【参加者からの学びのまとめ】自然との共主体を考える 〜園庭に共主体の場、ASOBIOを創ろう〜
前回のセミナーレポートの続編です。
今回のセミナーでは、登壇者の皆さんから有意義なお話をたくさん聞くことができましたが、聞いて満足!ではあまり意味がありません。「セミナーの内容をぜひ次のアクションに繋げていただきたい」という思いから、参加者の皆さんに「学びのまとめ」を書いていただくことにしました。
今回、なんと150名の方が「学びのまとめ」を送ってくださいました!皆さんの学びや感想から、さらなる学びを得られることを感じましたので、ここで一部をご紹介したいと思います。これからも、たくさんの方とお互いに学び合い、知恵を出し合いながら、共主体の保育を広げていきたいと思っております。
園庭が狭くても、ASOBIOをつくることができる。
園庭を変えるという事を、大きな変化と身構えていましたが、小さなことから始められるということがわかりました。
私の園では園庭も広くないので、大きなビオトープを作ることは不可能ですが、地域の公園や林を広い意味で園庭と捉えれば、こどもたちへのアプローチはできると思いました。
行事にも使うし平たい場所はないといけない園庭。そんな場所でも自生させてみたり、子どもたちが自分たちで拾ってきたものを植える場所を作ったり、小さなことから始められる環境づくりがプランターひとつでもできるんだな、と。単純なことなのになんでもっと気づかなかったんだろう、とも思いましたが、こうして参加したことで変えていくきっかけをもらい、早速先生たちを巻き込んで少しずつアイデアを出しながら環境を見直していこうと思いました。
急に全体を改革しようとせず小さなエリアから作っても、その過程の中で子ども・保育士ともに学べることが沢山あることが分かり希望を持てました。植物を増やすことにばかり気が向いていましたが、【生態系の場を作る】【命を大切にすることにもつながる】というお話を伺い目指す先をイメージすることが出来ました。
異動をきっかけにビル型園になり、園周辺にも乳児が行ける距離にはちょっとした緑がある位の公園しかなく、自然と触れ合わせてあげたい気持ちはありつつも、それができない現状に心苦しくなっています。『園庭があるからいいわけじゃなく、自然と出会う体験がいい』とおっしゃって頂けたので、今まで通り沢山散歩に出て、戸外での体験、センスオブワンダーを楽しめるようにしていきたいと思いました。
子どもだけでなく、保育者の主体性を尊重することも大切。
今回の研修に参加して、子どもだけに主体性、自主性を求めるのではなく、保育者も一緒に「共主体」が大事だと改めて感じました。職員みんなで この気持ちを共有したいと強く感じています。
保育の質の向上は、園児だけでなく職員も楽しいという気持ちが大切であると感じました。
「共主体」という言葉に共感しました。「主体的」なのは子どもだけでなく、そこにかかわる保育者もまた「主体的」にかかわる存在ということに納得しました。
今ある園庭でどのように取り組んでいけばいいか悩むところもあったけど、大切なのは主体性であり、子ども達の声を聞くことから始めていけばいのだと知り、まずは大人側の意識を変えていくことが大事だと思いました。できる所から始めていきたいと思いました。
子どもが主体であるためには、保育者も主体として活動しなければならない。そのことが社会の変革力に繋がっていくことを学びさらに研究にも役立てていきたいと思います。
『まずは大人がわくわくする活動を』忘れがちになっていたように思います。子どもの姿を真ん中に捉えることに一生懸命になっていましたが、子どもが真ん中にありつつ、大人も一緒に遊んで楽しむ。改めて自分の保育を見直すきっかけとなりました。
ドキュメンテーションの重要性を感じた。
自園でも十数年前にBIOTOPを作ったり、森の遊び場を所有していて園児と遊ぶ事を大切にしていますが、それをどのように保護者や地域の人と共有していくかが課題でした。今日の研修でドキュメンテーションの使い方を学び発信することの大切さを痛感しました。また、園長だけでなく保育者の先生たちとその場を協働することの大切さ、そして何より子どもたちとの主体的共同的なかかわりの必要性を感じました。環境はある程度あるのですが、それをどのように子どもの学びに目に見える形で提供していくのか学ぶことができて良かったです。
