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米国大学院留学におけるIELTSのすすめ(主としてLL.Mのため)

この記事は米国のロースクール(LL.M)への留学を考えている方を始め、米国大学院留学を目指す方に向けた英語の試験(TOEFLとIELTS)の選択についての記事です。

私自身は2024年秋からの留学を予定しており、現在出願手続きを一通り終えた段階(一部これからの学校もあり)ということもあり、振り返りもかねてまとめています。初めてTOEFLを受けたのが2022年春だったのでそこから約1年半は長い戦いでした。


1. 米国大学院留学における英語要件(English Requirement)

※以下の記載は2023年のデータでTOEFLやIELTSの要件については年によって変動等もあり得ますので必ずご自身で最新のデータをご確認ください。

米国の大学院に留学するにあたって、多くの留学経験のない日本人にとって最も大きな壁となるのが、英語要件だと思います。ロースクールではTOP校がしばしばT14(※1)と括られるのですが、T14の大半がTOEFL100点以上を要件としています。(シカゴ104点、コロンビア105点等より高い基準を設けているロースクールもあります。)なお、MBAでもTOEFLに関しては概ね100点が基準となり、一部のトップ校はもう少し高い点数が求められるようです。

※1 https://ja.wikipedia.org/wiki/T14_(%E5%AD%A6%E6%A0%A1)

IELTSについては、T14のいくつかのロースクール(2023年現在だとミシガン、コーネル、U.C.Berkeley等)はIELTSのOverall7.0をTOEFL100点と同等の英語要件として認めています(一部認めていないロースクールもあるので要注意)。なお、TOP Tierのシカゴやコロンビアもシカゴの場合Overall7.5(かつ全パート7.0)、コロンビアの場合Overall8.0を英語要件として認めています。

志望校がTOEFLのみ、又はIELTSのみしか受け付けていないなら当該試験で頑張るほかありませんが、両方受け付けている場合はどちらを選択するか悩む人も結構いるんじゃないかな、と思います。(個人差があるのでそういう場合は両方受けるのが良いと思いますが、)多くの日本人にとってIELTSの方が点が取りやすいんじゃないか、ということをお伝えするのがこの記事の趣旨です。
なお、米国の大学院ならTOEFL、英国の大学院ならIELTSが良い、という言説も時々見られますが、個人的には、単なる英語の要件に過ぎないので上記のような先入観にとらわれることなく基準の点を取りやすい試験を選ぶのが良いと思っています。

2. TOEFLとIELTSの主な違い

TOEFLもIELTSも4技能(Reading, Listening, Writing, Speaking)を測定する試験ですが以下の点が受験者にとって大きな違いと思います。
(1)TOEFLの方が単語がAcademic中心、IELTSはAcademic関連の語彙レベルはTOEFLよりやや易しめである一方単語の書き取り問題がいくつかある。TOEFLはReadingとListeningは全問選択式。
(2)TOEFLのSpeakingやWritingは会話や講義を聞いて回答する問題が複数あるのでリスニング能力が大きく絡む。
(3)TOEFLのリスニングは会話や講義を聞いてから設問が表示されそれに解答していく形式、IELTSのリスニングは会話や講義を聞く前に設問と選択肢を確認可能
(4)TOEFLのSpeakingはPCに向かって解答(30秒~1分×4問)、IELTSは試験官との会話形式が中心(14分程度、その中に2分間スピーチあり)

3. 日本人の多くにとってTOEFLよりIELTSの方が点が取りやすい理由

(1)そもそもTOEFL100点とIELTSのOverall7.0だとIELTSのOverall7.0の方が少し取りやすいものとされています。以下にTOEFLを主宰するETSが発表する換算表を貼っておきますが、TOEFLを25回、IELTSを10回受けた私自身の体感とも大体一致します。

出典:https://www.jp.ets.org/toefl/score-users/ibt/compare-scores.html

(2)次に特に留学の経験のない日本人の多くにとってIELTSの方が点が取りやすいと思われる理由については、2で挙げたようにリスニングの負担が少ないからです。TOEFLやIELTSのリスニング(特にTOEFLのリスニング)は相当語彙のレベルが高く内容も高度であり、ある程度勉強を進めてもなかなか長い会話や講義の内容をしっかり把握することは難しく、それゆえ点数を安定させることが比較的難しいように思います。また、それくらいのレベルだとWriting、Speakingパートでもリスニング能力で何点か落としてしまいます。
他方でIELTSだと設問を先に確認することで解答に関連する部分を集中してリスニングすることができます。また、Writingにリスニングは必要ありませんし、Speakingは試験官の質問がわからなかったら(何回かは)聞き返すことも可能です。
ただし、Writingについては一般的にIELTSの方が難しい(点数が出にくい)と言われており、また、上記リスニングについてもあくまで個々人の英語力のタイプによるとは思います。
私の場合TOEFLのリスニングは今年の夏の段階になっても、25点弱のことが多く伸び悩んでいました。他方でIELTSのリスニングは7.5~8.5をとれることが多かったのでIELTSの形式があっていたのだと思います。

4. 私の受験記録、備忘

TOEFL(全部は載せてません)

IELTS

4月にTOEFL93点を取った後スコアが思ったように伸びず結構焦りました。今から振り返ると、去年の冬くらいにもっとしっかりリスニングやスピーキング(発音矯正等)をやっておくべきだったな、と思います。出願年の夏前に志望校のリスト等も見ながらTOEFLメイン→IELTSメインでスコアメイクを図る方針にシフトするというギリギリのスケジュールでしたが、両試験で対策が共通する部分も多かった(結局は4技能をしっかり向上させることに尽きる)こともあり何とか一応のスコアメイクはできました。本当はSpeakingで7.0をとってOverallは8.0を目指したかったですが。。

5. 終わりに

この記事が後に留学する皆様に少しでも参考になれば幸いです。特に海外留学・在住経験のない方にとっては、日々の仕事等他のこともやりつつ大学院留学の英語要件を満たすのは大変だと思いますが頑張ってください!

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