関税率表 第39類総説

第 39 類 プラスチック及びその製品

 一般に、この類には、この類注2により除かれない限り、重合体と呼ばれる物質並びにその半製品及び製品を含む。

重合体
 重合体は、一以上の単量体単位の繰り返しによって特徴づけられる分子から成る。
 重合体は、同一又は異なる化学組成の数分子間の反応によって形成される。重合体が形成される工程を重合という。広義において「重合」には、次の主な反応がある。
(1)付加重合:これはエチレン系の不飽和を有する単一の分子が単純な付加により、水その他の副産物を生成することなく、互いに反応し、炭素-炭素結合のみを含む重合鎖を形成するもの(例えば、エチレンからポリエチレンの生成及びエチレンと酢酸ビニルからエチレン-酢酸ビニル共重合体の生成)である。この型の重合は単純重合又は単純共重合と呼ばれる(すなわち、厳密な意味での重合又は共重合である。)。
(2)転位重合:これは、酸素、窒素又は硫黄のような原子を含む官能基を有する分子が分子内の転位及び付加によって、水その他の副産物を生成することなく互いに反応し、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合その他の結合によって単量体単位が結合し、重合鎖を形成するものである(例えば、ホルムアルデヒドからポリ(オキシメチレン)(ポリホルムアルデヒド)の生成、カプロラクタムからポリアミド-6の生成及びポリオール及びジイソシアネートからポリウレタンの生成)。この型の重合は重付加とも称する。
(3)縮合重合:これは、酸素、窒素又は硫黄のような原子を含む官能基を有する分子が縮合反応によって互いに反応し、水その他の副産物の生成を伴ないエーテル結合、エステル結合、アミド結合その他の結合によって単量体単位が結合して重合鎖を形成するものである(例えば、エチレングリコールとテレフタール酸からポリ(エチレンテレフタレート)の生成及びヘキサメチレンジアミンとアジピン酸からポリアミド-6,6生成)。この型の重合は縮合又は重縮合と称する。
 重合体は、例えば、ポリエチレン又はポリ(塩化ビニル)の塩素化、ポリエチレンのクロロスルホン化、セルロースのアセチル化若しくはニトロ化及びポリ(酢酸ビニル)の加水分解のように化学的に変性させることもある。

重合体の略名
 この類に記載されている重合体の多くには、略名が知られている。次のリストは、一般的に使用されている略名の例である。
ABS アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体
CA 酢酸セルロース
CAB 酢酸酪酸セルロース
CP プロピオン酸セルロース
CMC カルボキシメチルセルロース
CPE 塩素化ポリエチレン
EVA エチレン-酢酸ビニル共重合体
HDPE 高密度ポリエチレン
LDPE 低密度ポリエチレン
LLDPE 直鎖の低密度ポリエチレン
PBT ポリ(ブチレンテレフタレート)
PDMS ポリジメチルシロキサン
PE ポリエチレン
PEOX ポリ(エチレンオキシド)(ポリオキシエチレン)
PET ポリ(エチレンテレフタレート)
PIB ポリイソブチレン
PMMA ポリ(メタクリル酸メチル)
PP ポリプロピレン
PPO ポリ(フェニレンオキシド)
PPOX ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン)
PPS ポリ(フェニレンスルフィド)
PS ポリスチレン
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
PVAC ポリ(酢酸ビニル)
PVAL ポリ(ビニルアルコール)
PVB ポリ(ビニルブチラール)
PVC ポリ(塩化ビニル)
PVDF ポリ(ふっ化ビニリデン)
PVP ポリ(ビニルピロリドン)
SAN スチレン-アクリロニトリル共重合体

