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【セミナーレポート★番外編★】参加者からの質問を、登壇者の先生に全部聞いてみました!

大変盛り上がった「世代交代」セミナー。参加者の皆さんからは、事前にたくさんのご質問をいただいていましたが、残念ながら時間内にすべてをお答えすることができませんでした。

今回ご登壇くださった慶和幼稚園 理事長 伊東先生ときよせ幼稚園 主事 中村先生が、「同じような悩みを抱える方の力になりたい!」ということで、なんと、いただいたご質問すべてに回答してくださいました!
ご質問くださった参加者の皆さま、そして伊東先生、中村先生、ありがとうございます

Q. ズバリ、スマートな世代交代とは?

A. (慶和:伊東)※敬称略
次世代が未熟であっても、裁量を委ねて責任を持たせ、失敗しながらでも自覚を促して行くこと。
親世代は、次世代を頭ごなしにダメだというのではなく、やり方を一緒に考えるなど最大限サポートすること。

(きよせ:中村)
チャレンジできる機会をたくさん持たせてもらえることがスマートな世代交代につながる。

Q. 次世代若手の次期園長候補のコミュニティや情報交換できるような場があるかどうかを知りたいです。 

新しく園長に就任するにあたって、努力したことや難しいと感じた点を教えて頂きたいです。

A.(慶和:伊東)
各地区の連盟や協会といった、幼稚園や保育園に青年部とかがあるかもしれません!園長じゃなくても参加できることが多いので、積極的に参加されては?
僕は、そういったところで何でも話せる仲間ができました!!

(きよせ:中村)
私は、日ごろは、市内の理事長先生や園長先生と情報交換したり相談したりしています。よく「『きっつ』導入園の園長先生や理事長先生は面白い方が多い」というようなことをスマートエデュケーションさんから聞きます。日頃より、全国のそのような方たちと繋がれる場所があると次世代として嬉しく思います。

私は園長ではありませんが、ポテンシャル低めなので日々努力しています。難しいと感じたことは、業務を広げすぎると、中途半端にかかわってしまうところも出てきて、逆に効率が悪くなったり、混乱させてしまったこと。ある程度、任せる部分も必要だと感じました。

Q. 3代目として6年前に他業種から園に入りました。

幼稚園という業種は好きですし発展させていきたいとは思っていますが、幼稚園教諭の免許も持っていませんし、まだ信念や理念のような確固たるものがありません。親である先代から引き継ぐ場合もあるでしょうし、自身で学びながら生み出す場合もあるかと思いますが、皆様どう世代交代をしていくのでしょうか。また、そのモチベーションの維持方法等もお聞かせいただけたら幸いです。

A. (きよせ:中村)
有免許でなくても、最終的には自園の未来への方向性について先頭に立って向き合わなければならない機会が来た時に、信念や理念はおのずと見えてくると思います。モチベーションの維持方法は、とにかくやってみたことに対して、結果が見えたとき、これでよかった、違う方法があったなどの繰り返しで維持してこられたと思います。

Q:  来年度から実子が入職します。一番気を付けなくてはならないことは何でしょう。

A. (慶和:伊東)
ちゅうぶらりんにならないようにすること。具体的には、実子の存在意義を、現場の先生たちにしっかりと伝えておくことが大切かと思います。
実子は、現場の先生からは経営者の子どもとして見られ扱われる。でも、やれることがなく、バスの運転手と必要かどうか分からない雑用だけになり、現場の先生との距離も生まれる。板ばさみ、ちゅうぶらりんになる。そうならないように、現場の先生の不満や不安を見つけて改善することをミッションに与えたり、園の現状ある課題を先生と一緒に解決することをミッションにするなど、明文化しておき、それを現場の先生に伝えておくと、現場の先生が実子とコミュニケーションを取りやすいと思います。

(きよせ:中村)
色々とチャレンジできる機会をたくさん持たせてもらえると嬉しいです。自覚と責任が生まれると思います。

Q. 次世代園経営者は保育の現場の事を学ぶべきか?否か?

A.(きよせ:中村)
現場のことを学ぶべきか、否か。次世代の性格にもよるかと思いますが、それが自信やモチベーションになるのであれば、資格を取るなり学んだほうが良いかと思います。
私の場合は、入社して4年目から夜間学校に通い取得はしたものの、その後も運営事務がメインで業務を行ってきており、免許の有無はさほど関係ありませんでした。恥ずかしながら今になって、保育のことを学ぶべきかどうかよりも、保育現場を見に行き、先生や子どもたちと触れ合い現場の空気を感じ、運営に生かしていくことの方が大切だと感じているところです。

