国士舘大学ドイツ遠征7 Pforzheim
今回の会場ではスモークがたかれていたため、練習の時から霧がかかったような幻想的な空間であった。しかし見る者にとっては幻想的でも、演技を行う選手の方は大変である。手具を上に投げ上げると、「消える」。この日、個人演技を行う向山選手・石川選手にとっては厳しい状況である。また、団体選手にとっては連日の通しが続く。6回目の公演となる今日も、ノーミスが出せるのだろうか。
近年の国士舘団体を見ながら、稲岡逸生選手の魅力は、どう形容したらしっくりくるだろうか…と考えてきた。小柄な選手である。普段は丸いメガネをかけていて、ぱっと見にはアスリートらしい風貌ではない(実際彼は独創的な絵を器用に描くし、昨日は鼻歌レベルで口ずさんでいた歌がうまくてびっくりした)。しかし、その見かけに騙されてはいけない。私は、彼のふくらはぎの写真を見て、その立派な筋肉に驚いたことがある(リッチョーネでバランスをしている写真だった)。ああ、やはり彼はA団体のレギュラーを4年間務めてきた人なのだなと思わされた。
山田監督に「稲岡選手の魅力は何ですか」と聞いてみたところ、「すべての能力が平均よりも高い」ということをおっしゃった。
タンブリングが強いとか、徒手が抜群に美しいとか、カリスマ性があるとか。
新体操選手の魅力は様々であろうけれども、団体演技に必要な全てのことを平均値以上のレベルで揃えて、すっと差し出すことができる選手もまた、稀有な存在なのだと思う。自分はやるべきことをやるまで。そんな職人タイプの稲岡選手のことを、どうしても一度書きたいとずっと思っていた。でも、難しかった。彼の選手としての魅力は、言葉にするのがとても難しい。私の頭の中にはちゃんとあるのに、それをうまく書けなくて申し訳ない。私にはまだまだ彼を的確に描写できるような筆力はないらしい…。
さて個人演技だが、今日の個人は冒頭に書いたとおり、霧の中での演技といっても過言ではない。こちらの動画を見てほしい。
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