M-1 2023と俺の感想
今までのM-1の思い出
M-1の感想を書く。書く前に自分とM-1の関係性について話したい。
M-1をちゃんと見るようになったのは2019年からで、それまではそもそもお笑いに興味がなかった。M-1を見始めるようになったきっかけは、なんとなくYoutubeのよしログでマヂラブが最下位になったときの裏話からだ。(野田が平場で上半身裸になろうとしたら、番組側から股間を見せつけM-1丸ごと終わらせようとしていると勘違いされた話。)実際にその場面を見返すと、あまりのネタの滑りっぷりと上沼さんに怒られた後の狼狽が面白すぎて、M-1に魅せられ始めた。2019年は敗者復活から見ていたが、ちょうどミルクボーイのネタ中に風呂に入るという大失態を犯す。
完全にM-1にはまったのは2020年だ。それまで、ANN0の特番等で少し追っていたマヂラブが決勝に出るということで、敗者復活からかじりつくように見ていたが、ついにマヂラブが優勝してしまった。自分は今までスポーツとかに全く興味がなく、ある意味贔屓が勝つというのを初めて経験したので、その嬉しさからM-1、ないしお笑い文化にのめり込むようになった。よく覚えているのは、決勝直前、元SMAP稲垣のラジオにマヂラブが出るということで聞いていると、村上がEasten Youthの「夜明けの歌」を紹介していたことだ。優勝した翌日の朝に聞くその歌はなんとも心に響いた。
それからは、Youtubeで三回戦・準々決勝の動画を確認したり、準決勝を配信で見たりと、よりM-1の距離が近くなっていった。一人暮らししてからは、家にテレビがないのでわざわざホテルで見るようにしている。去年はなぜだが六本木のホテルを予約していたので、敗者復活の雰囲気を生で確認することができた。
自分のネタを見るスタンスとして、好き嫌いが激しすぎるなと思うところがある。しかも、ネタの嗜好以前に生理的な部分で受け付けない部分があったりするので、自分の心の狭さに嫌悪してしまう。ナイチンゲールダンスはヤスがもし同級生だったら絶対大嫌いだったろうなと思いネタが入ってこないし、ダウ90000はそもそもあんなに女子に囲まれて漫才していると思うと嫉妬が抑えきれなくなる。ルサンチマンもここまでこじれると、ネタの視聴そのものに支障をきたしてしまっている。なので、評価の高いネタを見ても全然はまらないことは多々あるのだが、そのたびにもっと僕の心が広ければ最高なのですが…と嘆きたくなる。芸人につまらないなんてのはなくて、つまらないと感じたらそれはもう嗜好のアンマッチなんだと思う。(なんかこの後書く感想の予防線はってるみたいになってるな…)
そんなこんなで、M-1と自分の関係性をまとめたところで、今年のM-1の感想を書いていきたい。
敗者復活戦
これは毎年思うことだが、決勝より敗者復活の方が楽しく見れている。決勝はもう出順や滑るか滑らないとかの本来見る側が気にする必要のないことで頭いっぱいになり、集中できない。あと、単純に敗者復活でよく見るなんでそれやろうと思ったんだってなる奇抜なネタの雰囲気が好きなんだと思う。
今年の敗者復活は、鬼としみちゃむ~スタミナパン~トムブラウンの地獄の三連星が最高だった。(M-1全体で見ていてもあそこが一番笑っていた。)スタミナパン、トムブラウンは準決の配信から大好きだったのでまた見れてよかったのはあるが、鬼としみちゃむが加わってあの並びで見れたのが奇跡だったと思う。(鬼としみちゃむはマイナビラフターナイトのネタも好きだったので、好みなんだなあ。)
あと、シシガシラの勝ち上がりが本当にテンション上がった。昼食を食べているとき、たまたまシシガシラのピピパピパ放送局を聞いていたので(毎週欠かさずというよりたま~に聞いているだけなんですが…)、その影響もあったと思う。あのネタは今年のM-1で最も観客との一体感があった。ピピパピパ放送局も二人が芸人でいることを本当に楽しそうに話しているのが好きだったので、勝ち上がって楽しそうにしているのを見てこっちも嬉しくなったな…!
