関税率表 第40.01項


第 40 類 ゴム及びその製品

40.01 天然ゴム、バラタ、グタペルカ、グアユール、チクルその他これらに類する天然ガム(一次製品、板、シート又はストリップの形状のものに限る。)
4001.10-天然ゴムのラテックス(プリバルカナイズしてあるかないかを問わない。)
-その他の形状の天然ゴム
4001.21--スモークドシート
4001.22--技術的格付けをした天然ゴム(TSNR)
4001.29--その他のもの
4001.30-バラタ、グタペルカ、グアユール、チクルその他これらに類する天然ガム

この項には、次の物品を含む。
(A)天然ゴムのラテックス(プリバルカナイズしてあるかないかを問わない。)
天然ゴムのラテックスは、主としてゴムの樹、特に hevea brasiliensis 種の樹木から分泌された液である。この液は、30%ないし 40%の懸濁状態のゴム分(すなわち、高分子量のポリイソプレン)を含有する有機物及び鉱物物質(たんぱく質、脂肪酸及びこれらの誘導体、塩、糖並びにグリコシド)から成る水溶液である。
これらには、次の物品を含む。
(1)安定化又は濃縮した天然ゴムのラテックス
ゴムラテックスは、採取後、短時間に自然に凝固する傾向があるので、保存及び腐敗又は凝固の防止のため安定化する必要がある。通常、ラテックス1リットルにつき5~7グラムの比率でアンモニアを添加し、フルアンモニア又は FA タイプとして知られている物品を製造する。二番目の安定化の方法は、低アンモニア又は LA タイプを製造するもので、アンモニアと他の物質(例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド及び酸化亜鉛)との低濃度の混合物を微量(ラテックス1リットルにつき1~2グラム)添加する
ことがある。
また、耐冷凍天然ゴムラテックスがあるが、これは、特にサルチル酸ナトリウム又はホルムアルデヒドの微量の添加により安定化され、寒冷地用として使用する。
天然ゴムのラテックスは、種々の方法(遠心分離、蒸発、クリーミング等)により主として輸送目的のために濃縮される。
市販ラテックスのゴム含有量は通常 60~62%であるが、さらに高濃度のもの又はある場合には固形分の含有量が 70%を超えるものがある。
(2)天然ゴムの感熱ラテックス
これらのものは、感熱剤を加えて得られるものである。これらのタイプのラテックスを加熱すると非感熱性ラテックスより速くゲル化する。一般に浸せき製品又は成型製品の製造用及びフォームラバー又はスポンジラバーの製造用に供する。
(3)陽性ラテックス
これらのラテックスは、通常の濃縮ラテックスの粒子の電荷を逆にすることにより得られるので“reversed electric charge latex”ともいう。このものは、通常、陽イオン界面活性剤を加えることによって得られる。
このようなラテックスの使用は、ゴムの浸透に抵抗する紡織用繊維の性質を変え、ゴムが浸透しやすくなる(通常のラテックスと同じようにアルカリ性環境の下では、繊維の静電荷は負であるため。)。
(4)天然ゴムのプリバルカナイズドラテックス
これは、通常 100 度以下の温度で加熱下、ラテックスと加硫剤の反応によって得られる。
このラテックスに含まれているゴム粒子は、通常、過剰の沈降硫黄又はコロイド硫黄、酸化亜鉛及び加硫促進剤(例えば、ジチオカルバミン酸塩)を加えて加硫されている。
最終物品の加硫の程度は、温度、加熱時間、使用する配合剤の割合を変えることによって随意に変えることができる。通常、ゴム粒子の表面部分のみが加硫されている。ラテックスの過加硫を防ぐために、加熱後、過剰の配合剤は遠心分離によって除去される。
プリバルカナイズドラテックスの外観は、通常のラテックスと同じである。これらの結合硫黄の含有量は通常1%程度である。
プリバルカナイズドラテックスを使用することは、いくつかの工程(例えば、粉砕、配合)を省略することができる。浸せき製品又は鋳造製品(医療用品及び外科用品)の製造及び紡織用繊維工業に使用し、接着剤としても使用する。更に、ある種の紙及びコンポジションレザーの製造にも使用され、優れた電気絶縁性(たんぱく質及び可溶性物質の濃度が低いため)を有するゴム特性を与えている。
天然ゴムのラテックスは内面に塗料を塗布したドラム(約 200 リットル入)又はばら積みで出荷する。
(B)その他の形状の天然ゴム
この項において天然ゴムは、輸送及び保存の目的のため又はその後の使用を容易にし若しくは最終物品の品質を改良する目的で、天然ゴムにある種の特性を与えるため一般に栽培地の工場において処理された後、伝統的に生産地から出荷されるようなヘベアゴム(Hevea rubber)に限る。ただし、この項に属するためには、処理されたゴムが原材料としての重要な特性を失っていてはならない。更に、カーボンブラック、シリカその他の注5(A)で許容されていない物質を加えたものは含まない。