 重合体は、商業上それらの略名によって表現される以上の単量体ユニットを含んでいる場合があることに注意すべきである(例えば、直鎖の低密度ポリエチレン(LLDPE)は、本質的にエチレンの重合体であるが、少量(しばしば5%以上)のアルファ-オレフィン単量体ユニットを含むことがある。)。さらに、重合体中の単量体ユニットの相対的な量は略名によって表現されている順序と同一であるとは限らない(例えば、スチレンを最大重量の単量体ユニットとして含んでいるアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体)。
 それゆえ、重合体の略名は、分類を行う場合の参考としてのみ使用すべきである。分類は、すべての場合、類注及び号の注を適用し、重合体中の単量体ユニットの相対的な構成割合をもととして行わなければならない(この類の注4及び号注1参照)。

プラスチック
 この類注1に定める「プラスチック」とは、39.01 項から 39.14 項までの材料で、重合の段階又はその後の段階で、外部の作用(通常、加熱又は加圧、必要に応じ溶剤又は可塑剤を加えることができる。)の下で、鋳造、押出し、圧延その他の方法により成形することができ、かつ、外部の作用の除去後もその形を維持することができるものをいう。この表において「プラスチック」には、バルカナイズドファイバーも含む。
 ただし、この表現は、11 部の紡織用繊維とみなされる材料には適用しない。「プラスチック」の定義は、この表において適用されるので注意する必要がある。
 「重合」とは、この定義において広義に使用しており、重合体を形成するすべての方法をいうものとし、付加重合、転位重合(重付加)及び縮合重合(重縮合)を含む。
 この類の材料のうち、熱処理によってくり返し軟化して製品に成形することができ(例えば、型による成形)、次いで冷却によって硬化することができるものを「熱可塑性」と称する。他方、化学的又は物理的(例えば、熱)方法によって不溶融性の物品に変えることができ又はすでに変わっているものを「熱硬化性」と称する。
 プラスチックはほとんど無制限に利用されているが、プラスチックから作られた多くの製品は他の類に属する(この類の注2参照)。

この類の全般的な配列
 この類は二つの節に分けられている。第1節は一次製品の重合体を含み、第2節にはくず、半製品及び製品を含む。
 一次製品に関連する第1節において、39.01 項から 39.11 項までの物品は化学合成によって得られ、また 39.12 項又は 39.13 項の物品は天然重合体か又はこれらの化学処理によって得られたものである。39.14 項には、39.01 項から 39.13 項までの重合体をもととしたイオン交換樹脂を含
む。
 第2節において、39.15 項はプラスチックのくずに関連している。39.16 項から 39.25 項までは、プラスチックの半製品及び特掲された製品を含む。39.26 項には、他の項に該当する物品を除くものとし、プラスチックの製品及び 39.01 項から 39.14 項までの材料(プラスチックを除く。)の製品を含む最後の項である。 

39.01 項から 39.11 項までの範囲
 これらの項の範囲は、この類の注3によって定められている。これらの項は化学合成によって製造した物品で、次に掲げるものに限り適用する。
(a)液状合成ポリオレフィン:エチレン、プロペン、ブテンその他のオレフィンから得られる重合体である。減圧蒸留法により蒸留した場合において、1,013 ミリバールに換算したときの温度 300 度における留出容量が全容量の 60%に満たないものは 39.01 項及び 39.02 項に属する。
(b)クマロンインデン系樹脂:コールタールに由来する混合単量体(クマロン及びインデンを含む。)を共重合することによって得られる低重合度のもの(39.11)
(c)平均5以上の単量体ユニットよりなり、連続構造を持つその他の合成ポリマー:これらのものには、この類の注1で定めるプラスチックを含む。
類注3(c)における単量体ユニットの平均数の計算において、縮重合体及びある種の転位重合体は、各々が異なる化学組成を有する、2以上の単量体ユニットを有することがある。
 単量体ユニットは、重合過程において個々の単量体分子から形成される最大の構成単位であるが、重合体を構成する繰り返しの最小単位である繰り返し単位又は重合体を形成する一分子の単量体という語と混同してはならない。 