敗者復活がこんなに楽しかったのもシステムのいい変更のおかげだったと思う。どうしてもお笑いのファンの怨嗟がつきまとってしまう国民審査がなくなったのはもちろん、会場投票によるノックアウト形式(準決の順位が関係してるからある種の公平性も担保されていると感じた)、最後の芸人投票も全て納得がいった。
総じて、敗者復活は今まで見た中でも最高だったと思う。
令和ロマン
トップバッターを引いてあちゃ~と叫んでしまった。これは誰が引かれてもそう言ってしまうだろう。KOCのカゲヤマの件もあったが、流石にM-1には関係なく様子見になってしまうのだろうとばかり思っていたので、ちゃっかり3連単予想から外していた。(あちゃ~)実は、自分の中でなぜだが令和ロマンのしゃべくり漫才はあまりはまらない印象がある。(その代わり、コント漫才の方はどストライクである。)マイナビラフターナイト決勝のネタでも、今回のネタでもなんか変なことをやってるな~と冷めてみてしまい、ノれなくなってしまった。だからこそ、会場の湧き具合と高得点を見て、やっぱこの人たちすげえんだなと才能をめちゃくちゃ感じた。でも、流石に3枠は残らんよな~、もったいないよな~ともつぶやいていたので、まさかそこまで裏切られるとは思わなんだよ…
シシガシラ
敗者復活から勝ち上がって応援していたので、またもやあちゃ~と叫んでしまった。ネタに関しては敗者復活のとは違かったものの、決勝のもYoutubeで何度もみて好きだったので、会場の空気でこんなに振るわないもんかと首をかしげてしまった。いやこれめちゃくちゃ面白いじゃん…会場の空気については後でまとめるが、今年のコンビ10組ですごく滑っていると感じるようなコンビはいなかったと思う。去年は、ダイヤモンドとキュウが流石に滑っているように見えていたが、今年のはこれ客に伝わってないんじゃないかな…と感じる方が多かった。来年はハゲネタのストレートで決勝に行ってほしいと切に願っている。
さや香
めちゃくちゃ面白い。非の打ち所もないし、面白いのが周知の事実過ぎて、感想が出てこない。さや香を見ていると新山がかっこよすぎて、こんな顔になれたらマッチングアプリでもっとうまくいってたよなと思う。言うことがそれしか思い浮かばない位面白かった。
カベポスター
カベポスターのやる漫才がどの漫才よりも一番好きかもしれない。なんでこんなに好きなんだろうとよく考えていて、仮の答えが自分の中にある。「ギャグマンガ日和」に似ているからだ。今回のネタ「おまじない」は、「小学生のやるおまじないが恐喝につながっている」というテーマが根底にあってそこから枝葉のようにボケが広がっていく。なんというかその構成がギャグマンガ日和と似ていてすごく好きなのだ。(ギャグマンガ日和でも、デスゲームのルールがひたすら分かりづらいとかマンガの誤植が多すぎるとか設定そのものが面白いっていうのが多い。)2021年の準決でやっていた文化祭のネタは、「教頭の権力が強すぎる」という設定とそこから広がるボケがあまりに面白すぎて、1~2週間はその余韻で何度も思い出し笑いをしていた。だからこそ今回のネタはなんでこんなに響かないんだ…!!と思いながら見ていたら、最後浜田がめちゃくちゃ噛んでいることに全く気付かなかった。置いてかれた…
マユリカ
マユリカはもう二人の人間性が面白すぎて、ネタ関係なくなにやってても面白いという状態に片足突っ込んでいる。だからネタの内容は一番覚えてなかいかもしれない。この二人が売れるのにM-1優勝という看板はいらないよな…と思うくらいには平場含めて面白かった。(シンプルに汚れと言われてリアクションする中谷が最高すぎる。)
