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アイドルを辞めた推しが選んだ道。2024.10.21

〜2021年に解散した韓国アイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜

アイドルを辞め、今は俳優養成所に通いながら俳優を目指している推し。

ちょっとしたウェブドラマに出たこともあったが、その道は険しいのが現状だった。

そんな推しが2ヶ月ほど前、お芝居に出演するとインスタに告知を載せた。
公演日はちょうど私の誕生日だった。

これはもしかして、神様が行ってこいと暗示しているのかと思うくらいに私は動揺した。

飛行機の予約ページや、ホテルの空き状況を調べ、自分の仕事の予定を確認した。

やっぱりダメだ、、、、

無理をすれば行けないこともない日程だったが、仕事や家のことがいろいろ重なり、行ったとしても周りにかなりの負担をかけてしまうことは明らかだった。

それに、ミュージカルならまだしも、韓国語の現代劇など内容がきちんと理解できるとは思えない。

私にはもう、推しに会いたいという理由だけで渡韓する勢いも、金銭的な余裕も無かった。

推しはインスタに、「僕に会いに来てくれたら嬉しい」と、ファンに向けてであろうコメントを書いていた。
私は一言、「頑張ってね」と韓国語でコメントを書いた。

後ろ髪を引かれる思いで諦めた。

普段めったにインスタを投稿しない推しが、それから毎日のようにインスタのストーリーズに公演のチケット販売サイトのリンクを貼って、宣伝をしていた。

その後、友人たちから「見に行かないの?」とLINEが届くたびに私は気持ちを抑えた。

数日間の公演は、大成功だったようだ。

見に行った観客が投稿したカーテンコールの動画を、推しはインスタのストーリーズでたくさんシェアしていた。
そして、共演者たちと撮った写真もたくさんインスタに投稿していた。

とても幸せそうだった。

成功して良かったと安堵する気持ちと、推しの気持ちはもう俳優としての未来に向かっているのだという寂しさで、なぜか泣きたい気持ちになった。

正直言えば、アイドルを辞めて俳優を目指すことにしたのは「建前」ではないかと思っていた。俳優志望というのはあくまでカモフラージュで、本当は歌手として活動する道を模索しているんじゃないか。

でもそうではなかった。
仲間とともに一つの舞台を作り上げる喜びに満ちた顔が、とても満足気で幸せそうだった。

インスタには、共演者や見に来てくれた友人たち、そして見に来てくれたファンへお礼の言葉が綴られていた。

仲良しのヲタ友から、「推しくんはとても生き生きしてるね!」とインスタを見た感想がLINEで送られてきた。
そして、「ファンも見に行っていたみたいだね」という言葉と共に「ハルちゃんが客席にいたら、すごく喜んだだろうなぁ」と慰めの言葉を送ってくれた。

小さな劇場だから、もしかしたら気づいてくれるかもしれないが、それを期待して待つ自分が嫌だ。
だからきっと、行かないという選択は正しかったのだと、自分を納得させた。

推しがアイドルを辞めてから、私は推しのグループの曲を聴くことを避けていた。
なぜなのか自分でもわからない。

だけど推しの演劇の公演が終わり、急に聴きたくなって、またスマホのプレイリストに追加した。
イントロが流れると懐かしさで胸がいっぱいになる。

新大久保に通った日々は苦しいこともあったけど、楽しい思い出の方が圧倒的に多かった。推しに会いに行く週末が待ちきれなくて、ウキウキした気持ち。

推しは今、新大久保で過ごした日々を思い出すことがあるだろうか。
楽しいことよりも、辛いことの方が多かったかもしれない。思い出したくない過去かもしれない。

だけど、ほんの少しでも楽しかった記憶の中に、私というファンがいたことを覚えていてほしいと願う。

そろそろ私も、インスタのアカウントを消そうかと考えるようになった。
インスタの通知が来るたびに、推しの投稿かもしれないと焦ることも、何かコメントを書かなきゃと悩むことからも解放されたい。

消してしまったら、推しは気づくだろうか。

そんなことを考えて、消せないまま過ぎていく年月。
今日も車の中で推しの歌を聴きながら、推しの思い出に浸っている私。

どうやったら過去から抜け出せるんだろう。

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