亡き人の最後の涙

亡き人の最後の涙 / Emahoy Tsege Mariam Gebru

亡き人の最後の涙は
落ちて環状に広がる
輪っかの模様の中に1人
外からあいつがみている
あいつも涙
それは青だったり緑だったりするけど明らかな作為的な色
はっきりとしている
水がぶつかる様々な音の中で儚さを思ったことはあるか
水の中にある洞窟には光がさしていた
歩いて入っていけそうな距離に季節が渦巻いている
誰もが一途に思い続けていたいと思う空の中で

昨日の散歩で見つけた路地裏の植木と対峙していた

あのおばさんちの味噌汁の匂いが漂う頃
外のこの色に染まっていたい気がして溶けていく
マスカットは秋が旬の終わりらしい
まだスーパーで売ってるかしら

例えば私がマスカットだったら、緩いスラックスを履いたおじさんに食べてほしい
一房から5,6粒の房をちぎり取り、それを片手に街を出歩く
マスカットの透き通った緑とスラックスの色がリズムを生んで浮き足立つ
あの人にもマスカットと精一杯の誠意を