天然ゴムのラテックスの凝固は、可動仕切り板が取り付けられている各種の形のタンクの中で行われる。ラテックスは、水性の乳漿からゴムの小球体を分離するために、例えば、1%酢酸又は 0.5%ぎ酸で、わずかに酸性にすることによって凝固させる。凝固工程の終わりに、凝固物はスラブ又は連続したストリップの形で取り出される。
その後の処理は、スモークドシート、ペールクレープ、ブラウンクレープ、再凝集粒(re-agglomerated granules)又は流動性粉末(free flowing powder)のいずれを製造するかによって異なる。
(1)ゴムのシート及びクレープ
シートを製造するには、ゴムストリップを圧延機にかけ、型付きロールの最後のところで表面に独特の模様をつける(蒸発面積を大きくして乾燥を容易にするためである。)。
ゴムストリップ(厚さ約3~4ミリメートル)が圧延機から取り出される際、シート状に切る。これをさらに乾燥室又はくん煙室に置く。くん煙の目的は、ゴムを乾燥するとともに、ゴムに老化防止剤及び防腐剤の効果をもつクレオソート系の物質を染み込ませることにある。
ペールクレープを製造するには、ゴムの凝固物を一連のクレープ機にかける。最初の機械は溝付けローラーであり、最後の機械は、回転速度の異なる平滑ローラーである。
この操作は、一定流量の水の存在下で行われるため、ゴムは十分に水洗される。さらに、通気のよい乾燥室において室温又は熱気中で乾燥する。ソールクレープのスラブを形成するために、クレープを2枚以上重ね合わせることがある。
シートは次の工程によっても作られる。すなわち、ラテックスを円筒形のタンクの中で凝固した後、凝固物をのこぎりで長いストリップ状に薄切りし、これをシート状に切って乾燥する(一般に、くん煙をしない。)。
ある種のゴム(特にペールクレープ以外のクレープ)は、ラテックスの凝固によって直接製造するのではなく、切付け(tapping)又は工場の工程で生ずる凝固物の再凝集及びクレープ機による洗浄によって製造する。この方法によって作られたシートは厚さが様々であるが、ペールクレープと同様の方法で乾燥する。
上記の天然ゴムは、通常関連する国際機関で設定した国際規格に応じた形状及び等級によって取引する。
そのおもなタイプには、スモークドシート及びそのカッティング、ペールクレープ及びそのカッティング、ブラウンクレープ、リブドアンドエアドライシート(ribbed and air dried sheets)がある。
(2)技術的格付けをした天然ゴム(TSNR)
これらのものは、乾燥した原料天然ゴムで、次の表の規格にしたがって加工し、試験し、五つの一般的な等級(5L、5、10、20 及び 50)に格付けしたものである。
表:各パラメーターに対する TSNR の等級及び最大許容限界値
(省略)
TSNR はゴムの等級、規格及び試験結果を格付けするため製造国のしかるべき権威によって発行された試験証明書を添付していなければならない。ある製造国では、上記の表に記載したものより厳重な規格で格付けしていることがある。TSNRは 33 と1/3キログラムのベール状にし、ポリエチレンで包装したものがある。通常 30 又は 36 個のベールはパレット化し、内側をポリエチレンライナーで被覆するか又はポリエチレンで収縮包装するかのいずれかである。各々のベール又はパレットは等級、重量、製造者コード等を示すために特別な印がつけてある。
(3)再凝集ゴム粒(re-agglomerated rubber granules)
シート又はクレープよりもきれいで、かつ、品質の安定した製品を得るため、粒状のゴムに加工する方法が採用されている。
その製造工程は、凝固物の粒状化、特に十分な洗浄、乾燥及び圧縮してベール状にすることから成る。粒状化には、rotary blade chopper、cross hammer mill、pelleting machine、creping machine 等のような種々の機械が使用される。これらの機械的な作用を助けるために、凝固前のラテックスに、極く少量(0.2~0.7%)のひまし油、ステアリン酸亜鉛その他の顆粒化剤を添加することがあるが、これらの顆粒化剤は、以後の用途やゴムの性質に影響を与えることはない。
粒状にされたゴムは、次に半連続式トロリー型乾燥機、ベルトコンベヤ式トンネル乾燥機又は押出式乾燥機によって乾燥する。
乾燥した粒子は、最後に高圧力によって、重量が 32~36 キログラムの平行六面体型のベールに圧縮する。再凝集ゴム粒は、通常、保証付きの技術的な明細書をつけて、販売される。
(4)天然ゴムの流動性粉末(free-flowing powders of natural rubber)
