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第二生は社会起業家を目指す

2014年(平成26年)1月に、NPO法人(特定非営利活動法人) OUEN Japan を設立した。設立して10年以上が経った。

設立の切っ掛けは、東京銀杏会(東京大学東京地区同窓会)の活動の中で、当時の濱田純一東大総長とお話ししたことだった。
当時、東大は三鷹に留学生が住む国際寮があるくらいで、留学生宿舎は充実していなかった。「大学も所有している土地に建設することは検討しているが、民間としても、大学と提携する宿舎ができないものか」、総長からそんな問題提起があったのだ。そのお話しを受け、私はいくつかの学生寮を運営している会社を訪問しご相談した。
当時、学生寮運営会社は、早慶上智をはじめ多くの私立大学に、多くの学生提携宿舎があったが、未だ国立大学とはそのような事例はなかった。
国立大学とそのお話しを進めていくと、いつも「東大はどうなんですか」との話が出てくるのだと。では、東大はどうかと言ったら、この大学は国立大学の雄であり、その窓口のハードルは高い。「そのルートを開拓していただけるのであればありがたい」という学生運営会社の反応だった。
東大の窓口へのアプローチと、その条件交渉は私のマターであり、その条件を受け入れてくれたのが共立メンテナンスだった。そして、井の頭公園で男女2棟の提携国際交流宿舎ができた。
その話を高校と大学の1年後輩だった、当時東京ガスの役員だった圓角健一さんにお話ししたところ、圓角さんから、「東工大の副学長が大学の先輩だ。東工大でもそのようなニーズがあるのではないか」と、東工大をご紹介いただき、川崎の梶ヶ谷で、東大と同様な国際交流宿舎ができた。

話しはそれだけでは終わらなかった。国際交流宿舎というハードに加え、日本人大学生・来日留学生と企業との交流イベントをすることで、留学生の日本での就職活動に何らかの貢献ができるのではないか(リクルートビジネスをするということではない。あくまでも国際交流のベースづくりだ)、そのことを今は亡き石原信雄さん(元内閣官房副長官)にご相談したところ、「それでは小林君がそのためのNPOをつくればいいのではないか」、ということになってOUEN Japan を設立することになった。

NPO法人とは、「世の中のためになることをしたい!」「人の役に立つ活動をしたい!」という人が、「自分1人で活動するんじゃなくて、同じ気持ちを持った人たちと一緒に活動していきたい!」と思ったときにぴったりの団体です。

NPOを設立するにあたり、東大応援部の大先輩である篠沢恭助さん(元大蔵事務次官)にもご相談した。
篠沢さんから「OUEN Japan の理事には旧七帝大の総長経験者を入れるべきだ」とアドバイスをいただいた。そして、梶山千里さん(元九州大学総長、当時は福岡女子大学理事長兼学長)をご紹介いただき、福岡市東区の福岡女子大学に出向いて梶山先生にお会いし、理事就任のお願いをした。
梶山先生は一つ返事で理事をお受けいただいた。そして、「OUEN Japan は、まずは福岡から活動をスタートしたらどうか。大学や企業のトップを紹介する」と、ありがたいお言葉をいただいた。

なぜ福岡からOUEN塾を始めたのか。
そのわけは、福岡県は、大学生や留学生の人口比率が、京都や東京、大阪の次に高いが、留学生はほとんど福岡に就職しないで首都圏や関西圏に行ってしまう。なぜかというと、福岡にはいい企業がたくさんあるのだが、留学生たちはその具体的企業を知らないからだと仰る。
大学生と留学生が一緒になって福岡の企業を知ること、福岡の企業と交流する機会をつくれば、それは学生同士の国際交流になり、それが切っ掛けになって、留学生は就職活動の時に福岡の企業にも目を向けてくれるだろうということだ。
それで、OUEN塾「OUEN塾 in 福岡・北九州」をスタートさせた。

NPOであったから、ビジネスではない。企業の皆さんから協賛金をいただいてOUEN塾を開催したが、東京からの交通費、福岡での宿泊費は手弁当(それまでの福岡での活動費、交通費も手弁当)だ。
OUEN Japan の赤字は、私の個人会社Mapのビジネスマッチングの成約報酬と妻からの支援金で埋めた(だから、妻には頭が上がらない)。

稲盛さんは、「人のために尽くしたら必ずそのお礼が返ってくる。因果応報、善因善果だ。それは、”ありがとう”という言葉だけではない。お金は自然に集まってくるものだ」と仰っているが、私の場合、そうではない。何かが欠けている。ビジネスの基本がわかっていない。
そして、「もっと社会貢献しなければ、見返りはない」と思う反面、「そんなことをし続けていたらますます赤字の垂れ流しになって、ボランティアを続けることはできない」とも思う。
そんなジレンマを持って、では如何にしたら継続し続けるボランティアができるのか。私の第二生ではそれを果たさなければならないと思っている。

そのための必要十分条件は、

”社会起業家”、”ソーシャルビジネス”

”ビジネスパートナーの存在”

の2つだろう。

後者のビジネスパートナーは、私の足らずをカヴァーしてくれる、信頼ができる、同じ思い(想い、念い)を持った人であることだ。

社会起業家とは、起業家の中でもビジネスを通して社会課題の解決に取り組む人のことを指します。そんな社会起業家が取り組むのは、貧困や差別、環境問題など、多岐にわたる社会問題。彼らは人生で目の当たりにしてきた社会問題を解決するために、NPOやボランティアという選択肢もある中で、起業という選択をとります。

ソーシャルビジネスとは?
一言でいうと「社会問題の解決を目的とした収益事業」を行うビジネスのことを言います。
社会の課題や問題といっても様々で、例えば環境に関することであれば、地球温暖化、自然破壊、ヒートアイランド現象、放射能の問題からごみの問題など、環境のジャンルだけでもこれだけあります。
その他、ワークライフバランスや、リストラなどの経済問題。待機児童や学級崩壊などの教育の問題。伝統文化の継承や後継者不足などの文化の問題など多岐に渡ります。
そういった問題や課題に対し、寄付などの外部の資金に頼らず、自社の収益を上げながら、その収益で課題解決に取り組む事業のことを言うのです。


ソーシャルビジネスの定義
ソーシャルビジネスの定義は以下の3点を満たすこととされています。
1.社会性
現在解決が求められる社会課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること。
2.事業性
社会課題に取り組むミッションをビジネスの手法をもって取り組み、継続的に事業活動を進めていくこと。
3.革新性
新しい社会的商品・サービスを開発したり、その商品・サービスを提供するための仕組みづくりを開発・活用したりすること。
つまり、ビジネスの手法を用いて社会問題の解決に取り組み、新たな社会的価値を創出するビジネスと定義されています。

社会問題を解決するために寄付金などの外部資金だけに頼らず継続的に収益を上げ、さらに新たな社会的価値を生み出す事業のことを、「ソーシャルビジネス」と呼ぶのです。
そしてこのソーシャルビジネスに挑戦する起業家は「社会起業家」と呼ばれ、彼らは「社会的企業」・「ソーシャルベンチャー」・「ソーシャルエンタープライズ」と呼ばれる事業体(組織)を運営します。

私の第二生の最大のミッションは~能登の創生の応援~であり、OUEN Japan も同様だ。ただ違うのは、私は個人であり、生は有限であるのに対し、OUEN Japan は法人であり、しっかりとバトンタッチをすることができたら、繫いでいくことができたら、私の思い(想い、念い)は永遠に継がれていく。

来年4月からスタートしようと思うOUEN塾のカリキュラムを熟慮・精査していこう。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)

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