FIPウエットタイプ(滲出型)の仕組み
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今回はウエットタイプ(滲出型)の仕組みと、
関係してくる免疫反応の一部をご紹介させて頂こうと思います。
治療には関係ありませんので、興味のある方だけご覧下さいませね。
・初めに
筆者はFIPの論文などに出てくる免疫反応や、
それを引き起こす物質などの各名詞から、
それぞれの情報をひとつひとつ調べていくという形を採っています。
なので参考にしているのはFIPに関する資料だけではなく、
FIPによって起こる免疫反応や、
それを引き起こす物質に関する資料が多くあります。
免疫反応は何か一つの物質で成立することは決してなく、
種々の物質の連鎖反応によって、複雑な過程を経て成立します。
よって、ひとつの名詞を調べれば、それに関する多くの免疫反応や、
それに関する物質を調べていく事となります。
その為、筆者が調べている情報には実際にFIPとどこまで関係してくるかの解明がなされていない情報が含まれている可能性がある事を、予めご了承下さい。
また、興味はあるけどお時間のないという方は、
各項目にある「簡単なまとめ」をご覧下さい。
1.ウエットタイプの仕組みと液性免疫
FIPのウエットタイプは、「液性免疫」が過剰に働いた事で
「III型アレルギー」を発症して起こります。
液性免疫とは、花粉やウイルスなどの異物を排除する為の
「抗体」を産生する免疫反応の事です。
※
「液性免疫 - Wikipedia」
「アレルギー - Wikipedia|Ⅲ型アレルギー」
異物(抗原)を体内で見つけると、その異物に対しての抗体を作り、
捕まえると「抗原抗体複合体(免疫複合体)」となります。
それを処理させる為に、
食細胞である「マクロファージ」に貪食(どんしょく)させます。
これを【食作用】と呼びます。
※「食作用 - Wikipedia」
FIPで言えば、FIPV(Vはウイルスの頭文字)を抗体が捕まえて、
それをマクロファージに食べさせる訳です。
本来はマクロファージがここで異物を処理分解してくれるのですが、
難しい事にFIPVはマクロファージの中で生き残り、体中に巡ります。
※「猫伝染性腹膜炎の予防薬および治療薬の開発」
-以下本文一部抜粋-
FIPV 感染では、ウイルスが抗体と共にマクロファージに取り込まれることでウイルス感染の増強およびTNF-αの過剰な産生が起こる。
-抜粋終了-
つまり、本来はウイルスを殺して食べてくれる免疫細胞のマクロファージが乗っ取られてしまい、逆に体中へウイルスを運ぶ役割を担うのです。
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簡単なまとめ
1.液性免疫はウエットタイプの原因
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2.液性免疫は抗体を作る免疫
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3.FIPのウイルスはマクロファージの中で生きられる
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4.「ウイルスを捕まえて合体した抗体」を
食べたマクロファージが、ウイルスを体中に運ぶ
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・水の貯留と生きる為の栄養素「アルブミン」
更にこの「抗原抗体複合体」は血流に乗って血管壁に沈着、
傷付けて血管炎を起こし、血液中の水が漏出して各所に貯留します。
これが場所によって、
胸腔であれば「胸水」
腹腔であれば「腹水」
心膜であれば「心囊水」
となります。
しかもこの浸出液には「生命維持の指標」とも呼ばれる、
生きていくために必須の栄養素である「アルブミン」が流れ出してしまっています。
腹水を抜いたら一気に衰弱して亡くなったと言う話を聞いた事があるかも知れませんが、つまりアルブミンを一緒に抜いてしまったからです。
【特集記事】癌性腹水の苦痛を緩和する「KM-CART」 | 再発転移がん治療情報
-以下本文一部抜粋-
腹水はただの水ではなく、アルブミンや免疫で重要な役割を担うグロブリンなどが大量に含まれているため、腹水を抜くと栄養状態だけでなく免疫機能が急激に低下し、特に終末期では死を早めることさえあります。
-抜粋終了-
この事からもお分かり頂けると思いますが、
アルブミンは正に「命の値」です。
更にこのアルブミンは血管内に水を引き戻す力があるので、
アルブミン豊富な高蛋白食で補ってあげて下さい。
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簡単なまとめ
1.「ウイルスを捕まえて合体した抗体」が
血管を傷つけて血液の水分が漏れ出した物が、「腹水」や「胸水」になる
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2.アルブミンは生きる為に特に重要な栄養素
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3.腹水や胸水などの水の中にはアルブミンが流れ出していて、
水を抜くと栄養失調で衰弱死しやすい
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4.アルブミンには水を体へ戻す働きがある為、