今回のお話を聞いて特別に新しいことをしなくてもよいのだと感じました。しかし、PDCAをしていなかった事に気が付きました。
ドキュメンテーションにしてもできない事ではなく、日々の保育を豊かにしていくツール・保護者の方とのタイムリーに時間を共有し、喜びあうことができるのであれば前向きに検討していきたいなあと思いました。
視える化や共有,伝わるという観点に力を入れていきたいと思っています。
今ある園庭環境を、さらに生かしたい。
本園は、自然体験を保育の柱の一つにしています。月1回、近くの山に連れていくことを「自然体験」としていましたが、今ある身近の自然に日常的に触れていくことを大切にしたいと感じました。園庭の中心にクローバーの丘があり、実のなる木(琵琶、サクランボ、梅)や畑もありますが、生かしきれていません。この環境を今後どう生かしていくかお話を聞きながら想像を膨らませていました。
もともと自然が好きで、保育にも自然遊びを取り入れている。その中で、あるがままの自然、あるべき姿の自然と、人工的な自然は、子ども達に取ってはどちらも「しぜん」であり、それを分けるベきなのか、という点をどうすべきか思案していた。(中略)上記二つの自然を分けることは、保育者の知識、意識としてはやはり必要であると感じる反面、その両者を無理に分けるのではなく、上手くその両者を使って、子ども達に自然体験をさせてあげられる環境を作ることが必要であると思った。
北海道は、春夏秋冬で、全く違う四季がやってきます。雪国ならではの冬の自然などにも力を入れていきたいと考えています。できることから、実践していきたいです。
その他
生態系を育む園庭が長く存続させていくには、地域に理解を得られ園庭を維持管理する協力者を増やしていくような方策をしないと、せっかく造りあげた園庭が荒れた園庭になってしまう。そのためには、保護者と保育園の方々を含め日頃からワークショップ行い、園庭の維持管理方法を検討していく必要があると思います。(ビオトープ管理士としての見解)
公害問題がクローズアップされる度に、自然保護→全国の学校で一斉にビオトープ作り。数年で管理不能制御不能。これのくり返しを何度も経験してきた。ここ最近、第何次のブームか分からないけど、またあちこちでビオトープを聞く機会が増え、ESDやSDGsとの絡みかなと思いながら見てます。今日のセミナーを受講しながら、誰からも自然や自然との共生の話しが出ないので、また数年のブームで終わってしまうのかなと感じた。
小学校からは朝顔を育てるにも結果だけで判断される教育になっていた気がします。大豆生田先生が最後におっしゃっていた、“ASOBIO=園庭をどう作ろう”ということに囚われ過ぎない、手段の目的化ではない、ということは大切だと感じました。庭にできた小さな生態系を囲んだ時、子どもの可能性を伸ばす対話が大人にできること、良い悪いや正解不正解で“ジャッジ”されてきた大人が、ビオトープの力にきっかけをもらって“べき論”を手放し、お互いに思考を広げられること、が大切と気づかせてくれる内容でした。
環境による保育が、こどもの育ちだけではなく、持続可能な社会のため、多くの人のためになっているとのお話がありました。私たち保育士はこれからの未来に続く、そんな大きな大事な仕事をしているのだと自信を持って誇りを持っていかなくてはと思いました。だからこそ、感動を日々の保育を語り多くの人へ届ける必要があるのだと改めて思いました。
「自然と共主体の保育」をブームで終わらせないために。
今回のセミナーで、子どもたちが自然に触れられる環境を作りたい!と思われた園さんはとても多いと思います。しかし、上記のご意見にもあるように続けていくためには情熱やアイデアを持ち続けることが必要です。
幸いこの時代にはICTという便利な道具があります。子どもたちの遊びや学びは思い切りアナログで。しかし、その環境を作るための情報交換や学びあい、ネットワークづくりはICTのよさをフルに生かして。
いろいろな園のドキュメンテーションを見て、ASOBIOや保育事例からヒントを得て自分の園でもやってみる。保育が楽しくなったら、みんなに共有する。そこからまた他の園さんが学びを得て、保育が楽しくなる……当社はそんな流れを作りながら、ASOBIOの輪を広げていきたいと思っています。
改めまして、今回学びのまとめを送ってくださったみなさま、ありがとうございました。
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