例示
(a)ポリ塩化ビニル
(b)ポリアミド-6,6
(c)エチレン-酢酸ビニル共重合体
(d)シリコーン:分子内に二以上のけい素-酸素-けい素結合を含み、かつ、けい素原子に直接けい素-炭素の形で結合している有機の基を含む化学的に単一でない物品である(39.10)。
(e)レゾール(39.09)その他のプレポリマー:プレポリマーは、未反応の単量体を含んでいる場合もあるが、単量体ユニットのある程度の繰返しにより特徴付けられるものであり、通常そのままでは使用されず、更に重合することによって、より分子量の大きい重合体にして使用するものである。したがって、プレポリマーには、ジイソブチレン(27.10)又は非常に低分子量のポリ(オキシエチレン)(ポリエチレングリコール)(38.24)のよ
うな最終物品を含まない。プレポリマーには、例えば、ビスフェノールAやフェノールホルムアルデヒドをもととし、エピクロルヒドリンによりエポキシ化したエポキシド及びイソシアン化物の重合体がある。

一次製品
 39.01 項から 39.14 項までは一次製品の物品のみを含む。「一次製品」とは、この類の注6に規定する次の形状の物品に限る。
(1)液状又はペースト状のもの:これらは、最終材料にするための熱その他の方法により硬化(curing)を必要とする基礎的な重合体又は未硬化又は部分的に硬化した材料のディスパーション(乳化し又は懸濁しているもの)及び溶液である。硬化に必要な物質(硬化剤(架橋剤)その他の共反応剤及び促進剤等)の他に、これらの液状又はペースト状のものには、主として最終物品に特別な物性その他の所望の特性を与えるために、可塑剤、安定剤、充てん料及び着色料のような他の物質を含んでいてもよい。液状のもの及びペースト状のものは鋳造、押出し等のために使用するほか、含浸材料、表面塗装剤、ワニス及びペイントのベース又は膠(こう)着剤、粘度付与剤、凝集剤等としても使用する。
 ある物質を添加した結果、その物品がこの表において、より特殊な限定をした項のいずれかの記載に該当することとなれば、39 類から除かれる。例えば、次のような場合がある。
(a)調製膠(こう)着剤:この総説の末尾の除外規定(b)を参照
(b)鉱物油用の調製添加剤(38.11)
39.01 項から 39.13 項までの物品を揮発性有機溶剤に溶かした溶液(コロジオンを除くものとし、溶剤の含有量が全重量の 50%を超えるものに限る。)は 32.08 項に分類されることに注意すべきである(この類の注2(e)参照)。
 溶剤を含有しない液状の重合体で、ワニスとしてのみ使用することが明らかに認められる物品(硬化剤を添加することなく、熱、大気中の湿度又は酸素によって被膜を形成するもの)は、32.10 項に属する。ワニスとして使用することが明らかに認められないものは、この類に含まれる。
 マスチックとしての使用に適する物品にするために、添加物をさらに調合した一次製品の重合体は、32.14 項に属する。
(2)粉、粒及びフレーク:これらの形状のものは、成型用、ワニス、膠(こう)着剤等の製造用又は粘度付与剤、凝集剤等として使用する。これらは成型、硬化の過程でプラスチックとなる不可塑化材料から成るものか又は可塑剤がすでに加えられているものより成る。これらの材料には、充てん料(木粉、セルロース、紡織用繊維、鉱物性物質、でん粉等)、着色料又は上記(1)に掲げた他の物質を含有していてもよい。粉は、例えば、静電気を有しているかいないかを問わず、熱を応用して目的物を塗布するのに使用する。
(3)塊(不規則な形のものに限る。)、その他これらに類する形状のもの(充てん料、着色料又は上記(1)に掲げた物質を含んであるかいないかを問わない。):規則正しい幾何学的形状の塊は一次製品に該当せず、「板、シート、フィルム、はく及びストリップ」に含まれる(この類の注 10 参照。)。
 一種類の熱可塑性プラスチックのくずで、一次製品の形状に変形させたものは 39.01 項から39.14 項まで(その材料によって)に含まれ、39.15 項には含まれない(この類の注7参照)。

