関税率表 第70.19項
第 70 類 ガラス及びその製品
70.19 ガラス繊維(グラスウールを含む。)及びその製品(例えば、ガラス繊維の糸及び織物)
-スライバー、ロービング、糸及びチョップドストランド
7019.11--チョップドストランド(長さが 50 ミリメートル以下のものに限る。)
7019.12--ロービング
7019.19--その他のもの
-薄いシート(ボイル)、ウェブ、マット、マットレス、ボードその他これらに類する織ってない物品
7019.31--マット
7019.32--薄いシート(ボイル)
7019.39--その他のもの
7019.40-ロービング製の織物
-その他の織物
7019.51--幅が 30 センチメートル以下のもの
7019.52--幅が 30 センチメートルを超えるもの(重量が1平方メートルにつき 250 グラム未満の平織りのもので、単糸が 136 テックス以下の長繊維製のものに限る。)
7019.59--その他のもの
7019.90-その他のもの
この項には、ガラス繊維、各種の形状に作り上げたガラス繊維(この類の注4に規定されているグラスウールを含む。)及びガラス繊維であるために他の項から除かれたガラス繊維製品を含む。
ガラス繊維は次のような特性を有する。植物性又は動物性の紡織用繊維よりも柔軟性が劣る(ガラス糸は、容易に結ぶことはできない。)。引き伸ばすことができない。11 部の紡織用繊維のいずれよりも強い。燃えにくい。腐敗しにくく、防水性及び耐酸性も大である。電導率は小さい。ある場合においては、熱又は音の伝導も悪い。吸湿性も小さい。
ガラス繊維は各種の製法によって得られるが、若干の例外を除いて、次の三つの製法に大別される。
(Ⅰ)機械的引抜き法
この方法は、ガラスを炉で溶融する。高温に耐えるように、貴金属合金(普通ロジウム又は白金)からできているブッシングを前床の炉床に取り付けておき、そこにガラスを流し込む。このブッシングには、溶融ガラスの糸が流れることができるように、多くの細い穴があけられている。寸法調整(例えば、シリコーン)の後で、これらの糸は非常に細い平行のフィラメントに引き抜くために、高速の心棒を通過させられる。この製法によると、人造の紡
織用繊維の長繊維の糸に類似した長繊維の糸が得られる。
多少太い繊維がこれに類する方法によって得られ、ウェブ状に巻き取られた後、直接断熱用又は防音用に供される。
(Ⅱ)遠心引抜き法
ポットで溶融したガラスを急速度で回転する耐火性粘土製のディスク(ディスクの周囲上に非常に多くの歯を有するもの)上に落とす。炉の炎で加熱されたディスクに当該溶融ガラスは付着するが、同時に遠心力によってフィラメント状になる。これらのフィラメントは固定されたテーブル上に吹き出され、ついでに冷却したドラムに巻き取られる。
この方法によりグラスウールと称される短い繊維を製造する。グラスウールは、紡績する
ことなしにバルク状で使用される。
(Ⅲ)吹付け法
この方法は、炉から溶融ガラスを引抜きプレートによりフィラメント状に流出せしめて、これに側面より高圧蒸気又は圧搾空気を吹き付けるものである。この吹付けの結果、フィラメントは短い繊維に切断され、更に製造中に潤滑剤で被覆される。
このようにして製造された繊維は、そのまま使用されるウェブ(絶縁性のブランケット)又は繊維の連続したスライバー若しくはロービング(絹紡糸のスライバー又はロービングに類似しており、紡績されて糸になる。)をつくるために、ドラムに巻かれる。
この項に含まれるガラス繊維及びその製品の形状には、特に、次のものがある。
(A)グラスウール(バルク状)
(B)スライバー、ロービング、糸及びチョップドストランド
(C)薄いシート(ボイル)、ウェブ、マット、マットレス、ボードその他これらに類する織ってない物品
(D)織物(細幅織物を含む。)
この項には、また、ガラス繊維のカーテン、織物及びその他の製品を含む。
この項には、「ケミカルししゅう」又はガラス繊維の糸から成るししゅう品で基布が見えないものを含むが、11 部の紡織用繊維の基布にししゅうしたもので、ししゅうの効果の一部がガラス繊維によるししゅうにより得られたものは含まない(58.10)。
ガラス繊維の用途は、着々と増加している。例えば、