Q. 行事や取り組みは、子ども達の状況によって変化がある物です。毎年同じやり方ではなくても良いはずです。

そういったときに、「昨年がこうだったから」とその通りにしようとする。 そこそこの意見がほしい、また、何か取り組みたいことなども、なかなか出てこない。

A. (きよせ:中村)
行事は毎年同じでなくても良いことに同感です。今はコロナ禍なので、例年が参考にならない時期であり、変えたいところを変えるチャンスです。現場から出てこない場合は、例えば具体的な提案を放り込んでみると、何か動きが出てくると思います。

Q. 事業継承の成功・失敗の事例を多く知りたい

A. (きよせ:中村)
成功事例:ICT化や親世代と同じ感覚をもとに色々とチャレンジ出来る。
失敗事例:業務過多に陥り、現場を混乱させたり迷惑をかけていることも多い。

Q.  社会福祉法人にて、休日が現在105日設定しているのですが今後一般企業と同じように120日にしたく考えております。 

その際の環境調整を知りたいと思います。 私自身今年度より、東京の人材会社から家業を手伝っているもので、保育の勉強中の身で恐縮です。

A. (慶和:伊東)
慶和では、勤怠システムを使って、労働時間を「見える化」して、変形時間労働制を導入しました。かつ各学年で一緒に退勤を徹底して、助け合いを生んでいます。「もう帰りなさい」は絶対に言わない。また間違ったときはごめんなさい、感謝をありがとうとしっかり伝える。
幼稚園や保育園は、「子どものために」でどれだけでも仕事ができます。逆に言えば、どれだけでも仕事をさせることができます。だからこそ、今の自分の園の先生が、どれだけの仕事をしているのかを把握するところが、改革の第一歩!!

(きよせ:中村)
当園は有給休暇は長期休みなどで計画的付与をしています。できる限り残業しないように、担任は通常保育日にバスの添乗や預かり保育などを担当せず、保育の準備の時間に充ててもらっています。

Q. 残業を極力無くしたいと思いますが、業務の組み方、能力の個人差が大きく、難しさを感じています。

人手のゆとりが仕事のゆとりと考えていましたが、人手があれば生産性が下がり、あまり効果が出ないのは何故なのかと悩んでいるところです。

A.(きよせ:中村)
当園では現状関係なく、理想の組織図として縦軸を「部門・役職・職種」、横軸を時間として、1日の全員の基本的な動き・業務内容を見られる表を作成し、それをもとに人事を行っております。理想の組織図に近づけるにつれて、従業員も増えました。10年前、園児数が同じくらいだった時期の1.5倍以上になっています。一昔前に比べると、カリキュラムや行事の見直しも進み、残業ゼロとまではいきませんがある程度目途をつけて終業できているかなと思います。

Q.  顧問社会保険労務士の指導で働き方改革のワークショップを2回行い、職員の意見を集約するとともに職員相互の改革意識・問題意識を高め、課題を設定し取り組んでいます。 

連絡帳などをICT化すべくソフトと端末を検討中ですが、職場にあまり活気がなく、様々な改革を進めていくパワーが出せるか心配です。そのあたりのポイントやアドバイスを頂ければ嬉しいです。

A.(きよせ:中村)
当園では「きっつ」や「おうちえん」を導入するときに、なぜ導入するのかを園側から説明しつつ、スマートエデュケーションさんにも説明をお願いしたり、先生方に実際に教材やツールを体験をしてもらったりしました。業務だけでなく保育にどのようなメリットがあるのかを先生方が実際に感じることで比較的スムーズにICT化できたかと思います。
職場内で進めていくパワーが出せるか心配という思いには共感します。職場内に頼るだけでなく、外部に頼ってもよいと思います。困ったらすぐに相談できたり、「次はこういうことをやってみたい」という思いを丁寧に受け止めてくれる仲間がいてくれると心強いです。
時には、違った切り口で職場に投げかけてみる、他力本願をしてみるのも手かと思います。