共重合体及びポリマーブレンド
 「共重合体」はこの類の注4で重合体の全重量の 95%以上を占める一の単量体ユニットを有しない重合体であると定義されている。
 つまり、例えば、プロピレンの単量体ユニット 96%及び他のオレフィン系単量体ユニット4%から構成される重合体は共重合体としては扱わない。
 共重合体には、共縮重合物、共重付加物、ブロック共重合体及びグラフト共重合体を含む。
 ブロック共重合体とは、異なる単量体ユニットから成る少なくとも二種類の重合鎖が、結合した共重合体をいう(例えば、エチレンとプロピレンから成る共重合体で、ポリエチレンとポリプロピエンの部分を交互に有するもの)。
 グラフト共重合体とは、主鎖となる重合鎖に、異なる単量体ユニットから成る側鎖が結合している共重合体をいう(例えば、スチレン-ブタジエン共重合体-グラフト-ポリスチレン(スチレン-ブタジエン共重合にポリスチレンが側鎖として結合したもの)及びポリブタジエン-グラフト-スチレン-アクリロニトリル共重合体)。
 最大重量を占める単一のコモノマーユニット(又は同一の項に分類される重合体を構成するコモノマーユニットのグループ)が存在しない場合には、共重合体及びポリマーブレンドは等しく考慮に値する項のうち数字上の配列において最後となる項に属する。
 したがって、例えば、塩化ビニル単量体ユニット 55%を含有する塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、39.04 項に属するが、酢酸ビニル単量体ユニット 55%を含有するものは 39.05 項に属する。
 同様に、エチレン 45%、プロピレン 35%及びイソブチレン 20%の単量体ユニットから成る共重合体は、プロピレン及びイソブチレンの各々の重合体が 39.02 項に属するので、これらを合計すると共重合体の 55%を構成しており、エチレンの単量体ユニットより大きい重量を占めるので、39.02 項に属する。トルエンジイソシアネートとポリエーテルポリオールをもととしたポリウレタン 55%とポリ(オキシキシリレン)45%から構成されるポリマーブレンドは、ポリウレタンの単量体ユニットがポリ(オキシキシリレン)によるポリエーテルの重量より大きい重量を占めるので 39.09 項に属する。ポリウレタンを定義するにあたってはポリウレタンの単量体ユニットの
全て(ポリウレタンの一部分を形成するポリエーテルポリオールの単量体ユニットを含む。)を39.09 項に属する単量体ユニットとしてその重量を合計する。

化学的に変性させた重合体
 化学的に変性させた重合体、すなわち重合体の主鎖に付随する部分のみを化学反応により変化させたものは、変性させていない重合体の属する項に属する(この類の注5参照)。この規定はグラフト共重合体には適用しない。
したがって、例えば、塩素化ポリエチレンやクロロスルホン化ポリエチレンは 39.01 項に分類する。
 エポキシ樹脂を生成するために反応性エポキシ基を形成するように化学的に変性させた重合体は 39.07 項に分類する(39.07 項の解説参照)。例えば、エピクロルヒドリンによって化学的に変性させたフェノール樹脂はエポキシ樹脂として分類して、39.09 項の化学的に変性させたフェノール樹脂として分類しない。
 ポリマーブレンドにおいてそのいずれかの構成成分を化学的に変性させたものは、全体が化学的に変性されたとみなす。

管及びホース
 39.17 項の「管及びホース」とは、この類の注8に規定されている。

39.20 項又は 39.21 項の板、シート、フィルム、はく及びストリップ
 39.20 項及び 39.21 項の板、シート、フィルム、はく及びストリップは、この類の注 10 に規定されている。
 板、シート等(表面加工してあるかないかを問わないものとし、長方形(正方形を含む。)に切ったのを含む。)で、縁をみがいたもの、穴をあけたもの、ぎざぎざを付けたもの、へりを付けたもの、よったもの、枠をつけたものその他の加工をしたもの及び長方形(正方形を含む。)以外の形状に切ったものは、一般に 39.18 項、39.19 項及び 39.22 項から 39.26 項までに属する。