(1)調度品及び室内装飾品(例えば、家具装飾用、壁張り用、カーテン、かや)に使用する織物類(染色又は印刷ができる。)
(2)断熱用(例えば、天井、煙突、ボイラー、炉、蒸気パイプ、蒸気タービンのボデー、管又はパイプ、冷蔵庫、保冷車に使用される。)に、バルク状の繊維、ノジュール状、フェルト、パッド、ケーシング又は組ひもの形で使用される(にかわ、ピッチその他の材料を染み込ませてあるか又は紙、紡織用繊維、金網で補強してあるかないかを問わない。)。
(3)防音用(例えば家屋、事務所、船室、劇場で使用される。)にバルク状の繊維、フェルト、マットレス、硬いボードの形で使用される。
(4)電気絶縁用(例えば、電線その他の電流搬送用装置に使用される。)にフィラメント、糸、テープ、ひも、織物(天然の樹脂、プラスチック、アスファルト等を染み込ませてあるかないかを問わない。)の形で使用される。
(5)補強材として、ファサードのカバー及びパネルを作るための熱可塑性及び熱硬化性樹脂、建設工業用のドーム、フラット又は波形板、液体貯蔵用又は輸送用のタンク、たる及びパイプ、工業又は農業用に使用される機械の覆い及びその他鋳型部品、自動車のバンパー、トラック、鉄道の客車又は飛行機用の装備品、ボートの船体、スキー、テニスラケット及びその他のスポーツ用品等に使用される。
(6)その他、エアコンディショナー又は化学工業のろ過用材料、ブラシ、ランプ及びライターのしん、映写用スクリーンなど多種多様の物品の製造に使用される。
この項には、次の物品を含まない。
(a)ガラス繊維を圧縮し又は積層し、プラスチックを染み込ませて作った半製品及び製品(硬い特性を有し、ガラス繊維製品の特性を失ったもの)(39 類)
(b)68.06 項の鉱物性ウール(70 類の注4参照)及びその製品
(c)ルーフィングボード(アスファルトその他これに類する材料で、ガラス繊維のウェブ又は織物の基板を完全に包み込み又は当該基板の両面を被覆したもの(68.07)
(d)断熱用複層ガラス(ガラス繊維の中間層を有するもの)(70.08)
(e)85.44 項の光ファイバーケーブル、がい子(85.46)及び電気絶縁用物品(85.47)
(f)90.01 項の光ファイバー(束にしたものを含む。)及び光ファイバーケーブル
(g)ガラス繊維の人形のかつら(95.03)及びガラス繊維を合成樹脂で凝結して作った釣りざお(95.07)
(h)ガラス繊維のブラシ(96.03) 号の解説
7019.11
チョップドストランドは多くの平行のフィラメントを含むストランドを切ることにより製造される。一般に、チョップドストランドが使われるのは、例えばプラスチック又はモルタルを補強するためである。
7019.12
ガラスロービングは一以上の長い(連続した)ほとんどねじれのない(メートルあたりよじれが5未満の)フィラメントのゆるい集まりからなる。ロービングが一般に使われるのは連続したフィラメントのガラス糸の製造であるが、ある種のガラス織物、例えば、反物類を織るのにも直接使用される。
7019.19
この号にはスライバーを含む。スライバーは通常 380 ミリメートルより短い、短いステープル繊維から成る。ステープル繊維はゆるく平行に並び、ほとんどねじれのない(メートルあたりよじれが5未満の)縄のようなストランドである。スライバーが一般に使用されるのはステープル繊維糸を製造するためだが、線やケーブルを製造するのにも使われる。
この号の糸は、ねじれていて、連続したフィラメント又はステープル繊維から成る。
7019.31
マットは、不規則に配分された数百の平行のフィラメントからなるガラスのストランドからできた平面状の補強材である。
これらの糸は、切断され(短繊維のマット)又は切断されず(長繊維のマット)結合剤又は針織機工程により束ねられる。
これらは平行なフィラメントの形を保ち、手で傷つけることなくマットから個々に分離できる。
7019.32
薄いシート(ボイル)は、織ってなく、不規則に配分された個々のガラス繊維(フィラメント)からなり、繊維は結合剤により固定されプレスされる。そして、シート全体に長く伸ばされた補強糸が組み込まれていることもある。
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