消えたスマホ
昨日の夜、カタンという音と共に
スマホが消えた。
物体が消えるという物理とは?( ˙༥˙ )
や、カタンいうとるし
明らか落ちたやろ。
マットレスをずらすと
床が光ってるのが見えた。
だよね。
落ちてんじゃん。
落ちたという事実のみじゃん。
ベッドの下がスノコみたいなのになっていて
板と板の間から光が見える。
「拾わなくては。」
その板の隙間から手を入れた。
メリメリと床に伸びる手。
やった。
指先で掴めたぞ。やった!
………………痛い。
スノコの幅は、
ちょうどあたしの手首と同じだった。
戻れない。
もう、スマホが消えたあの瞬間には、
下に落ちただけだという安堵には。
しゃがんで右手を伸ばした体勢で
時が止まった。
どうしよう。
救急車?
警察?
SAT?
こういう時は誰を呼べばいいんだ。
ボールを追って無我夢中になって
フェンスから頭だけ抜けなくなる
そんな犬の動画を思い出した。
いやだ。
いい大人なのに犬と全く同じ症状だ。
いやだ。
このまま右手を下にして老いてゆくのか。
いやだ。
しばらく頭をフル回転させ
良い事を思いついた。
よし。
無理やりやってみよう。
それしかない。
近くにオイルのような追加アイテムも無いし
何かを使うのは不可能だ。
少ーしずつ、腕を動かしてみる。
痛い。
コーティング加工も何もない
ただの板にぴったり挟まれているのだ。
痛い。
恐る恐る、横にスライドさせてみる。
痛い痛い痛い。
ナチュラルなリストカットやめて?
動けない。
だがしかし、このまま痛みも無く
逃げ切れるとも思えない。
覚悟を決めろ。
頑張れ。
やるんだあたし。
愛と勇気だけが友達さ。
やかましいわ
さっさと助けに来いアンパン。
このままで良いのか?
良い訳が無い。
生活……人生に支障しかない。
いけ!
やれる!
お前ならやれるぞ!
ぬぉぉぉぉぉ!!!
( ;ᵕ;)
抜けた。
痛い。
めっちゃ痛い。
血は出てないけど
皮が剥けて赤くなってる。
無言でメンタームを塗り込む。
深夜に何とも言えない感情が込み上げる。
大人しく床ワイパーとかで
ベッドの下から拾うべきだった。
皆さま。
これが、かの有名な