多泡性のプラスチック
 多泡性のプラスチックは、塊全体に分散した多くの気孔(開いたもの、閉じたもの又は両方の状態のもの)を有するプラスチックである。これらのものには、フォームプラスチック、エキスパンデッドプラスチック、ミクロポーラスプラスチック及びミクロセルラープラスチックを含む。
これらのものには、柔軟性のあるもの及び硬いものがある。 
 多泡性のプラスチックは、種々の方法により作られる。これらの方法には、プラスチックにガスを混合させる方法(例えば、機械的攪拌、低沸点の溶剤の気化及びガス生成物質の分解)、中空のマイクロスフィア(例えば、ガラス又はフェノール樹脂のもの)をプラスチックに混合する方法、プラスチックの微粒子を焼結する方法及びプラスチックに水又は溶剤可溶物を混合し、それらを取り除くことにより空間を作る方法を含む。

プラスチックと紡織用繊維との結合物品
 この類の注9に該当する壁面被覆材及び天井被覆材は、39.18 項に属する。この他に、プラスチックと紡織用繊維の結合物品の分類は、基本的に 11 部の注1(h)、56 類の注3及び 59 類の注2に従うものとする。次の物品もこの類に含む。
(a)フェルトにプラスチックを染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層したもので、紡織用繊維重量が全重量の 50%以下の物品及びフェルトをプラスチックの中に完全に埋め込んだ物品
(b)紡織用繊維の織物類及び不織布をプラスチックの中に完全に埋め込んだ物品並びに紡織用繊維の織物類及び不織布の両面のすべてにプラスチックを塗布し又は被覆した物品で、その結果生ずる色彩の変化を考慮することなく塗布し又は被覆したことを肉眼により判別することができる物品
(c)紡織用繊維の織物類にプラスチックを染み込ませ、塗布し、被覆し、又は積層したもので、温度 15 度から 30 度までにおいて直径が7ミリメートルの円筒に手で巻きつけたときに、き裂を生ずる物品
(d)紡織用繊維の織物類(59 類注1で定義されるもの)、フェルト又は不織布と多泡性のプラスチックの板、シート又はストリップとを結合したもので、紡織用繊維が単に補強の目的で使われている物品
 この場合において、模様を有しないもの、漂白してないもの、漂白したもの又は均一に浸染した紡織用繊維の織物類、フェルト又は不織布をこれらの板、シート又はストリップの片側のみに結合した場合は、単に補強の目的で使用したものとみなす。模様を有するもの、なせんしたもの、これら以上の精巧な加工をした織物類(例えば、起毛)及びパイル織物、チュール、レース、58.11 項の織物製品などの特殊な物品は、単なる補強以上の機能を有するものとみなす。
 紡織用繊維の織物類を両面に結合した多泡性のプラスチックの板、シート及びストリップは、織物がどのような特性を有しているかによらず、この類から除外する(一般に 56.02 項、56.03項又は 59.03 項)。

プラスチックと紡織用繊維以外の材料との結合物品
 この類には、単一作業又は連続作業によって得られるかを問わず次の物品を含む(ただし、プラスチック製品の特性を有するものに限る。)。
(a)プラスチック中に他の材料(線、ガラス繊維等)から成る補強材又は支持網が埋め込まれた板、シート等
(b)金属はく、紙、板紙等の材料を中間層として有するプラスチックの板、シート等 
 この類には、薄いプラスチックの保護シートで両面を被覆した紙又は板紙から成る物品で、紙又は板紙の重要な特性を有するものを含まない(通常 48.11)。
(c)紙で補強した積層プラスチックのシート及び一層のプラスチックを塗布し又は被覆した一層の紙又は板紙から成る物品。後者においては、プラスチック層の厚さが全体の半分を超えるもの(48.14 項の壁面被覆材を除く。)。
(d)プラスチックを染み込ませたガラス繊維又は紙のシートで圧搾して作った物品であって、硬い特性を有するもの(紙又はガラス繊維製品の特性を有しているものは 48 類又は 70 類に分類される。)。
前段の規定は、単繊維、棒、形材、管、導管及びホース及び製品についても準用する。
 プラスチックを単に含浸した卑金属製の網及び網地製品は、これらの含浸過程において網目が充てんされていてもこの類から除かれる(15 部)ことに注意しなければならない。
 木材とプラスチックの層から成る板又はシートで、木材が単にプラスチックの支持体又は補強材となっているものは、この類に属し、プラスチックが単に補助的な役割を有するもの(例えば、プラスチックが薄いベニヤ板用の基材になっている場合)は除かれる(44 類)。これに関連し、木材とプラスチックとの層から成る建築用パネルは通常 44 類に属することに注意しなければならない(44 類総説参照)。

