きょうだい~上の子の気持ち~
ずっと一人っ子だったのに、下にきょうだいが生まれると、上の子の環境は激変。これまで経験したことのない、複雑な感情を体験するようになります。これは成長するためには、通らないといけない道。小さいながらも成長への階段を上ろうと、必死にもがいている上の子の心模様を理解して、成長を支えてあげていただけたらと思います。
そのためには、まず上の子の心の背景をのぞいてみましょう。下の子との年齢差によっても大きく違うようですので、整理してみますね。
年齢差によって違う心の背景
【年子の場合】
下の子が生まれた時は、自分が兄・姉になるという意味がわかりません。
妹・弟のことも、興味を持つおもちゃが一つ増えたというような感覚に近いようです。
自己主張が増える時期に差し掛かっても“嫉妬”まではいきません。
ところが、ママの関心がどこにあるのかは、小さいながら敏感に感じ取っています。
「ママはいつも忙しそう」
「赤ちゃんのことで頭がいっぱいみたいだ」
と感じ、おとなしく静かに遊んでいても、心の中は寂しさを感じていることが多いのです。
【2~3歳差】
自我の芽生える時期ともいわれ、甘えたいけれど、自分の思う通りにしたい
という思いが激しくなり、葛藤が多くなります。
自分を上手く取り扱うことが出来ず、その上、赤ちゃんまでいるのですから大変です。
よく見られる“赤ちゃん返り”は、「ママを取られてしまった」「ママは自分より赤ちゃんが大事なんだ」と不安に駆られる気持ちを、安心させてほしいと願っているサインでもあるのです。
【4歳以上差】
赤ちゃんのお世話をしたり、遊び相手になってくれる頼もしい存在になります。ですから、親はついつい頼りがちになります。
子どもの方も、4歳を過ぎると状況を敏感に感じ取り、自分の感情をぐっと抑える力を持ち始めます。
親がそのことを理解せずにいると、子どもはついつい心の中にがまんを
積み上げてしまうようです。
年齢差によって多少違いはあるものの、上の子には上の子特有の心の葛藤があることが、おわかりいただけたでしょうか。
そのことが影響してなのか、上の子によくみられる性格特性があります。
上の子によく見られる性格特性
【長子的な性格】
慎重・丁寧
聞きわけがいい
我慢づよい
聞き役になることが多い
きちんと物事を考えることが好き
遠慮がち
ちなみに下の子の性格特性も書いておきますね。
【次子的な性格】
甘えん坊
お調子者
依頼心が強い
自分の意見を押し通そうとする
やきもちやき
性格は、生まれ持つ気質に加えて、環境によってつくられます。
もっと専門的に解説するならば、自分を取り巻く環境から受ける刺激に対して、どう反応すれば安心を引き出せるのか、積み上げる体験によってカタチ作られるのです。
上の子にとってきょうだいが生まれるということは、自分のためだけに用意された「ママの膝」という指定席を「なくしもの」することでもあります。
だから、抑うつ的な気持ちになり、がっかりしたり葛藤が起きるのです。
ここで気をつけなければいけないのは「なくしもの」をさせないことではありません。
「なくしもの」をした時に感じる、悲しみや寂しさを乗り越える手助けをしてあげることなのです。
「大丈夫、ママはちゃんと見ていてくれる」
「赤ちゃんだけでなく、自分のことも大切に思ってくれている」と感じることが出来るように、時間をかけて手助けをしていくことなのです。
ですから、赤ちゃんをいじめたら「ダメ!」と叱ってあげていただきたいし、その後で「よくがんばっているね」と、必ず抱きしめてあげて欲しいのです。
ここで、知らず知らずに親がとっている、上の子への関わり方や態度について記しておきますので、点検してみてください。
親が取りがちな態度
【上の子の関わり方】
とにかく初めての育児なので、しっかり育てなければと肩に力が入り、不安と熱が入りやすいのが特徴です。
何かの記事で読んだことがありますが、下の子よりも6倍多く手をかけているというデータが紹介されていたことを思い出します。
ついつい厳しくなり、コミュニケーションも一方的になりがち。
それを受けて、子どもの方も「期待に応えよう」と頑張ります。
上の子からすれば、先を行く先輩がいないので、いつも先頭を走らなければならず、つい人の顔色をうかがったり、控えめになることが多いようです。
そんな上の子の気持ちを理解して、心の成長を支えてあげてください。
そこで、是非おススメの方法があるのでご紹介しておきます。
優しさは、もらわなければあげられない
【ママと二人だけのとっておきの時間】
週末に下の子をパパに預けて、上の子とママが二人きりになる時間を
作ってあげて下さい。
気兼ねなく、ママを独占できる体験をさせてあげて欲しいのです。
そして、二人きりになった時に、是非伝えてほしい言葉があります。
『いつもありがとう』
『ママは知っているよ』
『君が我慢してくれていること、頑張ってくれていることをちゃんと知っているよ』
『ママが頑張れるのは、君のお陰だったんだね』
『ありがとう』
と伝えてあげてください。
恥ずかしがらず、真剣に心をこめて、ちゃんと言葉にして伝えるのです。
最初、お子さんは驚くかもしれませんが、大きな安心感に包まれるはずです。そして、家に帰ると、ほんのちょっとだけ下の子に優しくするかもしれませんよ。それは「優しさは、もらわなければ、あげられない」というサイクルがあるからです。
最近叱ってばかりで上の子のことが気になる…という時には、大急ぎでママと二人だけのとっておきの時間を作ってあげてくださいね。
鶯千 恭子(おうち きょうこ)
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