ヤーレンズ
自分は、ヤーレンズのネタが全然のれない。理由は分からないが楢原があんまり受け付けない部分もあって、決勝1本目は集中してみていなかったと思う。これは嗜好のアンマッチの問題なので、高得点をとって2位になっても,あそこまでうけたらそりゃいくよな…と納得しかなかった。
真空ジェシカ
ラフターナイトの時からラジ父を聞いているので、初めて決勝に行ったときは心の底から嬉しかった。(ラフターナイト時代の準々決勝で落ちて落ち込んでいる回が好きすぎて何度も聞いた記憶もある。)だから、決勝でイマイチ伝わらなく順位が伸びず、その1年後、準決で爆笑をかっさらって決勝にいく姿をみると凄すぎて逆に恐怖すら覚える。ツイッターで真空ジェシカだけ真空ジェシカと戦っているというツイートを見て、言い得て妙だと思った。自分の中では、1日市長も人材センターもZ画館も優劣を付けられないほど最高に面白いので、真空ジェシカとM-1決勝の相性が絶望的に悪いとしか思えない。(Z画館は単純に映画泥棒が勝つところが面白すぎた。)だからこそこれはもうわがままだが、来年も再来年も決勝にいってなんでこんなに面白いのに…ってなりたいなと本気で思う。さらにわがままをいうとラストイヤーで奇跡的にピースが組み合わさって優勝してほしいとも願っている。
ダンビラムーチョ
ダンビラムーチョは去年の敗者復活のネタが大好きだった。(弟が生きとし生ける者をよく歌っていたのが、余計に面白くさせていた。)今年のネタはそこまで好みではなかったが、それでも準決で爆笑を取っていたので、こんなにウケないのか…とは感じた。最終決戦いってたらミニトロンボーン吹いてたのかな…
くらげ
決勝メンツ発表のときに、渋い人選だなあ~と思ったが、準決勝・決勝でも確かに面白かった。改めて思い返すと、サンリオ、リップより最初の13アイスの所が一番面白い。13アイスに詳しいアロハシャツの坊主ってなんなんだ。基本的に審査員に対して文句はないのだが、このコンビへの松本人志とのコメントはちょっとかわいそうだった。システム漫才の出来をミルクボーイと比べるのはさすがに残酷すぎる。あんなの十年に1度のレベルなんだから…
モグライダー
モグライダーのネタもあんまり好みじゃない。ただ、準決勝であんなにウケていたのにともしげの挙動一つでこんなにも評価が変わるのはギャンブルすぎるなと思った。ただ、ネタの評価を緊張の言い間違いでひっくり返すのは見事だった。
最終決戦
最終決戦で令和ロマンが残ったのを見てから、武者震いが止まらなくなってきた。トップバッターの優勝あるのか…!?それとあの3組だったら令和ロマンが優勝したら嬉しかったので、ドキドキしてきた。最終決戦のトップバッターで町工場のネタだと分かった瞬間、さらに体が震えだした。これでこんなにウケるなら優勝ありえるぞ…!!初めて見た吉本社員の下りでさらにさらに震える。次のヤーレンズのネタも去年動画で何回も見ていたので(こっちは好きなネタだった)、うわ~これはどっちなんだと悶えだしてしまう。最後のさや香のネタは、最終決戦でこんな変なのやっていると思うと笑いが止まらなくなった。おととしのオズワルドの最終決戦は見てられない位嫌な滑り方をしていたが、今年のさや香はカッコよすぎる滑り方だった。見せ算はマヂラブのつり革のIFルートかもしれないと思うとさらに笑ってしまう。
結果は令和ロマンが優勝。番組の最後の最後でくるまがピースするとこで痺れてしまった…おめでとう!
