとずつ命の責任を抱える代わりに、自分や家族・大切な人たちに何かあった時も守ってもらえるような社会環境があるといいなって思うです。
ただ、それが具体的になにか、という手段の部分は今のところははっきり見えていません。創作を通じてそれが実現できるように、創作を通じて病気や介護など医療の意味合いを変えられたらいいなと考えているところです。自分自身が創るものは、自分を絶対に責めないし、自分にとっての癒しになりますからね。
もう一つ、家族というものについて。
自分の理想の家族っていうのは血の繋がりよりも「他人の集合体」なんですね。血の繋がりによって生じる義務や責任を薄めて、もっと違う形の家族関係がつくれないかなというのを思っています。
家族だと思うと、ご飯の準備や掃除してくれたことに対して感謝が薄れますが、他人がやってくれたと思うと、自然と感謝が大きくなる気がしませんか。
高校生くらいの自分は家族ではなくて「他人の集合体」として同居したほうが生きやすいのではないかと考えていました。最近はシェアハウス暮らしとかが増えてきてますが、シェアハウスはまさにそんな感じかもしれません。家族ほどの義務はないけど、困ったことがあったら頼みごともできる。
海外のアーティスト・イン・レジデンスに参加してると、だいたい大きな家でシェア暮らしなんですね。(お掃除の人が週1とかで来ることが多かったので、掃除でケンカみたいなことがなかった)
これまで自分が創作活動で孤独を感じることが少なかったのは、部屋でもくもく作業していても、家には誰かがいたし、なんかイベントがある時には一緒に行こうと呼んでくれることが多かったからかもしれません。レジデンスだと定期的になんかしらのイベントが行われることがあって、自分が何かしなくても勝手に何か起こってたんです。ほっといてもイベントが勝手に発生する人の気配のある空間ってとてもいいですね。
生涯、こういう環境に暮らせたら自分は幸せかもしれません。
自分が価値を感じるのは「新しい体験」
入院生活を終えて家に戻った時、「そこに住んでいたことは覚えているのに、家の周りや家の様子を全く覚えていない」ということに感激したのをいまだに覚えています。
もともと自分がいた場所の景色がまったく新しく感じました。自分が物語を好きなのは、コストをかけずに一瞬で全く違う世界、味わったことのない世界を見せてくれるからなんですよね。体験型のアート作品が多いのもそのためです。
まだ体験したことのないことに希望や可能性を感じますし、日常の中で気づかなかったことや、これまで知らなかった価値観に面白さを感じます。自分が創るものからそういう体験を味わって欲しいと思うのと同時に、人が創る文化を伝えていきたいなというのもあります。
みじんこが人に寄り添える家族になるといい
誰かを責めることがないものは何かというと、それは「創作物」だと思うんですね。自分の創作物がもっとも自分を責めません。自分の創作物が自分を守ってくれればいいんですが、自分の創作物が自分を守れるようになる前の段階を、みじんこが寄り添えるといいなと思っています。
未知なる体験と守られる感覚、血の繋がりではない家族関係。
この辺りの想いを自分の創作にどう具体的に落とし込んでいくか。どの企業も分かりやすいミッションに落とし込めているので、自分がいつも覚えておいて、指針にできる言葉としてまとめていきたいなと思っています。
最近はインスタグラムに新作アップすることが多いので、もしよければのぞいてみてくださいね!