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言葉を覚える

円滑な人間関係において言葉でのコミュニケーションは大切なツールのひとつです。

赤ちゃんは何時から、どのように言葉を学んでるのでしょうか。
脳科学の側面も含めながら学んだことを書いていきたいと思います。

人の脳は受精後数日で受精卵は外胚葉、中胚葉、内胚葉と分化した中の外胚葉から形成されます。外胚葉の一部から神経管が形成され前脳と中脳と脊髄が作られることがわかっています。
受精後5週目には皮質(前脳)、視床と視床下部(間脳)、中脳となり残りの部分が小脳と延髄となって受精後36週でほぼ大人の脳の形となります。
そして出生後にも脳は発達し、誕生から成年期の間で脳の容積は4倍にもなるのです。

よく右脳はイメージ脳、左脳は言語脳といわれていることはご存じだと思います。
これは右脳にはイメージや感情、空間認知、創造性などに関わる機能が、左脳には言語に関するブローカ中枢(言語を発する機能:運動性言語中枢)とウエルニッケ中枢(話し言葉を聞いて理解する:知覚性言語中枢)が存在するからです。

ところが、実は乳幼児期は言語発達において左右差がなく、どちらかというと右脳が優位であることがわかってきました。

研究でも乳幼児は言語に関して左脳優位でないことが明らかになっています。
Batesらは言語発達に関して局部脳損傷を受けた子どもの言語への影響について調べたそうです。
局部脳損傷を受けた子どもの言語への影響を調べたところ、右半球損傷の子どものほうが言語理解とシンボリックな身振りの遅れが大きかったそうです。
そして左側頭葉(ウエルニッケ中枢)に損傷を受けた乳幼児は、誰も言語理解の遅れを示さなかったという結果や
ま生後19~31か月の間の前頭葉損傷の影響は左右に関わらず語彙と文法の発達に大きな影響がみられたということで、ここでも左右差に違いは見られていないことになります。

それでは乳幼児はどのように言葉を学んでいるのでしょうか?

乳幼児の言葉は
0~1歳:喃語…「あーあー」「うー」といった母音から始まる言葉
1~1歳6ヵ月:一語分…「まんま」「ブーブー」など意味のある単語
1歳6ヵ月~2歳:二語文…「これ ちょうだい」など二つの単語の組み合わせ
2歳~2歳6ヵ月:三語分…「わんわん えほん よんで」など三つの単語の組み合わせ
2歳6ヵ月~3歳:模倣…おとなのまね
3歳~4歳:複文…代名詞や助詞を使えるようになる
4~5歳:コミュニケーション…言葉で自己主張、自己の思いを伝える
5~6歳:物語…体験したことを言葉で伝える
という段階で発達するといわれています。

余談ですが、娘が1歳くらいの時に夫を「とー」私を「かー」と呼んでいたことを思い出しました。
カラスも「かー」でしたけど(笑)

誕生間もない赤ちゃんは、お母さんが「おはよう」と言うと朝の空気や質感、光などからいつ「おはよう」と言われるかどんな音を組み合わせて発話されているか、体験や体感を通して学んでいます。

生後1~2か月で自然言語に見られるほぼ全ての音の示差的特徴を区別できるという研究もあります。
さらに6ヵ月までに母語の母音をすでに同定しているそうです。
だから喃語がお話しできるのですね。

生後6ヵ月以内の乳児はあらゆる言語の音声を全て聞き分けることが出来るらしく、6~12か月以降になると日本語だけに触れた乳児は、日本語の主要な音声のみを聞き分けるようになるそうです

そして3歳前後で右脳から左脳が優位になるそうです。
これは複文が使えるようになる頃と一致しています。

それにしてもこんなに短期間に言葉を手に入れるなんてすごいことですよね。

言語習得においては『臨界期』(言語を円滑に習得できる時期)が存在するということも言われています。
一般的には思春期頃までという説が多いのですが、まだまだ明らかにされていないことも多いようです。これからの研究を待ちたいですね。




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