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乙4法令23:移動タンク貯蔵所の基準
1. はじめに:移動タンク貯蔵所とは?
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移動タンク貯蔵所とは、一般的に「タンクローリー」と呼ばれる、車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設です。
主にガソリンや灯油などの危険物を輸送するために使用され、その安全性を確保するために法令で細かい基準が設けられています。
本記事では、移動タンク貯蔵所の基準や運用ポイントについて解説します。
2. 移動タンク貯蔵所の位置基準
(1) 常置場所の基準
屋外の場合:
防火上安全な場所。
屋内の場合:
耐火構造または不燃材料で造られた建築物の1階に常置する。
3. 移動タンク貯蔵所の構造基準
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(1) タンクの仕様
容量制限:
タンクの容量は30,000リットル以下に制限されます。
間仕切の設置:
内部は4,000リットル以下ごとに間仕切を設けて区切り、危険物の移動やスプラッシュを防ぎます。
防波板の設置:
タンクの容量が2,000リットル以上の場合、防波板を設けて液体の流動を制御します。
※防波板とは
タンク内の液体が偏るのを防ぐ板のこと。
材質と加工:
タンクは厚さ3.2mm以上の鋼板で作られ、錆止め塗装が施されることが必要です。
水圧試験において、漏れ、変形がないこと。
排出口:
底部に排出口を設ける場合、排出口に底弁を設ける。
非常用の手動開閉装置及び、自動閉鎖装置を設ける。
手動開閉装置のレバーは、手前に引き倒すことで作動させるものであること。
防災:
可燃性蒸気が滞留するおそれがある場所に設ける電気設備は、可燃性蒸気に引火しない構造とする。
ガソリン、ベンゼンなど静電気による災害が発生するおそれのある液体を貯蔵する場合は、接地導線(アース)を設けること。
自動車用防火設備を2個以上設置すること。
外装:
マンホール、注入口などがタンク上部に突出している移動貯蔵タンクには、タンクの両側面の上部に側面枠を設けなければならない。
上記の移動貯蔵タンクには、当該装置の周辺に防護枠を設けなければならない。
4. 移動タンク貯蔵所の設備基準
(1) 標識の設置
表示内容:
車両の前後に「危」の標識を掲げます。
標識は黒地に黄色の反射塗料で表示し、夜間でも視認性を確保します。
目的:
危険物を輸送している車両であることを周囲に明示し、安全管理を促進します。
5. 移動タンク貯蔵所の貯蔵基準
(1) 書類の備え付け
移動タンク貯蔵所では、以下の書類を車両内に備え付けることが義務付けられています:
完成検査済証:タンクが法令基準に適合していることを証明する書類。
定期点検記録:タンクの状態を定期的に点検した記録。
届出書類:譲渡・引渡しや危険物品名、数量の変更届出書。