総評
感想で何回か書いたが、準決勝・敗者復活の会場と決勝の会場の雰囲気の差に大丈夫かと心配してしまう。決勝の客の重さについては、SNSや掲示板では色々書かれていたが、M-1打ち上げやネクストデイでも何回も言及されていたことに対しては、現場でもそう感じてたんだ…と驚きを隠せなかった。
客の重さの問題を全て客の責任にするのかと言われれば、そうでもない気がする。自分は今年、賞レースのライブを現地で2回みたことがある。一つはKOCの準決2日目で、もう一つがマイナビラフターナイトの決勝だ。前者はこれでKOCの決勝が決まると思うと、こっちもプレッシャーを感じてしまい全力で笑えなかった記憶がある。(めちゃくちゃ応援してたサスペンダーズがその日振るわなくて少し落ち込んだのと、隣の女子の笑い方が気に食わなかったのも関係あるかもしれない。)後者は観客投票があり一応審査しながら見ていたのだが、笑いすぎて頭が痛くなってしまった。今までみたライブの中で間違いなく一番面白かった。(MCの山里がほんとに凄かった。)何が言いたいのかというとKOCの準決でもあんなに緊張するのだから、M-1の決勝観覧なんて客もとんでもなく緊張しちゃうんじゃないかな…と色々考えてしまう。
もっと突き詰めて考えると、M-1の過剰なインフレ具合に芸人がどんだけ頑張ってもカバーしきれなくなった限界がこうして表れたのかもしれない。「MCU疲れ」と似た現象だ。あそこまで熱狂的に煽られ続けているのと、表面でそう思っていなくても、前年より面白く…より伝説を残して…とサブリミナル的に刷り込まれる感覚がある。「爆笑が爆発する」というキャッチコピーはとても良いのだが、その分爆発が起きなきゃ点数を上げられないという審査員のハードルの高さも感じられた。M-1のピークはミルクボーイでドーンと叩き出して、その後のマヂカルラブリー、錦鯉、ウエストランド(と決勝の芸人)でなんとかドラマを生み出し続けているイメージがある。今年も途中はどうなるのかと思ったが令和ロマンと決勝のメンツがなんとかしていい大会にした印象だ。それでも、できる大会のレベルはどうしても頭打ちになってしまうのに、理想だけ膨らみ続けるのは不安が残る。(逆にKOCはまだまだレベルが上がりそうな恐ろしさもある。)M-1バブルがはじけたとき、お笑い文化はどうなってしまうんだろうか。今年、一番面白い芸人決めちゃいます!!位にして、もうちょっと煽りを抑えた方がよかったんじゃないかというのは素直な意見である。でも、M-1打ち上げやネクストデイなど余韻の浸れるコンテンツの充実さはファンとして嬉しい。M-1打ち上げは特によかった、今回の過剰な熱狂に対して優しく包み込んでくれるところがあって安心した。(KOCももうちょっとそういうのやってほしいなとは思っている。)だから、なんていうんだろうな…結局バランスなんですかねぇ…
さいごに
思うところを色々書いたら、けっこうな長文になってしまった。こんだけ書いたのに、コンビ評の温度差が激しいのがちょっと恥ずかしい。自分はやっぱり広く見るというよりは、狭く深く好きな芸人追ってるタイプなんだなと思った。
あと、ちょっと好きな令和ロマンであんなに嬉しいのなら、もっと好きな芸人だったら自分はどうなってしまうんだろうかと考える。もし、一番好きなサスペンダーズがKOC決勝いって優勝したら、号泣しちゃうと思う。多分、決勝進出でも泣くんだろうな…(決勝で点数が振るわず、狼狽する古川さんのことを想像して笑ってしまった。ABCグランプリがまさにそんな感じだったので)サスペンダーズはラジオがもうたまらなく好きなので、なんとかKOCで優勝してモープッシュ・サスババをTBSラジオに流してほしいという願いがある。ビンゴでいったらトリプルリーチまでは来ていて、KOCの決勝にいけばビンゴになるのに…といったイメージだ。もちろんそんなことは本人が一番考えていることだと思うので、自分はメール書いたり、たまにライブ行ったりで応援しに行きたい。
ここまで読んでくれてありがとう。好きなものを書くのはやっぱり楽しいわ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?