乙4法令5:製造所等の設置と変更の許可
1. はじめに:製造所等の設置・変更とは
危険物を扱う「製造所等」を新たに設置したり、既存施設の位置、構造、設備を変更したりする際には、消防法に基づく市町村長等の許可が必要です。
本記事では、製造所等の設置・変更手続きに関する基本知識や注意点を解説します。
2. 設置と変更の許可
設置の許可、変更の申請先
1.移送取扱所以外の製造所等
A.消防本部及び消防署を設置している市町村の区域
→当該市町村長
B.消防本部及び消防署を設置していない市町村の区域
→当該区域を管轄する都道府県知事
2.移送取扱所
A.消防本部を設置している同一の市町村の区域のみに設置される移送取扱所
→当該市町村長
B.消防本部及び消防署を設置していない市町村の区域または
2以上の市町村の区域にわたって設置される移送取扱所
→当該区域を管轄する都道府県知事
C.2以上の都道府県にわたって設置される移送取扱所
→総務大臣
3.変更の許可申請に必要な書類
1.申請書
2.図面(施設の位置図、構造図など)
3.その他規則で定める添付書類(危険物の性状や量に関する資料)。
申請書の事項
氏名または名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名及び住所
製造所等の別及び貯蔵所または取扱所にあっては、その区分
製造所等の設置の場所(移動タンク貯蔵所にあっては、その区分)
変更の内容
変更の理由
※工事は市町村長等の許可を受けてから着手する
4. 移送取扱所の設置における注意点
移送取扱所の設置場所
移送取扱所(例:パイプライン施設)は、危険物を移送するための重要な施設ですが、以下の場所には設置できません:
災害対策基本法に規定する都道府県地域防災計画又は同法に規定する市町村地域防災計画に定められている震災時のための避難空地
鉄道及び道路の隧道内(隧道→トンネル)
高速自動車国道及び自動車専用道路の車道、路肩及び中央帯並びに狭あいな道路
河川区域及び水路敷
利水上の水源である湖沼、貯水池等
法律により指定された急傾斜地崩壊危険区域
地すべり等防止法により指定された地すべり防止区域及び、ぼた山崩壊防止区域
海岸法に規定する海岸保全施設及びその敷地
【補足】防火地域と準防火地域は、火災の発生や拡大を防ぐために定められた区域です。
防火地域は、都市部の商業地や密集地域など、火災リスクが特に高い場所に指定されます。建物は耐火構造が原則で、危険物施設の設置は原則禁止されます。
準防火地域は、防火地域よりも規制が緩やかですが、一定の防火基準が求められます。例えば、耐火建築や準耐火建築の制限が適用され、危険物施設の設置には特別な基準が必要です。