お肉などの高蛋白でアルブミン豊富な食事は水を体へ戻してくれる
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・FIPを助長する液性免疫
つまり抗体を作り出す液性免疫は通常、
FIPにとって有効に働くどころか悪化の原因にしかなりません。
ウイルスへの抗体を作って捕らえ、抗原抗体複合体になる
↓
体の中を漂っても:
傷付けて血管炎が起きて水が溜まる
生きる為に必要なアルブミンが流れ出す
マクロファージが貪食しても:
乗っ取られてウイルスの住処になる、増える、体中に運ぶ
こういう図式になってしまうからです。
抗体は産生した数だけウイルスの住処になりますし、
水も増えてしまいます。
ウエットタイプの進行が早いのは納得としか言えませんよね。
「猫伝染性腹膜炎の予防薬および治療薬の開発」
-以下本文一部抜粋-
FIPV感染では、ウイルスが抗体と共にマクロファージに取り込まれることでウイルス感染の増強およびTNF-αの過剰な産生が起こる。
-抜粋終了-
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簡単なまとめ
液性免疫で抗体を作ると、
・腹水や胸水が出来る原因になる
・生きる為に必要なアルブミンが不足する
・ウイルスの住処になって増える
・ウイルスが体中に巡る
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・FIPを完治させるための「細胞性免疫」
FIPを治すには、
抗体を作らずにウイルスを直接攻撃する「細胞性免疫」が有効だと考えられています。
細胞性免疫については
「FIPドライタイプ(非滲出型)の仕組み」
こちらの記事で触れていますので割愛しますが、
この免疫反応も異常が起きるとドライタイプの原因である
「IV型アレルギー」を引き起こしてしまいます。
なので免疫は必ず「強く」、「正しく」働かせる必要があるのです。
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簡単なまとめ
1.抗体を作るとウイルスが増えたり栄養不足になるので、
抗体を作らない細胞性免疫が良い
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2.細胞性免疫は抗体を作らずにウイルスを直接攻撃してくれる
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3.細胞性免疫も正しく働かないとドライタイプの原因になる
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2.ウエットタイプ発症の原因は液性免疫の「異常」
ウエットタイプの発症の一因は、
液性免疫を制御する「サイトカイン」である「IL-6」の過剰分泌です。
サイトカインとは、細胞が分泌する信号です。
※「サイトカイン - Wikipedia」
サイトカインには種類があり、
インターロイキン(IL)や
インターフェロン(IFN)もサイトカインの一種です。
・インターロイキン(IL)
インターロイキンは白血球が分泌します。
現在確認されているのはIL-1~18までで、
マクロファージの誘導や抗体の産生、炎症反応など
ありとあらゆる免疫反応を起こさせます。
※「インターロイキン - Wikipedia」
中でも「IL-6」は液性免疫の制御と密接に関わっており、
IL-6の過剰産生がウエットタイプの発症、悪化の原因になると考えられています。
※「「猫の伝染性腹膜炎」について | たきた動物病院 スタッフブログ」
このIL-6は「炎症性サイトカイン」であり、
つまり炎症を悪化させてしまいます。
更にFIPと病態の近い「自己免疫疾患」とも密接に関係しており、
筆者が幼い頃に罹った「若年性関節リウマチ」にも深く関与しています。
自己免疫疾患とは、一言で言えば「自分を敵と間違えて攻撃する病」です。
※「IL-6 の多様な作用 自己免疫性疾患および炎症性疾患における IL-6 の意義」
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・インターフェロン(IFN)
インターフェロンはお薬でご存知の方が多いと思いますが、
元々は体の免疫反応です。
ウイルス増殖阻止、炎症の調節などを行ってくれます。
私が知る限り、猫に投与されるインターフェロンは
「α」と「ω」が主流です。(注射はω、経口はαが多い様です)
ステロイドもそうですが、
つまりは体の免疫反応を薬で補ったり誘導している訳です。
種類は3種類で、IFN typeⅠ~Ⅲがあります。
IFN typeⅠ
IFN-α:13種類(1,2,4,5,6,7,8,10,13,14,16,17,21)
IFN-β:1種類 - IFN-β1(※IFN-β2=IL-6)
IFN-ω:1種類 - IFN-ω1
IFN-ε:1種類 - IFN-ε1
IFN-κ:1種類 - IFN-κ
IFN typeⅡ
IFN-γ
IFN typeⅢ
IFN-λ1、IFN-λ2、IFN-λ3
※「インターフェロン - Wikipedia」
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簡単なまとめ
1.ウエットタイプの発症、悪化の原因である