 注2に掲げた除外規定に加え、この類には次の物品を含まない。
(a)プラスチックに着色料を濃厚に分散させたもので、32 類の物品の特性を有するもの。例えば、32.04 項の解説(プラスチックに着色料を濃厚に分散させたものについてはパラグラフ(I)(C)及び有機ルミノホア、例えば、プラスチック中にローダミンBを入れたものについてはパラグラフ(Ⅱ)(2))、32.05 項の解説(プラスチックにレーキ顔料を濃厚に分散させたものについてはパラグラフ7)及び 32.06 項の解説(プラスチックにその他の着色料を濃厚に分散させたものについては(A)、パラグラフ6(Ⅰ))参照
(b)接着剤として使用するために特に配合された調製品で、39.01 項から 39.13 項までの重合体又はそれらの混合物から成り、かつ、この類に該当しない他の物質(例えば、ろう、ロジンエステル、変性させてない天然セラック。ただし、この類の物品への添加が許容されている物品(充てん料、可塑剤、溶剤、顔料等)を除く。)を加えたもの及び 39.01 項から 39.13項までの物品を、膠(こう)着剤又は接着剤として小売用にしたもので正味重量が1キログラム以下のもの(35.06)
(c)プラスチック及びその製品(39.18 項又は 39.19 項の物品を除く。)で、モチーフ、字又は絵を印刷したもののうち、当該モチーフ、字又は絵がこれらの物品の本来の用途に対し付随的でないもの(49 類)

号の解説
号注1 
 この注は、号のレベルにおける重合体(共重合体を含む)、化学的に変性させた重合体及びポリマーブレンドの分類を規定している。ただし、これらの物品は号の所属を決定するまえに、この類の注4および注5の規定にしたがってまず項の所属を決定しなければならない(この類の総説参照)。

