誰でもクリアできるエースコンバット7―出撃毎に鍛えられるプレイヤー―
肉を焼くより簡単なエース
天候という新システムを空戦のスパイスに取り入れた本作は、他の作品より難易度が高いといわれる。雷雲に突っ込めば雷で操作不能になったあげく、地面に向かって飛ばされる。リアルな雲は現実と同じように方向感覚を消してしまう。さらに、その雲が飛行機を凍らせて動きを鈍くする。気流は機体の制御を困難にさせる。
じゃあ、クリア率はどうだろう。
アレ?言うほど悪くないぞ?ほかのゲームと比べてみよう。
導きの青い星というのが、モンスターハンターワールドの最終ミッション実績だ。これと同パーセントかつ、戦争を終結できるエースは肉をこんがり焼やける人間より多い!
エースコンバット7流ブートキャンプ
自分はその理由をゲームの導線の巧みさに求め、データを消して最初からやってみた。すると色々腑に落ちる場面が多く出てきた。
空戦ばかりの序盤メイジ隊、劣悪な環境の中盤スペア隊、後半ロングレンジ隊で仕上げられ、最終的にはストライダー隊のトリガーとして一人前になる…。
後半になるほど環境は良くなり、プレイヤーは天候に左右されずに操作が可能になる。すると、自在に操縦できる解放感と快感とで、厳しさよりも達成感を得られる構図になっているのだ。
メイジ隊:上層部と機体に振り回される序盤
メイジ隊では機体コントロールを徹底的に叩き込まれる。気流にどう抗うか、雲はどう邪魔か。そして「敵機の後ろからミサイルを叩き込め」というこのゲームの大原則を付け加え、ゲームとして成り立たせてる。正直メイジ隊が一番窮屈な隊である事は、ストーリーからも伺える。正確な無人機に対抗するように民間被害0を要求したり、司令部に振り回されたりと正直遊んでて一番ストレスを与えてくる。
このようなガチキレされる無能を晒したり
このような無理ゲーだったり
メイジ隊ラストであるミッション04「灯台守」では、レーダー網くぐりという緊張感という意味でのストレスを存分に与えてくる。
赤がレーダーで触れればアウト。一枚目の中央左にあるぽっかりある穴がゴールだ。
そうしてストレスと共に、次の部隊に送られる。
スペア隊:地形も無茶ぶりも突っ切れ
読んで字のごとくなスペア隊は、懲罰部隊の名の元にバラエティ豊かな地形に送りだされる。仙人が住んでそうな岩山だったり、砂嵐の中だったり…。ここでは、不自由な飛行をわが物にする為のミッション群が配置されている。「雲に隠れれば、ミサイルが飛んでこない」「渓谷を抜ける為には、どう動けばいい」といった術を叩き込まれる。
ここではお気に入りであるミッション06「長い一日」で登場する、渓谷基地への攻撃を見てみよう。
飛べる空間は少ないので谷を縫うような飛行を求められる。そうしてメイジ隊では、二次元だった制約を三次元にしてくる。空中に逃げる事は出来るので、航空機ならではのヒットアンドアウェイで仕留める事が出来る設計になっている。一つ一つステップアップさせるのが見れるだろう。
なんなら上空から爆弾を投げ込んでもいい。
ストーリー面で一番印象に残るのは個性豊かな囚人どもだろう。博打頭に情報屋に政治犯、詐欺師、脳筋…彼らは例外なくプレイヤーに教えてくれる。規則なんて適当にぶっちぎれと。規則を次々に押し付けられていたメイジ隊とは打って変わってだ。
公式サイトより引用。なんともまあな説明だ。
そうして無茶ぶりの山を乗り越えれば、君はエースとして扱われる。
ロングレンジ部隊:学んだ成果を見せてみろ
ここではプレイヤーは隊長としてエース達を率いていく事になる。勉強する要素も最低限で、初ミッションの「船は怖いが対策出来る」程度だ。エースコンバット7はここからが本番といってもいい。前まで叩き込まれたノウハウすべてを出し尽くすミッションの数々に挑戦する事になる。「ここまできたらやれるだろう」とばかりにスペア隊を超える無茶ぶりを投げかけられる。
しかし印象としてはメイジの窮屈さも、スペアの無茶ぶり感からも、解放されている。上層部からの口出しから解放され、天候は安定しており、雲は友達として付き合える。プレイヤーは正規部隊のエースとして皆を導いていく事になる。
ミッション14「ケープレイニー強襲」を見てみよう。コレは攻撃せずに渓谷を潜り抜け、奇襲するミッションだ。上記のミッション二つに、高度制限とサーチライトも合わせて三次元になった火の輪をくぐれと言っているミッションだ。
意外と渓谷には空間があり、通過するのに集中すればいいので厳しいはずだが「歯ごたえがある」となる。ここで、先の「レーダーくぐり」と「渓谷基地攻撃」がプレイヤーを鍛えていた事に気が付いた。求める事は同じだが、内容をステップアップさせプレイヤーに達成感を与えているのだ。
達成感を与える方策として、エースコンバットでは褒めの多彩さが特徴として挙げられてる。
中略
エースコンバット7のセリフ担当、鬼頭雅英さんのTwitterより引用。
まさに飴と鞭の関係だ。キツいが出来る事をやらせて、出来たらべた褒めにする。そうして、最後までやろうという気にさせている。飴も巧みならば鞭も巧みである。熟練の技という他ないだろう。
では、そうして鍛えられ続けた最後に何が待ち受けているか。最終ミッションのラスト、通称「カウントンネル」の簡単な紹介をして締めとしよう。
何故か起伏があるトンネルに潜り
閉じるシャッターに滑り込み
エレベーターを昇らされる。
加減しろよバカ!!!
これでもこんがり肉焼くよりは簡単なんですよ。統計ではほんと
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