イライラしたっていいじゃない!
10年以上前のことです。
私がNPOを立ち上げ、地域の公民館を利用して、子育てママを集め、講座を頻繁に開催していた時期があります。
目的は、知恵を届けることでママたちのベースキャンプになることでした。
便利になったとはいうものの、24時間目を離せない子どもの責任を背負わされる緊張感は相当なものです。
乳幼児を抱えていれば、1日の疲れをとるために、一人でゆっくり湯船に浸かることも許されないし、トイレにゆっくり入ることもままならない日々を送るママたちの抱えるストレスが痛いほどわかるので、何とかしたかったのです。
「あら、このタイトルいいじゃない!」
そこで「イライラしたっていいじゃない!」というタイトルで、よくセミナーを開いていました。
すると、地域の公民館ですから、賑やかに人が集まっている様子が気になって、いろんな人が通りすがりに中を覗かれるのです。
そして、部屋の前に置かれた看板を目にして足を止めて「このタイトルいいわあ〜」と声をかけてくださるのです。
面白かったのが、老若男女問わずいろんな世代の方が声をかけてこられたことです。
きっとイライラを何とかしたいと思いつつ、どうしてもイライラしてしまうことに、ご自分でも手を焼いていたのかもしれません。
私の本意としては、その頃から「感情は大事にしよう!」という思いがありました。
それが、例え「イライラ」であっても、です。
当時から「イライラする感情はいけないものだ。それなのに自分でコントロールすることもできないなんて…」と、自己嫌悪に襲われるママたちがたくさんいたのです。
それを何とかしたいと思っていました。
感情は大事なお守り
そもそも感情はサインです。
些細な情報も見逃さず、敏感に察知して、感情を揺らして危険を知らせてくれたりするのです。
理屈よりも早く「ん?」と、何やら不穏なものを察知して、警戒心を抱かせることもあります。
私は、かなり直感が働くので、この感情サインに随分助けられてきている過去があります。
だから、感情はお守りのようなものだと思っているのです。
子育て中の母親がイライラするのは、安心を失っている明確なサイン。
原因は、疲労からなのか、心配事があるからなのか、分かりませんが、安心感にヒビが入っている状態であることは確かです。
(安心に満ちている時に、イライラしたくてもできないですからね)
では、なぜ安心感にヒビが入っているのか。
本来であれば、不安にさせている原因は何かを、探らなければいけません。
原因を明らかにして取り除かない限り、ヒビは修復しないからです。
ところが、原因究明はそう簡単ではありません。
子育て中の母親が抱える悩みは、子どものこと、夫婦のこと、実家のこと、ママ友のこと・・・などなど、問題が複雑に絡まっていることがほとんどなので、「はい!解決!」とはいかないのです。
過剰な自己反省は逆効果
つまり、イライラの背景には、隠れている問題の本質があり、放っておけば心身へのダメージは大きくなるし、かといって、取り組むためにはそれなりの覚悟が必要だとしたら、とりあえずの応急処置として「イライラ」が生じているのかもしれないのです。
そう考えると、イライラすることを悪いことだと決めつけてはいけないのです。
ましてや、過剰な自己反省に入ることはナンセンス。
「イライラしちゃう私はダメな母親だ」と思い反省のドツボにハマるのは、新しいイライラの原因を自分から作り出しているようなもの。
それよりも「サインを一生懸命送ってくれてありがとう」というべきなのです。
イライラに気づいたら、まずは安心を取り戻すこと。
その次に、丁寧に原因究明と問題解決に向き合いましょう。
感情は健康のバロメーター。
どんな感情でも、大事にしましょう。
イライラしたら、まずは大急ぎで休んでください。
放っておくと代償が大きくなるばかりです。
まずは安心に包まれてくださいね。
その次に、じっくりと自分を振り返って、イライラの原因を探ってみましょう。
鶯千恭子(おうち きょうこ)