乙4法令1:法令で定める危険物
危険物の基本概念とは
危険物とは、取り扱いを誤ると火災や爆発などの災害を引き起こす可能性がある物質です。
日本では、これらの危険物を取り扱うためのルールが消防法によって厳密に定められています。
よって、毒性は考慮されません。
今回は、消防法に基づいて「法令で定める危険物」について詳しく解説します。
1. 法令で定める危険物とは
消防法では、危険物を具体的に定義し、その取扱いや管理について規定しています。
特に重要なのが「消防法 別表第1」です。
この別表第1では、危険物が以下の6つの類に分類されています。
分類:第1類から第6類の危険物
第1類:酸化性固体
例:硝酸カリウム、過酸化ナトリウム第2類:可燃性固体
例:硫黄、マグネシウム第3類:自然発火性物質および禁水性物質
例:黄リン、ナトリウム第4類:引火性液体
例:ガソリン、アルコール類第5類:自己反応性物質
例:有機過酸化物、ニトロ化合物第6類:酸化性液体
例:過酸化水素、水素化合物
これらの分類は物質の性状や危険性に基づいて細分化されており、災害リスクを的確に評価するための基準となっています。
2.危険物に「気体」は含まれない
消防法上の危険物は固体または液体に限定され、気体は含まれません。
これは、気体が別の法令(例:高圧ガス保安法)で管理されているためです。
そのため、取り扱いを学ぶ際は「気体は対象外」であることを押さえておきましょう。
3. 危険物であるか否かの試験方法
危険物の類別は、物質が持つ危険性を判定する試験によって決定されます。
この試験では、物質が「燃焼性」「爆発性」「酸化性」など、
危険物特有の性状を持つかどうかを検証します。
例えば、第1類であれば「酸化性」の有無を確認する燃焼試験、
第4類であれば「引火点測定試験」が試験項目です。
このように、物質の性質を客観的に評価して危険物の指定が行われています。
4. 複数性状物品の属する品名とは
時には、1つの物質が複数の危険性を持つ場合があります。
このような物質は「複数性状物品」と呼ばれ、その中でも最も危険性の高い類に分類されます。
例えば、ある物質が第1類(酸化性固体)と第2類(可燃性固体)の特性を持つ場合、第2類に指定されることがあります。
これは、取り扱い時のリスクを最大限に考慮するための措置です。
例)
・第1類(酸化性固体)と第2類(可燃性固体)の特性を持つ場合
→第2類
・第1類(酸化性固体)と第5類(自己反応性物質)の特性を持つ場合
→第5類
・第2類(可燃性固体)と第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)の特性を持つ場合
→第3類
・第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)と第4類(引火性液体)との特性を持つ場合
→第4類
・第4類(引火性液体)と第5類(自己反応性物質)との特性を持つ場合
→第5類
まとめ:法令を理解し安全な取扱いを
消防法による危険物の分類や管理基準は、災害を未然に防ぐための重要な枠組みです。
特に、別表第1の分類や危険物判定試験、複数性状物品の考え方を正確に理解することは、危険物取扱者にとって欠かせません。
危険物を安全に取り扱うためには、法令の内容を深く学び、正しい知識を活用することが必要です。