これらのものは、上記(3)に示した工程と同様に製造されるが、圧縮工程がない。
個々の粒子が自らの重量の作用によって再凝集することを防ぐために、製造工程中にタルクのような粉状の不活性物質その他の粘着防止剤を混合する。
また、ゴムの粉は、特に粒子の凝集を避けるために、乾燥チャンバー中にラテックスとともにけい酸質の土のような不活性物質を注入することによっても得ることができる。
(5)特殊なタイプの天然ゴム
種々の特殊なタイプの天然ゴムは、上記の(1)から(4)までに述べた形状で得られる。そのおもなタイプには次のものがある。
(a)CV ラバー(constant viscosity rubber)及び LV ラバー(low viscosity rubber)
CV ラバーは、凝固前に極少量(0.15%)のヒドロキシルアミンを添加することにより得られ、また、LV ラバーは、凝固前に少量の鉱物油を添加することによって得られる。ヒドロキシルアミンは、貯蔵中の天然ゴムの粘性の自然増加を防ぐ。これらのゴムを使用すると、製造者は、素練り(mastication)の時間を予測することが可能になる。
(b)しゃく解ゴム(peptised rubber)
このものは、凝固前に約 0.5%のしゃく解剤を加えることにより得られる。しゃく解剤は、乾燥作業中にゴムの粘性を減少させる。したがって、当該ゴムは素練りをできるだけ短時間で済ませる必要がある。
(c)SP ラバー(superior processing rubber)
このものは、普通のラテックスとプリバルカナイズドラテックスとの混合物を凝固させることにより又は天然ラテックス凝固物にプリバルカナイズドラテックス凝固物を混合することにより得られる。これらのものを使用すると、押出し成形及びカレンダーがけが容易になる。
(d)純化ゴム(purified rubber)
このものは、他の物質の添加を行うことなく、ゴム製造の通常の工程を変化させること(例えば、ラテックスを遠心分離機にかけること)によって得られる。
このものは、塩化ゴムの製造に、また、ゴムに通常含有されている不純物が存在するとその性能が低下するようなある種の加硫品(電気ケーブル等)の製造に使用する。
(e)スキムラバー(skim rubber)
このものは、ラテックススキムの副産物の凝固によって得られる。
(f)坑結晶化ゴム(anticrystallising rubber)
このものは、凝固前のラテックスに、チオ安息香酸を添加することにより得られる。このため耐凍結性がある。
(C)バラタ
バラタガム又はバラタは赤鉄科(Sapotaceae family)、特に bullet-tree(Manikara bideatata)樹木(主としてブラジル産)のラテックスから得られる。
バラタは赤色を帯びた物質で、50 キログラム未満の塊状又は時々3~6ミリメートルの厚さのシート状で出荷する。
主として、コンベヤ用又は伝動用のベルト及びベルチングの製造に使用する。また、グタペルカと混合して海底電線、ゴルフボールの製造にも使用する。
(D)グタペルカ
グタペルカは、赤鉄科の各種の樹木(例えば、Palaquium 属、Payena 属)のラテックスから得られる。
これは黄色又は黄赤色で、産地によって 0.5 から3キログラムのケーキ状又は 25 から 28キログラムの塊状で出荷する。
また、バラタと混合して、海底電線、ゴルフボール、ベルチング等の製造に使用するほか、ポンプ又はバルブのシーリングリング、亜麻紡績用ローラー、タンクの内張り、ふっ化水素酸用のびん、接着剤等にも使用する。
(E)グアユールガム
このものは、メキシコ原産のかん木(Parthenium argentatum)のラテックスから抽出される。
グアユールゴムは、通常ケーキ状又はシート状で出荷する。
(F)チクルガム
このものは、アメリカの熱帯地方に生育する赤鉄科(Sapotaceae family)のある種の樹木の樹皮に含まれているラテックスから得られる。
このガムは赤色を帯びており、一般に各種の大きさのケーキ状、約 10 キログラムの塊状で出荷する。
主としてチューインガムの製造に使用するほか、外科用テープ、歯科用物品の製造にも使用する。
(G)その他類似の天然ガム(例えば、ジュルトン)
この項に属するために、これらのガムはゴムのような特性を有していなければならない。
(H)前述した物品の相互の混合物

この項には、次の物品を含まない。
(a)40.02 項の物品とこの項の物品との相互の混合物(40.02)
(b)凝固の前又は後にこの類の注5(A)で許容されていない物品を配合した天然ゴム、バラタ、グタペルカ、グアユール、チクルその他これらに類する天然ガム(40.05 及び 40.06)


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