液性免疫の暴走は「IL-6」が沢山出る事が原因
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2.IL-6は炎症を悪化させ、
FIPと近い病気(自己免疫疾患)にも深く関わっている
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3.FIPの治療薬にもなっている「インターフェロン」は元々、
ウイルスを増やさない様にしたり炎症を調節する体の免疫反応
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・細胞性免疫を働かせる為の「IFN-γ」
FIPを完治させる細胞性免疫を働かせる為には、
typeⅡの「IFN-γ」が有効です。
これは「Th1サイトカイン」とも呼ばれ、
その名の通り「Th1細胞」が放出するサイトカインです。
Th1細胞がIFN-γを放出
↓
細胞性免疫が活性化
↓
ウイルスを殺す
こういう仕組みです。
細胞性免疫は
食細胞(マクロファージ含む)
細胞障害性T細胞(CTL)
ナチュラルキラー細胞
が担当しています。
これらは液性免疫と違い抗体を作らずに直接ウイルスと闘ってくれるので、FIP闘病において非常に有効です。
※但しマクロファージはFIPVに乗っ取られてしまいます。
細胞性免疫の詳細は、
「FIPドライタイプ(非滲出型)の仕組み」
こちらの記事をご参照下さいませね。
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簡単なまとめ
1.FIPを完治させる細胞性免疫は、
「IFN-γ」で活性化してウイルスを殺す
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.ウイルスを殺してくれるのは
食細胞(マクロファージ含む)、キラーT細胞(CTL)、
ナチュラルキラー細胞
※但しマクロファージはFIPVに乗っ取られる
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4.ウイルス感染拡大防止の為の「アポトーシス」の正常化
「アポトーシス」とは、管理された細胞の自死(自殺)の事です。
余り良い響きに思えないかも知れませんが、
これは本来、体を正常に保つために必要な事なのです。
人の指の水かきが消えるのも、
おたまじゃくしのしっぽが成長につれて無くなるのも、
このアポトーシスが正常に働いているからです。
アポトーシスは、ウイルスに感染された場合にも非常に重要な役割を果たします。
何故ならウイルスに感染された細胞は自らアポトーシスを行って、
増殖途中のウイルスと心中してくれるからです。
これにより周囲の細胞への感染拡大を防ぎ、
被害を最小限にしてくれます。
※「免疫炎症制御研究分野 研究概要 アポトーシスと炎症」
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簡単なまとめ
1.細胞は自分から死んで体を正常に保ち、
これをアポトーシスと言う
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2.ウイルスに感染された細胞は
ウイルスと心中する事で他の細胞への感染を防ぐ
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・FIPにおいてのアポトーシスと「TNF-α」
FIPの猫においては、アポトーシスが悪い意味で働く事が多く見られます。
リンパ球、特に「細胞傷害性T細胞(CTL)」(別名キラーT細胞)が
アポトーシスを起こしてしまい、ウイルスと闘えなくなるからです。
※「 猫コロナウイルスの抗体介在性感染増強作用に関する研究」
CTLとは「・細胞性免疫を働かせる為の「IFN-γ」」で前述した
IFN-γにより活性化される細胞で、
直接ウイルスと闘ってくれる「細胞性免疫」を担っています。
FIPにおいてCTLがアポトーシスを起こしてしまう背景には
「TNF(腫瘍壊死因子)」が関与しています。
「感染症|猫伝染性腹膜炎の猫の末梢血リンパ球におけるアポトーシス誘発に対するTNF-アルファ関与の可能性」
-以下本文一部抜粋-
この研究結果は、ウイルス感染マクロファージにより産生されるTNF-アルファが非感染T細胞、特にCD8(+)T細胞でアポトーシス誘発を起こすことを示唆する。
-抜粋終了-
※筆者注:CD8(+)T細胞はCTLの事です
このTNFは真逆の「抗アポトーシス」の働きをする事もありますし、
正しく働けば名前の通り腫瘍(癌)を殺してくれるんです。
※
「腫瘍壊死因子 - Wikipedia」
「CSTジャパン - アポトーシス阻害 (Inhibition of Apoptosis)」
FIPで発現するのは「TNF-α」なのですが、
このTNF-αはウイルスレセプターの増加にも関与していると考えられています。
「KAKEN — 研究課題をさがす | 猫TNF-αに対する抗体を用いた猫伝染性腹膜炎の治療法の確立」
-以下本文一部抜粋-
「TNF-αはFIP発症猫におけるリンパ球減少、好中球増加およびウイルスレセプターの増加に関与することが示唆されている。」
-抜粋終了-
ウイルスレセプターとは、ウイルスの受容体(感染受容体)です。
感染受容体とは細胞表面の蛋白質で、これがない細胞には感染出来ません。要するにFIPウイルスの感染経路です。