重合体(共重合体を含む)及び化学的に変性させた重合体の分類
 号注1にしたがって、重合体(共重合体を含む)及び化学的に変性させた重合体は、一連の号中に「その他のもの」を定める号があるかないかにより、号注1(a)又は1(b)の規定にしたがって分類する。
 「その他のもの」を定める号には「その他のポリエステル」及び「その他のプラスチックのもの」のような号を含まない。
 「一連の号中に」とは、同じ水準の号(すなわち、一段落ちの号(水準1)又は二段落ちの号(水準2)のことをいう。(通則6に関する解説参照。)
 2種類の一連の号項(例えば、39.07 項)が存在することに注意しなくてはならない。
(A)一連の号中に「その他のもの」を定める号が存在する場合の分類
(1)号注1(a)(1)では接頭語「ポリ」が付された重合体(例えば、ポリエチレン及びポリアミド-6,6)は、重合体を構成する一の単量体ユニット又は当該重合体の名称が由来する二以上の単量体ユニットが重合体の全重量の 95%以上を占めるものと定義されている。ある種の単量体ユニットの総称に接頭語「ポリ」が付された重合体(例えば、3911.10 号のポリテルペン)の分類の場合では、その種類に属する全ての単量体ユニット(例えば、ポリテルペンの場合は異なるテルペン単量体ユニット)が重合体の重量の95%以上含まれていなければならない。
 この定義は一連の号中に「その他のもの」を定める号が存在する号の重合体にのみ適用する。
 したがって、例えば、エチレン単量体ユニット 96%とプロピレン単量体ユニット4%から構成され比重が 0.94 以上(この類の注4を適用し 39.01 項の重合体となる)のものは、エチレン単量体ユニットが重合体の全重量に対して 95%以上を占め、一連の号中に「その他のもの」を定める号が存在するので、3901.20 号に分類する。
 接頭語「ポリ」が付された重合体の上記の定義を、ポリ(ビニルアルコール)に適用する時には、「ビニルアルコール」と命名される単量体ユニットの重量が 95%を満たさなくともよい。しかし、酢酸ビニル及びビニルアルコールのそれぞれの単量体ユニットを合計して重合体の重量の 95%以上存在することが必要である。
(2)号注1(a)(2)の規定は 3901.30 号、3901.40 号、3903.20 号、3903.30 号及び 3904.30号の物品の分類に関するものである。
これら4つの号に分類される共重合体は号に分類された重合体を構成する単量体ユニットが重量で 95%以上を占めなければならない。
 したがって、例えば、塩化ビニル 61%、酢酸ビニル 35%及び無水マレイン酸4%の各単量体ユニットから構成される共重合体(39.04 項の重合体)は、塩化ビニル及び酢酸ビニル単量体ユニットを合計すると全重合体の 96%を占めるので、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体として 3904.30 号に分類する。一方、スチレン 60%、アクリロニトリル 30%及びビニルトルエン 10%の各単量体ユニットから構成される共重合体(39.03 項の重合体)は、スチレンとアクリロニトリルを単量体ユニットとして合計したものが、重合体の 90%だけであるので、3903.90 号(「その他のもの」を定める号)に分類され、3903.20号には分類されない。
(3)号注1(a)(3)の規定は化学的に変性させた重合体に関するものである。これらの重合体は、化学的に変性させた重合体がより特殊な限定をした号に含まれない限り、「その他のもの」を定める号に分類される。この注の結果、化学的に変性させた重合体は、化学的に変性させてない重合体自身が「その他のもの」を定める号に属さない限り、変性させてない重合体と同じ号に分類されない。
 したがって、例えば、化学的に変性させたポリエチレン(39.01 項に分類される。)である塩素化ポリエチレン及びクロロスルホン化ポリエチレンは、3901.90 号(「その他のもの」)に分類される。
一方、ポリ(酢酸ビニル)を加水分解して得られるポリ(ビニルアルコール)は、より特殊な限定をしている 3905.30 号に分類する。
(4)(a)(4)には、(a)(1)、(a)(2)、(a)(3)の規定にしたがって分類できない重合体は、「その他のもの」を定める号に分類すると規定されている。ただし、他の単量体ユニットと比較して最大重量を占める単量体ユニットからなる重合体を分類するより限定された号が存在する場合を除く。
 この場合において、同じ号に属する重合体を構成する単量体ユニットは、重量を合計する。考慮する一連の号中に属する重合体を構成する単量体ユニットのみを比較する。
 そのような特定の号は、「Xの重合体」、「X共重合体」又は「X-重合体」と規定されている。(例えば、プロピレンの共重合体(3902.30 号)、ふっ素系重合体(3904.61 号、3904.69 号))
 これらの号に分類されるためには、号に掲名された単量体ユニットが、考慮される一連の号のいずれの単量体ユニットよりも多いことだけが必要である。つまり、号に掲名された単量体ユニットは考慮される号の重合体の総重量のうち 50%以上存在する必要は無い。
 したがって、例えば、エチレン 40%及びプロピレン 60%の各単量体ユニットから構成されるエチレン-プロピレン共重合体(重合体は 39.02 項に分類される。)は、プロピレンが考慮すべき唯一構成単量体ユニットであるので、プロピレンの共重合体として3902.30 号に分類される。
同様に、エチレン 45%、プロピレン 35%及びイソブチレン 20%の各単量体ユニットから構成される共重合体(重合体は 39.02 項に分類される。)は、プロピレン及びイソブチレンのみが比較されるべき(エチレンは無視する。)でありさらにプロピレンはイソブチレンより多くの重量を占めるので 3902.30 号に分類される。
 一方、エチレン 45%、イソブチレン 35%及びプロピレン 20%の各単量体ユニットから構成される共重合体(重合体は 39.02 項に分類される。)は、イソブチレンとプロピレンが比較されるべきでまたイソブチレンがプロピレンに比べて大きい重量を占めるので、3902.90 号に分類する。
(B)一連の号中に「その他のもの」を定める号がない場合の分類
(1)号注1(b)(1)は、一連の号注に「その他のもの」を定める号がない場合には、当該重合体を構成するいずれの共重合体ユニットをも重量を上回る単量体ユニットの重合体が属する号に重合体を分類することを示している。この場合において、同じ号に属する重合体を構成する単量体ユニットは、その重量を合計する。
 これは、この類の注4で重合体の項のレベルでの分類に対して示した分類方法と同様である。
 一の単量体ユニットについての最大重量の概念は、重合体が考慮される一連の号中に該当しない単量体ユニットを含有する場合を除き適用する。このような場合では、考慮される一連の号の重合体に関係する単量体ユニットのみを比較する。
 したがって、例えば、尿素及びフェノールのホルムアルヒデドとの共重縮合物(重合体は 39.09 項に分類される。)は、一連の号中に「その他のもの」を定める号が存在しないので、尿素単量体ユニットがフェノール単量体ユニットより多いならば 3909.10 号に、フェノール単量体ユニットのほうが多いときは 3909.40 号に分類する。
 号注1の(a)(1)での接頭語「ポリ」を持つ重合体の定義は、この範疇に入る号には適用しないことを忘れてはならない。
 したがって、例えば、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートの両者の単量体ユニットから構成される重合体は、一連の号に「その他のもの」を定める号がないので、ポリカーボネートが多いときは 3907.40 号に、ポリエチレンテレフタレートが多いときは 3907.61 号又は 3907.69 号に分類される。
(2)号注1の(b)(2)は化学的に変性させた共重合体の分類に関する規定である。これらは考慮される一連の号中に「その他のもの」を定める号が存在しないときは、変性させてない重合体として同じ号に分類する。つまり、例えば、アセチル化フェノール樹脂(重合体は 39.09 項に分類する。)は、一連の号中に「その他のもの」を定める号がないので、フェノール樹脂として 3909.40 号に分類する。

