関税率表 第38.02項

第 38 類 各種の化学工業生産品

38.02 活性炭及び活性化した天然の鉱物性生産品並びに獣炭(廃獣炭を含む。)
3802.10-活性炭
3802.90-その他のもの

(A)活性炭及び活性化した天然の鉱物性生産品
活性化した炭素及び鉱物性生産品は、それらをある目的(例えば、脱色、ガス又は湿気の吸着、触媒、イオン交換及びろ過)に適合させるために適当な処理(熱、化学品等による。)によって、その表面構造を変性したものをいう。
これらの物品は次の2群に大別される。
(Ⅰ)一般に、非常に大きい比表面積(1グラム当たり 100 平方メートルのオーダー)を有し、かつ、van der Waal’s 結合(物理吸着)及び有機又は無機の分子により飽和し得る遊離の化学結合(化学吸着)の存在により特徴づけられる物品:これらの物品は、ある種の植物性物質又は鉱物性物質(粘土、ボーキサイト等)を天然の不純物の存在下で又は他の物品を添加して化学処理又は加熱処理することにより得られる。この処理は基礎物質の構造に変化をもたらすもので、比表面積の増加及び結晶物質の場合には、原子価の異なる原子の挿入又は置換による結晶格子の歪みを生じさせる。このようにして遊離状態で残った原子価は、その物品の表面に陽子及び電子を集め、その物質を化学吸着剤、触媒及びイオン交換体として活性化する。
(Ⅱ)一般に相当小さい比表面積(1グラム当たり1~100 平方メートルのオーダー)をもつ物品:一般に、これらは高い電荷密度をもつが、著しい吸着性をもたないため脱色剤としては使用しない。これに対して、水中に懸濁した状態では、コロイドと強力な静電的相互作用を発揮してその凝集を容易にし又は阻止するので、ろ過剤として使用するのに適している。
このタイプのものは通常適当な加熱処理で作られる。か焼(calcining)工程中アルカリ性物質の存在は、場合により表面電荷の生成を促進する。
この項には、次の物品を含む。
(a)活性炭
これは、通常、植物性、鉱物性又はその他の炭素(木炭、やしがら炭、泥炭、亜炭、石炭、無煙炭等)を水蒸気、炭酸ガスその他のガスの存在下で高温で処理(ガス活性化処理)し又はある種類の化学品の溶液を染み込ませた繊維素物質を乾燥か焼(化学的活性処理)して得られる。
活性炭は、微粉の状態で多くの工業(砂糖又はぶどう糖工業、油又はワイン製造工業、医薬品等)において液体の脱色に使用する。また、粒の状態で蒸気の吸収(例えば、ドライクリーニング工程中の揮発性溶剤の回収及び石炭ガスからのベンゼンの除去)、水又は空気の清浄、有毒ガスからの保護、触媒及び電気分解の際に電極に蓄積するガス(減極)の排除に使用する。
(b)その他の活性化した天然の鉱物性生産品
(1)活性けいそう土(activated diatomite):けいそう土(kieselguhr)その他の選別したけい酸質の土を必要に応じ酸で処理して石灰質を除去し、塩化ナトリウム又は炭酸ナトリウムのような半融剤(sintering agent)を加えてか焼し、砕き、適当な方法で選別したもの。ただし、半融剤を加えないで焼いたけいそう土(diatomite)は含まない(25.12)。
(2)ある種の火山鉱物:例えば、パーライト(perlite、真珠岩)を粉砕した後非常に高温の炎(1,000 度以上)の熱衝撃を加えた後、再粉砕し、選別したもの。活性化したパーライトは極めて軽く、光沢のある粉の状態になっている。顕微鏡で観察すると、曲面を有し、極めて薄い透明なフレークから成っていることが分かる。
上記(1)と(2)の二つのタイプの物品は、いずれも非常に見掛け比重は小さい。これらは化学品又は医薬品の調製(特に抗生物質)及び砂糖工業、ぶどう糖工業又は飲料工業における水のろ過用等のろ過材に主として使用する。
(3)活性粘土及び活性土類:これらは選別したコロイド状の粘土及び粘土質の多い土を活性化したもので、その用途にしたがって、酸又はアルカリで活性化され、乾燥し、かつ、砕いたものである。アルカリにより活性化されたものは、乳化剤、懸濁剤及び凝結剤として、特にみがき料又は清浄剤の製造に使用され、また、その膨潤性により、鋳物用砂又は堀穿泥(drilling sludge)の性能向上に使用する。酸で活性化されたものは、動物性、植物性又は鉱物性の油、脂肪又はろうの脱色剤として使用する。
(4)活性ボーキサイト:ボーキサイトは、通常、アルカリ処理又は適当な温度で熱処理することにより活性化される。主に、触媒、乾燥剤及び脱色剤として使用する。

この項には、次の物品を含まない。
(a)表面構造を変化させる処理を受けてない天然の活性鉱物性生産品(例えば、フーラーズアース)(25 類)
(b)活性化した化学品:例えば、活性化アルミナ(28.18)、活性化シリカゲル(28.11 及び 38.24)、人造ゼオライトイオン交換体(28.42 又は、バインダーを含んでいる場合には 38.24)及びスルホン化石炭イオン交換体(sulphonated coal ion-exchanger)(38.24)
(c)医薬品としての特性を有する活性炭(30.03 及び 30.04)及び冷蔵庫、自動車等の脱臭剤として小売用に包装した活性炭(33.07)
(d)化学品(例えば、金属酸化物)を活性炭又は活性けいそう土等の活性材料の担体上に固定した触媒(38.15)
(e)軽量で長球形、粒状のエキスパンデッドパーライト(expanded perlite)(68.06)
(B)獣炭(廃獣炭を含む。)
これらには、動物性材料を炭化して得られる各種の炭で特に次のものを含む。
(1)骨炭(bone black):脱脂した骨を密閉容器中でか焼して得られる。多孔質の黒色製品で、純粋な炭素の含有量は低い(酸処理しないものは 10~20%の含有量であり、酸処理した場合は、炭素含有量はいく分多くなる。)。形状は粉状、粒状、ペースト状又は原料の骨の形状のままのものがある。骨炭は、諸工業、特に砂糖工業において脱色剤として広く使用しており、また、黒色顔料として、例えば、磨き料及びある種のインキの製造に使用する。
廃骨炭は、肥料として、また黒色顔料の製造に使用する。
(2)血炭(blood black):乾燥血液を密閉容器中でか焼して得られる。一般に、脱色剤として使用する。
(3)アイボリーブラック(ivory black):アイボリーのくずをか焼して得られる。これは、一般に極めて微細なベルベットのような触感をもつ黒色粉末及び小さな不規則な円錐形を呈しており、絵の具に使用する(アイボリーブラックの呼称は、時には上質の骨炭を呼ぶのに使用することもある。)。
(4)レザーブラック(leather black)、ホーンブラック(horn black)、フーフブラック(hoof black)、トータスシェルブラック(tortoise-shell black)等


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