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日記(2024/06/30〜07/04)看病と読書(青春小説多め)

2024/06/30土
安和桟橋における警備員死亡事故は非常に痛ましいと思う。ただ、その主題とは別に、いわゆるネット右派が反対陣営の攻撃なり、自己正当化なりの理論が固まるスピード、そしてその先鋭化には恐ろしいものを感じる。例えば、今回のケースも警備員の強引な誘導が指摘されてきたという背景もあるが、死を笠に着て反対派を一絡げにして「人殺し」などと言われたら流石に傷つく。その言葉、直接僕に会った時に言えますか。
一年前にryuchellさんが亡くなった時、第一報が出てから三時間もたたないくらいにホルモンが原因だという右派側の理論が完成されて、そのスピードにそら恐ろしいものを感じたわけね。攻撃せずにはいられず、自己正当化せずにいられないという背景には、なんだか悲しいものを覚える。

2024/07/01日
午後、母が実家で使う棚を買ったため、組み立て作業を行う。ローラーをつけるところの釘穴が全然開いていなかったため、自分で開けた。非常に難儀する作業だった。
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』読了。児童向け小説であるが、結構持って回ったい言回しとか、聖書の知識が必要な部分もあり、多分自分が小さい頃だったら読めていない。抄訳で読んだ記憶があるけど。内容として、実は結構同じパターンが多く(隠れて冒険に行く→仮の死→復活としての帰還)、トム・ソーヤもハックルベリー・フィンも好漢でも聖人でもないし、その割には得られるものが大きすぎる気もする点で確かに倫理的な小説ではないのかもしれない。そう考えるようになったのも自分が親になったからなのか。自分の子供がトム・ソーヤーのような冒険をしたらと考えると、ね。
夜、ジョギング。

2024/07/02月
いつものように仕事。他の業務の影響で遅れていた業務を、別の業務と組み合わせることでどうにか前に進めた。それだけでも収穫。
5時ごろ、妻より娘が熱を出したとの連絡があり早々に帰宅。仮にコロナであれば、妻は諸事情があり接触させることはできないため、隔離されることとなる。小児科でPCR検査してもらったが、コロナではないとのことで一安心。それにしても、やはりこの時期沖縄ではコロナをはじめとする感染症が流行する傾向があり、駐車場で相当時間待たされることとなった。沖縄のお医者さんの頑張りには頭が下がる思い。
コロナではなかったものの妻を実家に避難させることとする。娘が薬の苦味から吐いてしまうといったことはあったが、12時ごろには熱が落ち着いていた。

2024/07/03火
朝、娘の熱を測ったところ36度台の平熱。仕事は休み、娘に朝ごはんをあげる。薬に関しては抗生物質が含まれていることもあり、ひとまずあげないで様子を見る。
お昼には妻がご飯をもってきてくれた。娘は、再度37度台まで上がったため、薬を飲ませることとする。その後、熱は一度落ち着いたものの、夜には再度38度台まで上がったため、解熱剤も含めて飲ませる。熱がある以外は元気。
娘が寝ている時など、比較的暇な時間もあったため、結構本が読めた。
西靖『おそるおそる育休』(2023)
 MBSアナウンサーの書いた育休体験記。ファミリーな内容ではあるのだけれども、そういった作品に感じるなんとなく嫌な感じがないのは、筆者が独身時代が長く、結婚・育児に対して(その仕事で培った観察眼もあるだろうが)客観的に見つめているところ、そして、ちゃんと「参加」し、別段この時代男性が育児に参加することなんて特別なことではないが、こういったケースを書き残しておくことが大事という具合に距離が取れているところにあるのだろう。とにかく産後一週間が勝負。
宮島未奈『成瀬は天下を取りに行く』(2023)
 面白かったなー。これだけ売れて有名になった本を褒めるのも癪だけど、本当に面白かった。成瀬という人物は正直にいえば漫画的だし、人生を何周しているのかという具合なのも創作物の都合という気もしてくるのだけれども、それゆえに中学から高校という時間の貴重さを浮かび上がらせる。このいくらでも紋切り型に続けられそうな設定なのにザクザクと時間を先に進めるあたり、その点には自覚的であると思われる。ある種漫画的すぎてサイボーグのようだった成瀬が人間に戻るような最終章に落涙。


2024/07/04水
この日も引き続き看病のため仕事を休む。
昼頃に一度熱が上がったものの、その後昼寝させたところ熱は引いていた。この二日間、娘が成長してほとんど見なくなっていたEテレを久々に見られたのが収穫。
熱はもう上がらなさそうなので、次の日から妻とバトンタッチすることになった。
昨日と同じく本が読めたので記録。
・武田綾乃『響け!ユーフォニアム2 北宇治高校のいちばん熱い夏』(2014)
 成瀬と比してこちらは、青春の一時期についてじっくり描く。今回黄前久美子は主人公というよりも、ほとんど狂言回しであり、いろんな人の話を聞いて過去の物語を浮かび上がらせる役割となっているが、それが欠点というわけではなく、むしろこの部活という狭いコミュニティにおける人間関係の濃密さを描く上で良いバランサーとなり、あと、これは僕が久美子がこの先どうなるか知っているからという部分でもあるが、なるほど、こういう経験がねえ・・・という気持ちにもなり、良い。あすか先輩とのやりとりなど、ほとんどホラー。
・米澤穂信『冬季限定ボンボンショコラ事件』(2024)
 小市民シリーズの長編小説としては最終章に当たる作品。とてもよかった。まず、完結編とプリクエルを同時に行うというのが、ほとんど『ゴッドファーザー2』(これは完結編ではないけど)だし、このシリーズにしては確かに怖い部分もあるし、何より、回想の部分ではあるけど、探偵が全く探偵として機能せず、そして読者から見ても明確に悪手を取って、つまりは米澤穂信のテーマである「青年期の全能感」を、他ならぬ主人公に一人称で語らせることで読者に追体験させて、かつその贖罪がシリーズ全体、ひいてはこういった素人探偵ジャンル全体への批評として成り立たせるあたり、トリックを超えたものがある。そしてキュンとさせる。ここ重要。

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