11月の最終日「おてがみ交換」
11月も今日で最後。明日からは12月だ。街はすでにクリスマス気分。あちこちから思い出したようにジョンの声は聴こえないけれど、ビートルズの新曲は何度か聴いた。スーパーやコンビニなんかでは気の抜けたインストカバーがさらに気の抜けたクリスマスソングに変わるころだ。余計なお世話だけれど、そこで働いている人たちは気が狂いそうにならないのだろうか。
今日はいつもよりすこし遅めに帰宅。お風呂に入ってから一人夕飯を食べていると、娘が以前に僕が書いた手紙を音読し始めて、何を思ったのか「ねぇ、パパ。アイフォンでじかん、はかって」というので、アレクサに言ってタイマー機能を使う。「ごじゅうびょうでよんでみる」というので、アレクサ、50秒測って、と言う。
ここ最近、お手紙を書くのが好きなようで、貰い物のレターセットで時折、書いている。僕もこの前、お手紙交換をした。保育園のお友達から貰ったりもしていて、女の子っぽいな、なんて思う。僕が子供のころは、そんなことをした記憶はない。忘れているだけだろうか。
50秒は少し短かったようで、読み終える前にアラームが鳴ってしまう。悔しそうに次は「ろくじゅうびょうにして」というので、アレクサに「アレクサ、60秒測って」と言うと、アレクサが「一分のタイマーをスタートします」と返してきて、「ちがう、ろくじゅうびょうだよ!」と言うので、「一分って、60秒なんだよ」と教える。「じゃあ、いっぷんとさんじゅうびょうがいい」と何故か言うので、一度キャンセルして、一分三十秒で再度タイマーをかける。何度かトライしていくうちに読み慣れてきたのか、おおよそ60秒くらいで読み終えることが出来てきた。そのことを伝えると、「じゃあ、パパ。ごじゅうびょうにして」と言う。リベンジだ。タイマースタート。無事に時間内に読み終えることが出来た。
洗濯したシャツが溜まってきたので、食器を片づけてアイロン台を準備していると、寝室へ行く娘が「パパ、ココちゃん(娘のことです)、ごじゅうびょうでよめたよね」と少し照れくさそうに、でも得意げに言うので、「うん。読めてたよ。すごいね」と言うと、満更でもない笑顔で寝室へ。おやすみ、と言って僕はアイロンがけをする。
自分の部屋に戻り、仕舞っておいた娘からの手紙を読む。ひらがなとカタカナだけで、その字はまだ拙いけれど、でもちゃんと読める。
『パパ いつもありがとう だいすきだよ リカちゃんかってくれて ありがとう けっこんわできないけど ずっといっしょにいてね』
僕と娘の絵とハートが描いてある。人が歳を取ることを理解し始めたのか、最近はパパと結婚しようというと、「ココちゃんがおとなになるころには、パパおじさんでしょ」だからダメなのだそうだ。