関税率表 第28.49項
第 28 類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物
28.49 炭化物(化学的に単一であるかないかを問わない。)
2849.10-カルシウムのもの
2849.20-けい素のもの
2849.90-その他のもの
この項には、次の物品を含む。
(A)二成分系炭化物:これは、炭素とそれよりも電気陽性度の高い他の元素とから成る化合物である。アセチリドとして知られる炭化物もこの項に属する。
最もよく知られている二成分系炭化物は、次の物品である。
(1)炭化カルシウム(CaC2):純粋なものは無色透明の固体であるが、不純なものは乳白色又は灰色である。水と作用して分解し、アセチレンを発生する。アセチレンガス又はカルシウムシアナミドの製造に使用する。
(2)炭化けい素(SiC):炭素とシリカを電気炉で処理して得られる。黒色の結晶、無定形の塊又は粉砕し若しくは粒状にしたもので、かろうじて溶融するのみで、耐薬品性がある。屈折率が大きく、ダイヤモンドとほとんど同じ硬さであるが脆い。研磨材、耐火物として使用し、また、黒鉛と混合して電気炉及び高温炉の内張りに使用する。シリコーンの製造にも使用する。この項には、紡織用繊維材料、紙、板紙その他の材料で裏打ちした粉末又は粒状の炭化けい素(68.05)及びグラインディングホイール、手研き用砥石等の形状の炭化けい素(68.04)を含まない。
(3)炭化ほう素:黒鉛とほう酸を電気炉で処理して得られる。光沢のある黒色の固い結晶で、研磨材、岩の穴あけ、ダイスや電極の製造にも使用する。
(4)炭化アルミニウム(Al4C3):電気炉中で酸化アルミニウムをコークスと共に加熱することにより得られる。透明な黄色結晶又はフレークで、水で分解しメタンを発生する。
(5)炭化ジルコニウム(ZrC):電気炉で酸化ジルコニウムとカーボンブラックを処理して得られる。空気及び水に触れると分解する。電球のフィラメントの製造に使用する。
(6)炭化バリウム(BaC2):通常電気炉で得られる。かっ色の結晶性塊で、水で分解しアセチレンを発生する。
(7)タングステンの炭化物:電気炉で金属粉又は酸化物とカーボンブラックを処理して得られる。粉状で、水で分解せず、化学的安定性が高い。高融点で非常に硬く、耐熱性がある。伝導度はその金属に類似する。鉄を含む金属と容易に結びつく。硬質焼結製品(例えば、通常、コバルト、ニッケル等の結合剤を加えての工具の焼結)に使用する。
(8)その他の炭化物:モリブデン、バナジウム、チタン、タンタル又はニオブの炭化物は金属粉末又は酸化物及びカーボンブラックから電気炉で製造され、炭化タングステンと同じ用途に使用する。クロム及びマンガンの炭化物もある。
(B)炭素と二以上の金属元素が結合した炭化物:例えば、チタンとタングステンの炭化物((Ti、W)C)
(C)一以上の金属元素と炭素及び他の非金属元素が結合した化合物:例えば、ほう炭化アルミニウム、炭化窒化ジルコニウム、炭化窒化チタン
これらの化合物のうちあるものは、元素の比率が化学量論的でないものもある。ただし、機械的に混合したものは含まない。
この項には、次の物品を含まない。
(a)炭素と次の元素の二成分系化合物:酸素(28.11)、ハロゲン(28.12 又は 29.03)、硫黄(28.13)、貴金属(28.43)、窒素(28.53)、水素(29.01)
(b)金属炭化物の混合物で工具用の板、棒、チップ等の製造用に調製したもので、凝結してないもの(38.24)
(c)72 類の鉄炭素合金で、例えば白銑(炭化鉄の含有量を問わない。)
(d)凝結した金属炭化物の混合物で工具用の板、棒、チップ状その他これらに類する製品(82.09)
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