Q. 保育や経理へのICT導入をどう進めたらよいでしょうか。

だいぶ考え方は変わってきましたが、職員は「これは無理だと思います」「難しいです」と言いがちです。「できるように、こうしていこう」という発想を持ってほしいと思っています。

A.(きよせ:中村)
当園では「バスキャッチ」や「おうちえん」などのICTツールやICTカリキュラム「きっつ」を導入しています。パソコンは普通に使える程度ですが、うまく機能していると思います。
「否定」や「出来ない」ことを先に考えてしまう発言については、ある程度仕方ないと思います。そういうときに、園長をはじめ、主任や経験のある先生方が、ポジティブな姿勢で相談に乗ったり、引っ張っていくことが大切だと感じています。少しずつ、ポジティブシンキングが浸透していったらよいですね。

Q.  職員の年代も幅広く、ICT化への対応が難しいものもある。手書きより時間がかかってしまうことがあり、苦戦している。

A. (きよせ:中村)
初めは同じような悩みを私が一番抱いていましたが、自園にあったシステムを少しずつ入れていき、大きな混乱はなく運用できています。

Q. 組織全体が変化に対して苦手意識をもっているように感じます。

また経営と現場が分離されているとも感じています。そんななかでスムーズな世代交代をするためにはどうしたらよいでしょうか。

A.(きよせ:中村)
当園の場合は、私が理事長の代行や運営事務をしながら少しずつ業務の幅が広がっており、自然に世代交代していっているという感覚で、ちょうどバトンを渡されたかな(親がバトンを離そうとしているところ)という段階です。急に渡されなくてよかったと思っています。
経営と現場の分離については、双方が同じ理念のもと、両輪となって進んでいれば問題ないと思いますが、もし共有できてないのであれば、学園の理念を理解した人が中間にいてまとめあげることが必要だと思います。

Q. 現状脱却への意識改革が進まない理由はどこにあるのか知りたいです。

A.(きよせ:中村)
どのような現状からどのように脱却かによるかと思います。
当園では、大きな変更をするときは具体的にどのようにしたいか周知し、実行し、都度、状況に合わせて修正をしていくことを行っています。

Q: 組織変革にあたって、外部の信頼ある人間から「的を得ているけど、言われたくない」ことはありますか?

A.(きよせ:中村)
組織を変えていこうとしているときに、組織全体の教職員へ向けて、正反対なことや土俵が違うことを発信しないでほしいと思います。ただ個人的に信頼している人が自分だけに言う、ということであれば、厳しい意見や考え方がちがうことでも参考になることもあるかと思います。

Q. 園長または園長の跡継ぎ(子ども)として、幼い頃からとても肩身の狭い思いをしてきました。

自分自身、経理の仕事は好きですが、保育について考えたり現場について意見を伝えたり方針を伝えていくことは苦手です。自信もありません。正直、継ぎたくないというのが本心ですし、私よりバイタリティーと向上心にあふれた先生が沢山いるので、そういった先生が園長をやった方が良いのでは?と感じてしまいます。一方で、大切に育ててくれた親をがっかりさせたくないという気持ちもあり、悩んでいます。園長という立場以外で園を継いでいくというのは難しいのでしょうか?

A.(きよせ:中村)
共感できるところがたくさんあります。違った立場でも継がれていらっしゃる方もたくさんいると思います。園長以外での継ぎ方は、私も知りたいポイントです。同じような立場の方でコミュニティができればいいなと思います。

Q.  一人息子の次世代経営はないものとあきらめているところがあります。

そうすると誰に引き継げるのかという問題も出てきます。施設は16年目でまだまだ経験が足りず、引き継ぎたいと思う人材にも巡り会えていません。私自身はそろそろ引退を考えなくてはと思っています。前回研修では引き継がれた素晴らしい方々を拝見しました。すでに新しい時代になっていることを感じました。私と同じようなお悩みがある方があれば話題になればいいと思います。

A.(きよせ:中村)
とても興味があります。私(40歳)も今は息子(2歳)が一人ですので、実子で引き継ぐとなるとあと30年くらい先の話になるかと思います。本人がやりたいと言えばやればよい、ただ好きなことを頑張って成長していってほしい、と今は感じています。

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