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【あとがき】『メタ・マッチング』【謝辞】


謝辞


この記事を書くにあたって、まずは感謝の言葉から始めさせていただきたいと思います。

『メタ・マッチング』という短編作品を投稿してから、だいたい二日が経ちました。

その間、二人の方にこの記事を購入していただいたのです。

購入の通知に気づき、「まじか!」と歓喜の声をあげ、放心し、しばらくダッシュボードをうろついてから知ったこと。

「あ、これサポートと違って、買ってくれた人のコメントがセットになってるわけじゃないのか」

30分ほど購入者コメントを探し回っていたほしがりな僕を、どうぞ笑ってやってください。

プライバシーが損なわれるのを危惧し、今のところ名前は書かない方針をとりますが、AさんCさん、お二方、本当にありがとうございます。




10,000字が制約になるとき


さて、この作品はタイトルにある通り、コルク社のデジタルノベルコンテストの第一回に公募したもの。

僕のあとがきの方針としては今後、作品の内容にはあまり触れず、その外側、背景、技術的な部分について書いていくことにします。

まずこの作品の立ち上がるときに見えていたものは、10,000字かつ次世代的なもの、というところが前提にありました。

本コンテストは、デジタルならではの形態の追求やSNSとの親和性を高めることで、デジタル時代における小説の新しい形を模索し、より多くの読者に作品を届けることを目指し、継続開催してまいります。

株式会社コルク 電子書籍チーム

僕は得てしてこういうときに、やはりSFを考えてしまいます。

最初に浮かんだのは『AI』についてでしたが、今となってはもはや手垢のついたジャンルだろう、『マッチングアプリ』なら少し角度の違ったものが書けるんじゃないか、というところで題材が決定。

みなさまならどんな作品にするのでしょう。


<文字数>
4,000字以上〜20,000字以内

応募要項より


今回は字数を10,000字と決めて書き始めました。

長編ならば、だらだらした部分もある程度許容され、というかそこが読み心地の良さにもなって、シャープな部分とそうじゃない部分のコントラストが楽しめたりします。

でも短編となるとそうはいかず。

ならばできるだけコンパクトなものを、と練ってから書くと今度は字数が足りなくなる。

その困難、制約。

今回はあえてそこに挑戦してみようと思いました。

そして僕にとってそれが10,000という数字だった、ということになります。



作品形成の過程


応募要項から、『SF』『マッチングアプリ』『10,000字』ということが定まった後、次にやったことは『主人公』を作り込むことでした。

これらの質問を主人公に向けていき、少しずつキャラの輪郭を立ち上げていく。

それがある程度までいくと、次は彼が最初に出会う女性。

彼女には、主人公ほど丁寧な作り込みはしませんでした。

理由はもうすでにある程度、彼女のイメージが主人公の輪郭とともに立ち上がっていたこと。

そして最も大きなところでは、女性がもつ複雑な神秘性みたいなものを意味など与えず、できる限りそのまま表現したいという想いがあったからです。

そこまできて、本文を書き始めました。

なので成り立ちの順序としては『世界観』→『主人公』→『女性キャラ』→『舞台』→『執筆』という感じになります。

もちろん、初稿を上げるまでは順序など気にせず、決めたいものから決めていきました。

この一見、行き当たりばったりにも見えるやり方には、しかしそれなりの目論見があって、あえてラフな初稿を上げることで、後の推敲の段階に比重を置きたかった。

その点で言えば、今回の作品の技術的テーマは『推敲』だったといえます。



推敲すること


本文そのものは二週間ほどで書き終え、後に推敲。

その推敲期間もだいたい二週間ほどで、いつもよりも長い。

そして今回、投稿用にいわば『note版』を仕上げるために、三度目の手直しをしています。

そうやってあとから眺めてみると「ああ、ここちょっと流れが悪いな」とか「この情報あったほうがいいだろう」、「目次が効果的じゃないかも」といった箇所がいくつもみつかり、正直驚きました。

この公募に参加したのは10月の末。

たった3ヶ月で本人すら、これだけ評価が変わるものなのかと。

あるいは、それはただの好みの変化なのかもしれません。

なにも僕もこの3ヶ月間、冬眠するみたいにじっとしていたわけではなく、いろんな本を斜め読みして結局どれも読了してなかったり、姪を笑わせることに尽力したり、TikTokにハマったりしていましたから。

しかし当時はこの作品に関して「できるだけのことはやった」「個人的にも気にいっていて、手応えもある」という自負があった。

にも関わらず、公募はすんなり落ちてしまいました。

受賞作発表の日は、何も手につかないほど参ってしまったのを思い出します。




全力でやる


ただ現在は、それが正当な評価だとわかる。

それくらい、執筆時の自分が未熟だったのだとわかります。

そしてきっとそのときだけではなく、今の自分も、未来の自分から見ればきっと未熟なのでしょう。

というところまできて。

「じゃあやめます」とはならなくなりました。

「次こそは」「もっと」という気持ちが湧く。

その証拠に一ヶ月もたたないうちに、また性懲りもなく一万字の作品を書き始めています。

今はただ、そのトライ・アンド・エラーが許される環境と、どういう形であれ人の目に触れる、このnoteという場、そして読んでくださる皆さまへは圧倒的な感謝しかありません。

ちょっと挫けた投稿をしてしまったとき、いただいたいくつもの温かいお言葉はひとつも忘れることがありません。

今、この作品を読んで「なんかよくわからなかった」とか「個性的な作品ですね」とか、有り体にいえば「つまんない」「理解不能」という評価が下される可能性があるのは仕方がないことと思います。

しかし、これが現時点の僕の全力。

全力でやるから、次がある。

結果的に肌感覚として、そのことがすこしわかってきた作品になりました。



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