関税率表 第41類総説
第 41 類 原皮(毛皮を除く。)及び革
総 説
この類には、次の物品を含む。
(Ⅰ)原皮(羽毛皮及び毛皮を除く。大きな四足獣の原皮は raw hides という。)(41.01 項から41.03 項)。また、これらの項には、注1(c)及び 41.01 項から 41.03 項までの解説に掲げられた動物の毛が付いている原皮を含む。
なめしの前に、皮は一連の準備工程を必要とする。その工程は、アルカリ溶液における浸漬工程(皮を柔らかくし、保存に使用した塩分を除去するため)、脱毛工程、裏打工程、脱毛に使用された石灰その他の物質を取り除く工程及び最後の洗浄工程から成る。
また、41.01 項から 41.03 項までには、毛が付いていない皮でなめし過程(前なめしを含む。)中のもののうちなめしを終えていないものを含む。この皮は一時的に腐敗を防ぐ状態又はスプリットを行える程度に一時的に安定した状態であり、41.04 項から 41.06 項までの物品とはみなさない。
毛が付いている皮で前なめしをし又はさらに加工をしたものは、この類の注1(c)の規定によりこの類から除かれる。
(Ⅱ)なめした皮(なめしたもの及びクラストにしたもので、これらを超える加工をしたものを除く)(41.04 項から 41.06 項まで)
なめしは、皮に腐朽抵抗性を与えるとともにその防水性を増加させる。タンニンは、皮に浸透しコラーゲンと架橋する。これは、成果物に、熱光又は汗に対する安定性を与え、皮を型どりでき、かつ、有用なものとする非可逆的な化学反応である。
次いで、これらの皮は植物タンニンなめし(ある種の木、樹皮、葉等又はそのエキスを入れた槽で行う。)、鉱物なめし(無機塩(例えば、クロム塩、鉄塩又はみょうばん)で行う。)又は化学的なめし(ホルムアルデヒド又はある種の合成薬品で行う。)のいずれかの方法によりなめされる。また、これらの方法を組み合わせて行うこともある。みょうばんと塩との混合物で厚手の革をなめす方法はハンガリア仕上げといわれ、みょうばんなめしの場合は、塩、みょうばん、卵黄及び小麦粉の混合物が使用される。みょうばんなめしされた皮は、主に手袋、衣料及び履物の製造に使用される。
なめした又はなめしを超える加工をした皮は、商取引において「革」として知られている。
なめした後、乾かした革は「クラスト」又は「クラストレザー」として知られている。クラスト工程において、滑らかさと柔軟性を与えるために液状脂又は油が添加される場合があり、乾燥の前にドラム等に浸して再なめし又は染着色を行う場合がある。
油なめし及び仕上げが施され、シャモア革(コンビネーションシャモア革を含む。)に加工された羊の皮は 41.14 項に規定される。
(Ⅲ)なめした又はクラストにした後これらを超える加工をした革(41.07 項、41.12 項及び 41.13項)
なめした又はクラストにした革は、しばしば表面の凸凹を取り除いたり、柔軟性、防水性等を与えてそのまま使用できるようにするための処理("currying")が行われる。これらの工程は柔軟性を与え、ストレッチし、薄くし、ビーティングし、表面を硬くし、加脂を行う各工程より成っている。
更に、この革は、塗装、他の種類の皮に模造するための graining 又は型押し(stamping)、サイジング、polishing、肉面(時には銀面)をスエード又はベルベット仕上げとするためのgrinding(又は buffing)、waxing、blacking、smoothing(glazing)、サテン仕上げ、印刷等の仕上げが行われる場合がある。
パーチメント仕上げをした革は、なめし工程を行わず、原皮に保存性を与えるための処理をして得られる。原皮を柔軟にし、脱毛し、裏打ちし、洗浄し、これを枠に張り、白亜及びソーダ石灰又は消石灰を含むペーストを塗布し、所要の厚さに削って軽石で磨く。最後にゼラチンとでん粉で仕上げられる。
「ビールム」と呼ばれる高級な品質の革は、生まれたての子牛の皮から作られる。これは書籍の装てい、重要文書、ドラムの皮等に使用される。より厚い皮(通常は大きな牛のもの)は、時に同様に処理されて("raw hide"として知られるより粗い品質のもの)、機械部品、工具、旅行用品等の製造に使用される。
(Ⅳ)シャモア革、パテントレザー及びパテントラミネーテッドレザー、メタライズドレザー(41.14 項)
特殊な仕上げ工程で生産された当該項に掲名される革は、41.14 項に含まれる。したがって、この項には、油なめしして仕上げられ、シャモア革(コンビネーションシャモア革を含む。)に加工された羊の皮、ワニス若しくはラッカーを塗布し又は前もって成形したプラスチックのシートを被覆した革(パテントレザー又はパテントラミネーテッドレザー)及び金属の粉又は金属のはくを被覆した革(メタライズドレザー)を含む。
(Ⅴ)コンポジションレザー(革又は革繊維をもととして製造したもの)(41.15 項)
(Ⅵ)革又はコンポジションレザーのくず(原皮又は毛皮のくずを含まない。)(41.15 項)
皮革は全形のもの(形は動物の輪郭を有するが、頭部又は脚部の皮が取り除かれることもある。)、一部分のもの(例えば、サイド、ショルダー、バット、ベンズ、ベリー及びチーク)、ストリップのもの又はシート状のもののいずれであってもこの類に属する。ただし、特定の形状に切った革片は、他の類(特に 42 類又は 64 類)の製品とみなされる。
皮革をスプリットしたものは、それぞれ対応する全形の皮革と同じ項に属する。スプリットは、皮革を2層以上に水平に分割する工程で、なめしの前又は後に行われる。スプリットすることにより、加工用により均一の厚さのものとなり、また最終の革がより均質のものとなる。「グレーンスプリット」として知られる外側又は銀面層の皮は、エンドレスバンドナイフを通すことにより、数ミリメートルの精度で平らにそろえられる。「フレッシュスプリット」として知られる床皮は、形と厚さが不規則である。いくつかの層が、水牛の皮のような厚い皮から例外的に製造されるが、そのような場合に中間層は外側の層よりも構造的に弱くなっている。