高く売るには事前の備えが大切!売主が不動産売却時の値引き交渉を乗り切る5つのコツとは!
「買主から価格を100万円下げてくれと言われて驚いた」
しかし、家の販売活動を始めると、買主から値引き交渉が入るのは珍しいことではありません。
そのため、ある程度の値引き交渉がある前提で準備しないと、判断に迷いが生じて、売却のタイミングを逃してしまう恐れがあります。
そこで、この記事では、値引き交渉の実態から、交渉をうまく乗り切るコツや注意点を解説します。
この記事を読むと、売主が値引き交渉に臨む際のポイントがわかって、スムーズな売却に向けて大きなヒントを得られるでしょう。
監修者情報
1 不動産売却時の値引き交渉の実態
不動産売却時に市場に出される価格は、あくまでも売主の「言い値」です。
そのため、買主は売主に対して「値引き」を求めることが多くなります。
1-1 値引き交渉があるのは当たり前
物件によって違いはありますが、中古物件の売買時には、売主と買主の間に「値引き交渉」があるのが一般的です。
売主が「できるだけ高く売りたい」と思うのと同様に、買主は「いい物件をできるだけ安く買いたい」と考えます。
そのため、値段を下げるかどうかは別にしても、需要の高い物件以外は買主からの値引き交渉があると考えておきしょう。
1-2 値引き交渉はどのように行われているのか
値引き交渉は、まず買主から仲介している不動産会社に持ち掛けられ、その後、不動産会社の担当者から売主に報告・相談があります。
内覧時や買主が具体的に契約を検討している時に持ち掛けられることが多く、「少し安くなりませんか」といったアバウトなものから、「この値段になれば契約します」といった具体的なものまでさまざまです。
とくに買主の購入意思が明確な場合は「買付証明書」という書類が、買主から不動産会社に提出されることが多く、購入希望価格も明記されています。
いずれの場合も、売主は不動産会社の担当者を通じて回答しますが、値引きに応じるかどうかは売主の裁量です。
不動産会社のアドバイスには耳を傾けたとしても、必ずしも買主の希望に沿う必要はありません。
1-3 価格は下がって成約している
値引き交渉を経て、実際に売買契約が結ばれた価格(成約価格)は、当初販売を始めた価格(売り出し価格)より安くなる傾向があります。
2024年1月に発表された公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」を見てみましょう。
あくまで首都圏の中古戸建ての例ですが、売り出し価格にあたる新規登録物件が4,294万円なのに対し、成約価格は3,848万円です。
すべてが値引き交渉による価格低下とは言い切れませんが、全体としては販売期間を通して約10%程度価格が下がっていることがわかります。
値引き交渉は別にしても「成約価格<売り出し価格」になっていることは念頭に置いておきましょう。
2 値引き交渉をうまく乗り切るコツ
実際に値引き交渉を持ち掛けられたら、売主はどうすればいいのでしょう。
ここでは販売開始前の準備から、販売活動時の対応までを説明します。
2-1 少し高めの価格で売り出す
販売開始時の「売り出し価格」は、値引き交渉があることを前提にして、少し高めに設定するのも1つの方法です。
売り出し価格は適切な価格設定が求められる一方で、値引き交渉があることを考えると「1円も下げられない」価格設定にもリスクがあり、注意が必要です。
値引き交渉の余地が全くない場合、買主は物件に対する「お得感」を見いだせず、購買意欲がなくなる可能性もあります。
もちろん、売り出し価格が相場からかけ離れてしまうと、最初から買主の興味を引けません。
そのため、例えば2,980万円から2,900万円など端数分の値引きなどを前提に、上乗せを検討してみてもいいでしょう。
2-2 余裕を持った販売スケジュールを組んでおく
値引き交渉に対して冷静に対処するには、販売期間に余裕があることも大切です。
買い叩かれて値段が下がってしまうケースの1つに「売り急ぎ」があります。
早く売らないといけない事情があれば、それだけ買主を見つける時間が限られ、引き合いが少ない場合などは価格を下げざるを得ず、交渉が買主主導になってしまいがちです。
それどころか、場合によっては売主側から価格を下げて販売をやり直す必要もあります。
一般的な販売期間は3〜6カ月程度ですが、事情が許せばできるだけ期間を設け、余裕を持って値引き交渉に臨むことも必要です。
2-3 どこまで妥協できるのか不動産会社と共有しておく
