関税率表 第23.09項

第 23 類 食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料

23.09 飼料用に供する種類の調製品
2309.10-犬用又は猫用の飼料(小売用にしたものに限る。)
2309.90-その他のもの

この項は、甘味を付けた飼料及び数種の栄養素の混合物から成る調製飼料で次の目的をもつものを含む。
(1)合理的、かつ、バランスのとれた常食を動物に供給するためのもの(完全飼料)
(2)ある種の有機物又は無機物を添加することにより、基礎作物飼料を補完するためのもの(補助飼料)
(3)完全飼料又は補助飼料の製造に使用するためのもの
この項には、植物性又は動物性の材料をその特性が消失する程度に処理して得た飼料用に供する種類の生産品を含む。例えば、植物性材料から得られる物品の場合、これらは植物性材料の細胞構造の特徴がもはや顕微鏡下で確認できなくなる程度にまで処理されている。

(Ⅰ)甘味を付けた飼料
甘味を付けた飼料とは、糖みつその他類似の甘味物質(通常全重量の 10%を超える。)と一種類以上のその他の栄養分との混合物である。これらは、主として牛、馬、羊又は豚の飼育に使用される。
糖みつは、栄養価が高いうえ、飼料の味覚を増進するので、わら、穀物の外皮、linseed flake(あまにかす)、果実のしぼりかす等、そのままでは動物があまり好まない栄養価の低い飼料の利用度を高めている。
一般的には、これらの甘味を付けた調製品は、動物にそのまま与えられる。ただし、一部のものには、糖みつを、小麦のふすま又はパーム核若しくはやしコプラ油かす等の高栄養価の飼料と混合して、完全飼料又は補助飼料の製造に使用されるものがある。

(Ⅱ)その他の調製品
(A)合理的、かつ、バランスのとれた常食を確保するために必要とされる全栄養素を動物に供給するための調製品(完全飼料)
これらの調製品の特徴は、次に掲げる三つのグループの栄養素のそれぞれからの物品を含有していることである。
(1)「エネルギー」栄養素(“energy”nutrints):でん粉、糖類、セルロース及び脂肪分等、高炭水化物(高カロリー)性物質から成っている生命に必要なエネルギーを作るため及び飼育者の目的を達成するため動物生体内で「燃焼」されるものである。これらには、例えば、穀物、飼料用てん菜(half-sugar mangold)、牛脂、わらがある。
(2)身体形成(“body-building”)に必要な高たんぱく栄養素及びミネラル:これらの栄養素は、エネルギー栄養素と異なり動物体内で「燃焼」されることなく、動物体内の組織及び各種の動物生産物(ミルク、卵等)の形成に寄与するものである。これらは、主としてたんぱく質又はミネラルから成る。この目的に使用される高たんぱく物質を含むものとしては、まめ科植物の種子、醸造かす、油かす及び酪農副産物がある。
ミネラルは、主として骨の形成に、また家きんの場合には卵の殻の形成に寄与する。
カルシウム、りん、塩素、ナトリウム、カリウム、鉄、よう素等を含有するものが最も一般的に使用される。
(3)機能栄養素(“function”nutrients):これは、炭水化物、たんぱく質及びミネラルの同化を促進する物質である。ビタミン、微量元素及び抗生物質がこれに含まれる。これらの栄養物の欠乏又は不足は、一般に体の不調の原因となる。
上記三つのグループの栄養素により、動物に必要な栄養のすべては満たされる。その配合及び割合は、飼育目的により異なる。
(B)作物飼料の補助(バランス)用の調製品(補助飼料(feed supplements))
作物飼料は、通常、たんぱく質、ミネラル又はビタミンの含有量が低い。この調製品は、これらの欠乏を補い、バランスのよくとれた動物用常食を確保するためのもので、たんぱく質、ミネラル又はビタミン、さらに他の成分の担体の役目をする追加的なエネルギー飼料(炭水化物)から成る。
これらの調製品は、質的には前記(A)に記載したものとほとんど同じ成分を有しているが、一つの特徴的な栄養素を比較的高率に含有していることにより区別される。
これらには、次の物品を含む。
(1)魚又は海棲哺(かいせいほ)乳動物のソリュブルで、液体、粘ちょう溶液、ペースト又は乾燥のもの:これらは、魚又は海棲哺(かいせいほ)乳動物のミール又は油の製造の際に得られる残液(たんぱく質、ビタミン B、塩類等の水溶性成分を含有している。)の濃縮及び安定化により製造される。
(2)アルファルファジュース液を加熱処理することによって得られる葉たんぱく濃縮物(whole green leaf protein concentrate)及び葉たんぱく分画濃縮物(green fractionleaf protein concentrate)
(C)前記(A)及び(B)の完全飼料又は補助飼料の製造用の調製品
商取引上「プレミックス」として知られているこれらの調製品は、一般的には、いくつかの物質(時には添加剤と呼ばれる。)から成る複合組成物であり、含有される物質の性質及び割合は飼育目的により異なる。これらの物質には、次の3種のタイプのものがある。
(1)消化を促進し、かつ、より一般的には、動物がより効果的に飼料を摂取し、健康を維持するためのもの:ビタミン又はプロビタミン、アミノ酸、抗生物質、コクシジウム病薬(coccidiostats)、微量元素、乳化剤、香味料及び食欲増進剤等
(2)動物により摂取されるまでの間、飼料要素(特に、脂肪成分)を保存するためのもの:
安定剤、酸化防止剤等
(3)担体となるもの:これらは一以上の有機栄養物質(マニオカ又は大豆の粉又はミール、小麦粗粉、酵母、食品工業の各種のかす等)か又は無機物質(マグネサイト、白亜、カオリン、塩、りん酸塩等)から成る。
前記(1)に掲げる物質の濃度及び担体の性質は、この調製品が飼料に加えられたときに、特に当該物質がその飼料中に均一に分散し、かつ、混合できるように決められる。
これらには、また、飼料に供する種類のものであることを条件として次の物品を含む。
(a)数種のミネラル物質から成る調製品
(b)前記(1)のタイプの活性物質の一つと担体とから成る調製品。例えば、抗生物質の製造の際に生ずる発酵槽の全内容物(本質的には菌糸、培養基及び抗生物質である。)を単に乾燥した物品。この結果得られた乾燥品(有機又は無機の物質を添加して標準化してあるかないかを問わない。)は抗生物質の含有量が一般に8~16%であり、特に、「プレミックス」を製造する際の原料として使用される。
ただし、このグループの調製品は、獣医用のある種の調製品と混同してはならない。後者は、一般に、薬効を有すること及び活性物質がより高濃度であることにより見分けることができ、また、これらはしばしば包装の様式が異なっている。