つまりTNF-αの増加はCTLをアポトーシスに導いてウイルスを殺せなくなり、
更にウイルスの感染経路を増やしてしまうという最悪のパターンです。
この為、FIPの治療薬の一つとして抗TNF薬の研究、開発が進められています。
※「猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する抗ウイルス薬および抗TNF薬の開発」
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簡単なまとめ
1.正常なアポトーシスがFIPでは起こらず、
ウイルスを殺す「キラーT細胞(CTL)」ばかり自殺してしまう
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2.キラーT細胞は、完治の為に重要な細胞性免疫を担当する細胞
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3.キラーT細胞が自殺する原因は「TNF-α」
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4.TNF-αは
細胞にウイルスが感染する道を作り出してウイルスを増加させる
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・抗アポトーシスを誘導するIL-6
IL-6は、実は「抗アポトーシスシグナル」を誘導します。
つまり正常なアポトーシスを邪魔してしまう訳ですね。
※
「KAKEN — Research Projects | IL-6ファミリーサイトカインシグナル伝達系におけるSUMO化修飾機構の解析 (KAKENHI-PROJECT-09J01853)」
「IL-6はアポトーシスを抑制し、抗アポトーシス遺伝子mcl-1のアップレギュレーションを通じてヒト胃癌AGS細胞の酸化的DNA病変を保持します。 - Bibgraph(ビブグラフ)| PubMedを日本語で論文検索」
アポトーシスが正常に作動している場合はウイルス感染細胞がアポトーシスによりウイルスと心中し、感染拡大の防止をしてくれている筈です。
所が実態は、「TNF-α」によって誘導されたアポトーシスにより
「CTL」が死んで減少し、ウイルスは増えっぱなしです。
そしてIL-6により抗アポトーシスが働いても、
感染細胞の心中が行えずにウイルスは増えます。
つまりFIPにおいての「アポトーシス」は
どちらに転んでも正常に働くことがないと言えます。
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簡単なまとめ
1.「IL-6」はウエットタイプの原因で、
正常なアポトーシス(ウイルスと心中)を邪魔して
感染拡大に一役買う
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2.「TNF-α」が出ると、
正しいアポトーシスを起こせずに、
ウイルスと闘ってくれる「キラーT細胞(CTL)」を自殺に導く
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・IL-6はTNF-αによっても誘起される
実はTNF-αはIL-6を誘起する事が分かっています。
TNF-α産生
↓
・CTL(ウイルスと闘う細胞)のアポトーシス
・IL-6の誘起、産生(IL-6の抗アポトーシスはCTLには働かず)
この通り、FIPにおいてのTNF-αはろくなことがありません。
※「[1] TNF-α[tumor necrosis factor-α] | ニュートリー株式会社」
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簡単なまとめ
TNF-αは、
・ウエットタイプ発症、悪化の原因となるIL-6を作り出す
・キラーT細胞(CTL)を自殺に導く
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5.まとめ
・FIPにおいての役割
IL-6:
過剰に作られると液性免疫が優位に傾き、
ウエットタイプ発症の原因になる。
更に炎症を悪化させてしまう。
TNF-α:
IL-6を増やし、ウイルスの感染経路を増やし、
ウイルスと闘うCTLをアポトーシス(自殺)に導く。
・ウエットタイプの発症から悪化の流れ
IL-6が過剰産生されて液性免疫優位に傾いた免疫が
Ⅲ型アレルギーを発症してウエットタイプを発症
↓
・IL-6が
炎症を悪化、TNF-αが更にIL-6を増やす。
・TNF-αが
CTLをアポトーシスさせてウイルスと闘えなくする、
ウイルスの感染経路を増やす。
つまりIL-6が過剰に作られなければウエットタイプは恐らく発症しませんし、
TNF-αが作られなければウイルスと闘ってくれるCTLが死ぬことも、
ウイルスの感染経路を作って増殖させる事もありません。
更にTNF-αはIL-6を増やして炎症を悪化させてしまいます。
この為「TNF-α阻害薬」はFIPの薬として重要視され、
研究がなされています。
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インターネット上で様々な情報を共有して下さる皆様、
日々研究を積み重ねて社会をより良くして下さる皆様に、
心からの御礼を申し上げます。
ご無理がなければ100円のご支援をして頂けますと、大変有り難く思います。