売主がどこまで価格面で妥協できるのか、常に不動産会社の担当者と共有しておく必要があります。
売主が直接買主と話をするわけではなく、折衝するのはあくまでも不動産会社の担当者です。
そのため、売り出し価格の設定時はもちろん、販売開始後の販売状況も確かめながら、売主としてどの価格までなら妥協できるのか、担当者とコミュニケーションを取っておきましょう。
売主の妥協可能な範囲が明確でないと、担当者は買主との折衝がやりづらくなります。
また、価格の折衝は、誤解があればトラブルにもなりやすいシビアな話です。
例えば買主が200万円の値引きを求めていて、売主は100万円までは値引きが可能というケースもあるでしょう。
そのため、どこまで、どのような話し方やニュアンスで買主に伝えるのか、売主と担当者で細かく詰めておくことが大切です。
2-4 不動産会社を通じて、買主の状況をよく確認する
買主がどのような懐具合なのか、不動産会社の担当者を通じて、可能な範囲で把握しましょう。
買主にも、とにかく1円でも安く買いたいと考えて値引き交渉する人と、実際に住宅ローンの借入限度額や手持ち資金の関係で、予算にハッキリとした上限のある人がいます。
とくに予算がハッキリしている買主に対しては、売主が譲歩できる金額を明確にして、早めに判断した方が売主・買主双方にとってプラスです。
いずれにしても、買主の状況は、不動産会社の担当者から直接確かめてもらうしかありませんので、売主はその情報を参考に値引きに応じるか検討しましょう。
2-5 価格以外の条件も検討してみる
価格面で折り合わないときは、場合によっては価格以外の条件で折衝することも可能です。
不動産売買の条件は、価格以外にも引き渡し時期や、どのような状態で引き渡すのか、あるいは手付金の金額など多岐に渡ります。
これらの条件の中で、歩み寄れる事項を調整して価格の溝が埋まれば、成約にこぎつけられる可能性もゼロではありません。
値引き交渉が不調でも他に歩み寄れる点がないのか、不動産会社の担当者と相談してみましょう。
3 値引き交渉時の注意事項
値引き交渉にあたって、売主が注意しておかなければならない点をここで3つほど解説します。
3-1 売主も販売状況や相場を把握しておく
値引き交渉にどこまで応じるか判断するには、売主が相場の状況を把握していることも大切です。
買主が求める価格が売主の希望に沿わない価格であったとしても、実際は相場に見合った価格かもしれません。
売主が希望価格に固執しすぎると、販売チャンスを逃し、結果として販売価格が下がることもありますので注意が必要です。
不動産会社から報告される販売状況はもちろん、不動産ポータルサイトなどでの類似物件の価格や、どのような物件が売れ残っているかも把握しておきましょう。
3-2 不動産会社の意見はしっかり聞く
値引き交渉にどう対応するか、必ず不動産会社の担当者の意見を聞きましょう。
売主が値引き交渉を数多く経験することはありませんが、不動産会社の担当者は常にそのような場面に接しているでしょう。
知識や経験が豊富な担当者であれば、物件や相場の状況などから、どの程度の売買価格が適切なのか把握しています。
担当者にも「早く契約を成立させたい」というマインドはありますが、それでも売買の当事者より冷静な判断が可能です。
値引き交渉に際しては、知識や経験のある不動産会社の担当者の意見を大切にすることを心掛けましょう。
3-3 買主へのマナーや縁は大切に
最後に注意したいのは、値引きを求めてきた買主への対応です。
値引き交渉はうっとうしく感じがちですが、希望があるということは買主が物件に興味を持っていることの裏返しでもあります。
今回は断ったとしても、再度違う条件が提示される可能性や、今後販売が芳しくないときには売主からオファーする可能性もゼロではありません。
この先どこに「縁」があるかわかりませんので、提示された条件はしっかり検討し、断る際も買主の立場に立って早めに回答するなど最低限のマナーを守りましょう。
4 まとめ
今回は、買主から持ち掛けられる値引き交渉の実態や、交渉を乗り切るポイントを解説しました。
実際はわかりませんが、値引き交渉があると想定して準備することが大切です。
売主も販売状況や相場を把握し、不動産会社の担当者とコミュニケーションを取って、買主との交渉に臨みましょう。
この記事を見て、皆さんの販売活動がスムーズに進むことを願っています。
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