この項には、更に次の物品を含む。
(1)犬、ねこ等用の調製品で、肉、くず肉及びその他の成分の混合物の約一投餌分の量を気密容器に入れたもの
(2)犬その他の動物用のビスケットで、通常、穀粉、でん粉又は穀物産品に獣脂かす又は肉ミールを混合して作ったもの
(3)甘味の調製品(ココア分を含有するかしないかを問わない。)で、もっぱら犬又はその他の動物が消費するために作ったもの
(4)鳥のための飼育用調製品(例えば、ミレット、カナリーシード、殻をとったオート及び亜麻の種子から成る調製品で、セキセイインコ用の主食又は完全食として使用されるもの)又は魚のための飼育用調製品

この項の飼育用調製品は、しばしばペレット状(この類の総説参照)にされている。

この項には、次の物品を含まない。
(a)単一材料又は一の特掲された項に属する数種の材料の混合物から成るペレット(全重量の3%以下の割合で結合材(糖みつ、でん粉質の物品等)を添加したものを含む。)(07.14、12.14、23.01 等)
(b)単に穀物粒を混合したもの(10 類)、単に穀粉を混合したもの又は豆類の粉を混合したもの(11 類)
(c)調製品で、特に、その構成成分の性状、純度及び含有率並びに、製造の際に守られるべき衛生上の必要条件を考慮し、包装に記載されている使用方法その他用途に関する資料により、動物の飼料としても、人間の食料としても同様に使用することができると認められるもの(特に、19.01、21.06)
(d)23.08 項の植物のくず、植物のかす及び植物性副産物
(e)吸着させるか、又はゼラチン、ワックス、脂肪等で保護のため被覆されたビタミン(化学的に単一であるか、混合されているかいないか、種々の溶媒で希釈されているかいないか、酸化防止剤又は固結防止剤の添加により安定化処理をしているかいないかを問わない。ただし、これらの添加物の支持体又は被覆物の量が、保存又は輸送に必要な量を超えず、また、ビタミンの特性を改めず、かつ特定の用途に適合するようにしていない場合に限る。)(29.36)
(f)29 類のその他の物品
(g)30.03 項又は 30.04 項の医薬品
(h)35 類のたんぱく質系物質
(ij)好ましくない微生物を抑制するために、飼料の製造に使用される、抗菌性の消毒剤の性質をもつ調製品(38.08)
(k)抗生物質の製造工程における中間生産品であって、発酵物をろ過し、第1段階の抽出を行って得られるもの及び当該工程において生ずるかすで、抗生物質の濃度が一般的に 70%以下のもの(38.24)


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