〈セミナーレポート〉大豆生田先生と考える保育者とつくる共主体の場「ASOBIO」の魅力とは
2023年6月22日(木)に玉川大学の大豆生田先生をお迎えし、保育者とつくる共主体の場「ASOBIO」の魅力とはセミナーを開催しました。
今回も園の先生にご登壇いただき、実際にASOBIOを作って見えてきたことや、園庭環境を考えている中で感じたことなどを紹介していただきました。
「こども主体」という言葉が注目されていますが、保育者・保護者・地域そして自然が共に主体となって関わり合うことこそが、子どもたちにとっての豊かな遊びや学びに繋がります。
園庭環境のあり方や作り方に悩まれている園さまも少なくないかと思います。
環境作りのきっかけに、ぜひご活用ください!
※こちらからセミナー動画をご覧いただけます。
ASOBIOプロジェクトの趣旨説明(2分58秒)
まずはスマートエデュケーション代表の池谷よりASOBIOプロジェクトの趣旨を説明いたしました。
小学校の校庭のような広い平面があり、周りに遊具が並べられている。そんな園庭が多いことに疑問を持ち、弊社はASOBIOというプロジェクトを始めました。
ASOBIOとは、「遊びとビオトープ」を合わせた造語です。
多様な「いのち」に触れ合う場を、子どもたちにとって身近な園庭に作ることを大切に、園庭をプロデュースしています。
また倉橋惣三先生の園庭の考え方にもある、「全ての教育が行うことのできる場としての園庭環境」という点も大切にした環境作りを目指しています。
ここからはこういった園庭環境作りを実際にASOBIOプロジェクトで進めている2園の先生方に事例紹介をしていただきました。
事例紹介①福井県めぐみこども園(11分15秒)
めぐみこども園さんは福井県福井市にあります。最近では園の周りの田んぼが埋め立られ、住宅や商業施設も増え始めています。
主体的な保育を目指し、一斉遊びから自由あそびへの移行に伴い、屋内環境の見直しを行ってきためぐみこども園さん。
屋内環境が変わり、遊びが変わってきたことから屋外での遊びもより充実させるべくASOBIOプロジェクトをスタートさせました。
ASOBIOプロジェクトではまず、先生方の子どもの頃の思い出や理想の園庭を思い浮かべながら環境を考えます。
大切にしていることは先生方の「わくわく感」です。
プロジェクトを進める中で園庭に対する5つの大切な思いが具体的になってきました。
①動植物を育てたり観察できる空間
②絵の具・製作ができるアートな空間
③築山での遊びの空間
④ひかりを感じられる空間
⑤広い場所で遊べる空間
保育者が考えるだけでなく、子どもたちからの意見も吸い上げます。
めぐみこども園の先生方は「園庭の計画を通して、保育者、こども、地域の方を巻き込み、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでいきたい」と、お話しされました。
大豆生田講評(26分35秒)
めぐみこども園さんの事例に対し、大豆生田先生から講評をいただきました。
「子ども主体の保育への取り組みのなかで、屋内環境同様に屋外環境も充実させることへ至ったことは素晴らしい」ことですと評価された大豆生田先生。
初めから作り込みすぎるのではなく、子どもたちの姿を見て再構成していくことの重要性も強調されました。
事例紹介②埼玉県つつじ幼稚園(31分44秒)
住宅街のど真ん中にあるつつじ幼稚園さん。ASOBIOを作る前は人工芝の上に大きな遊具があり、泥遊びや自然とは無縁でした。
園庭環境を大きく変えることに不安もたくさんあったという先生方。
ASOBIOができた当初は遊びも広がらず、汚れるのを嫌がる子も多かったそうです。
ASOBIOの完成から約1年経った今、「何もない地面を掘って泥遊びが発展したり、築山に穴を掘って滑り台を作ったりと生み出す遊びが増えました」と大塚先生。
子どもたちから遊びの提案をしてくれることも増えたそうです。
「植物に興味を持つ子も増え、色水あそびなどあそびの幅も広がってきました。そんな子どもたちの主体的な姿を見て日々刺激をもらい、楽しく過ごせています」とお話いただきました。
大豆生田先生講評(47分15秒)
つつじ幼稚園さんの事例に対し、大豆生田先生から講評をいただきました。
「一律型から主体的な保育へと転換するアプローチの一つとして園庭を改革するという事例がとてもよかったです」と大豆生田先生。
特に冒頭の丸太に並んでいる写真から遊びが変わっていく様子を見られて本当に良かったとお話しされました。
「五感を通した体験が増えたことで子どもたちの心が育ってきたことがよくわかる」と締めくくられました。
ASOBIOの作り方、地域の自然の取り入れ方(53分00秒)
2園の事例を踏まえて、「ASOBIOをどのようにつくっていくか」弊社の長沢より説明いたしました。
ASOBIOづくりではトップダウンで決めるのではなく、先生方にも主体的にかかわっていただきながら進めます。
その中で大切にしていることが3つあります。
①先生方にデザインしていただくこと。
➁自然との関わりの場をもつこと。
③「未完成の完成」であること。
弊社としては上記の点を第三者としてアドバイスしています。
園ですぐに実践できることもありますのでぜひ、今回のセミナーを見てチャレンジしていただけると幸いです。
地域によっても生態系の作り方も様々です。園に地域の自然を取り入れる方法について日本生態系協会の登澤さんよりお話いただきました。
生き物を呼ぶための手順は、次の通りです。
①呼びたい生き物を決める。
➁その生き物がいる自然に似せる。
③ちょっとした工夫がキーポイントに。
地域の自然を考えるヒントとして、昔の様子を知ることも大切だと語る登澤さん。落ち葉を残したり、石を積んで生き物が生息しやすい場所を作ったりするなど、子どもたちと一緒に作っていくことも大切だとお話してくださいました。
日本生態系協会HP
全国学校・園庭ビオトープコンクール
共主体の場 保育環境を変える意味 大豆生田先生(1時間10分15秒)
最初に保育における「共主体」についてお話いただきました。
室内環境と同時に園庭環境も充実させていくことはとても重要です。
さらに園庭だけではなく地域というもう一つ広い視点で環境を考えていくことも「共主体」の一つです。
身近な「いのち」に触れることで、「いのち」の大切さを感じ、子どもも大人もわくわくする視点が大切だとお話されました。
「こどもまんなか」と「いのちまんなか」をつなぐ保育という視点がとても大切です。
質疑応答(1時間17分18秒)
最後に質疑応答の時間を設けて、ご登壇いただいた両園さまにご回答いただきました。
赤裸々に語っていただいております。
そのほか答えられなかった質問に関しては下記リンクよりご回答しております。
ぜひ、ご覧ください。
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