ポリマーブレンドの分類
 号注1の最後のパラグラフはポリマーブレンドの分類を示している。これらは、同一比率の同一単量体ユニットから構成される重合体が属する項に属する。
 次の例はポリマーブレンドの分類を説明している。
 ポリエチレン 96%及びポリプロピレン4%から構成され、かつ比重が 0.94 を超えるポリマーブレンドは、重合体の 95%以上をエチレン単量体ユニットが占めるのでポリエチレンとして、3901.20 項に分類する。
 ポリアミド6が 60%及びポリアミド-6,6が 40%から構成されるポリマーブレンドはどの重合体の単量体ユニットも全重量のうち 95%以上を占めるものがないので、3908.90 号(「その他のもの」)に分類する。
 ポリプロピレン 45%、ポリ(ブチレンテレフタレート)42%及びポリ(エチレンイソフタレート)13%から構成されるポリマーブレンドは、2種類のポリエステルを構成する単量体ユニットを合計すると、プロピレンの単量体より重量が多いので、39.07 項に分類する。ポリ(ブチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンイソフタレート)の単量体ユニットがポリマーブレンド中の個々の重合体中においてどのように結合しているかは考慮しない。この例において、ポリ(エチレンイソフタレート)の一つの単量体ユニットと、ポリ(ブチレンテレフタレート)のもう一つの単量体ユニットは、ポリ(エチレンテレフタレート)を構成する単量体ユニットと同一である。しかし、ポリエステル単量体ユニットを考える限り、正確な化学量論的な割合において「その他のポリエステル」を構成する単量体ユニットが、ポリ(エチレンテレフタレート)の単量体ユニットよりも多くを占めることから、このポリマーブレンドは 3907.99 号に分類される。 

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