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【大月書店通信】第189号(2024/10/31)
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「大月書店通信」第189号をお届けします。
在日朝鮮人や在日コリアンによく向けられる言説に、「祖国へ帰れ」「出て行け」、少していねいな「お国にお帰りください」といったものがありますが、これらは「ヘイトスピーチ解消法」が定める「排除類型」ヘイトスピーチの典型例です。法務省もそう解説しています(こちらをご覧ください)。「帰れ」を「お帰りください」とていねいに言おうとも関係ありません。
ヘイトスピーチ類型のなかでも、「○○人は殺せ」などの「害悪告知類型」は脅迫罪(刑法)や平穏生活権侵害(民法)で、「○○人はゴキブリだ」などの「侮辱類型」は侮辱罪(刑法)や名誉感情侵害(民法)で訴えることが可能です。しかし、「排除類型」は、ひとつの見解や意見の表明だと見られがちで、現在の法律で訴えることはきわめて困難でした。
それを突破したのが、10月新刊『「帰れ」ではなく「ともに」――川崎「祖国へ帰れは差別」裁判とわたしたち』で紹介する横浜地裁川崎支部判決(2023年10月12日)です。
川崎・桜本に暮らす崔江以子(ちぇかんいぢゃ)さんは、ネット上で加害者から4年にわたって誹謗中傷を受けてきました。2022年1月、「多文化共生のまち」川崎の人たちの支援を受けて、泣き寝入りせずに裁判に訴えました。そこで勝ちとったのが、「祖国へ帰れ」はヘイトスピーチ解消法のヘイトスピーチにあたり、差別で違法だから損害賠償100万円を支払え、という画期的判決です。理念法で効果が期待できないと言われた「ヘイトスピーチ解消法」に息が吹きこまれた瞬間でもあります。
日本社会は、外国人と「ともに生きる」ための制度が立ち遅れたままです。どんな法制度やしくみが求められているのか、ぜひ本書の呼びかけに耳を傾けてください。
◆石橋学・板垣竜太・神原元・崔江以子・師岡康子[著]『「帰れ」ではなく「ともに」』
【新刊案内】『「帰れ」ではなく「ともに」』ほか10月の新刊6点
●ヘイトスピーチ解消法を力に次のステップ
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『「帰れ」ではなく「ともに」――川崎「祖国へ帰れは差別」裁判とわたしたち』
石橋学・板垣竜太・神原元・崔江以子・師岡康子[著]1,980円
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ヘイトスピーチ裁判の画期をなす「祖国へ帰れ」は差別で違法との判決。泣き寝入りしない当事者の闘い、「多文化共生のまち」川崎での住民運動の成果である。判決の意義を明らかにし、共生社会実現のための新たな法制度を問う。
●もしも友だちから「死にたい」と言われたら
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『死にたい気持ちに触れるということ――ソーシャルワーカーが見ている景色』
加藤雅江[著]1,870円
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「困りごと」や「死にたい気持ち」を抱える人たちが話してくれた厳しい現実。その声を、ソーシャルワーカーとして受けとめ、地域で安心できる居場所づくりにも取り組む著者が、とくに若い世代に向けて語りかける。
●身近なお酒やたばこの危険、知ってるかな?
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『10代からのヘルスリテラシー お酒・たばこ』
松本俊彦[監修]3,850円
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家族やまわりの大人、友だちからの勧めがきっかけで軽い気持ちで始めたのに、気づいたらアルコール依存症やニコチン依存症ということも。お酒やたばこの心身への影響、依存症の危険、断りかた、相談先などコンパクトに解説!
●〈ケア〉の関係に社会変革の可能性を探る
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『唯物論研究年誌第29号 ケアと資本主義』
唯物論研究協会[編]3,850円
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新自由主義、グローバリズムが進めた市場化、商品化が社会に浸透する中で、〈ケア〉が注目されている。ジェンダー秩序がもたらす歪みなど、現状の問題点を明らかにするとともに、〈ケア〉を起点とした社会変革の方向を探る。
●特集=ともに歩もう! ジェンダー平等を教育の世界へ
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『月刊クレスコ 11月号(no.284)』
クレスコ編集委員会 全日本教職員組合(全教)[編]825円
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制服選択制やジェンダーレス制服導入が話題だが、男女別名簿や委員会活動での役割分担などに、家父長的な価値観に基づいたジェンダーバイアスが依然として存在する。学校でのバイアス是正の困難や悩みも含めた実践を紹介する。
●特集=シンポジウム「ジャーナリズムが生き残るために」
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『放送レポート 11月号(no.311)』
メディア総合研究所[編]550円
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●ドキュメンタリー台本●番組批評●制作者の素顔●ラジオの現場から●スポーツとマスコミ●映画の中のマスコミ●話題の本から●放送をめぐる動き ほか
【話題の本・本の話題】
今月の書評掲載
●クロード・ルブラン[著]大野博人・大野 朗子[訳]『 山田洋次が見てきた日本』
「 朝日新聞GLOBE+」10月20日
「毎日新聞」10月26日
「しんぶん赤旗日曜版」2024年10月27日号
●須藤遙子[著]『 映画のなかの自衛隊 』
「しんぶん赤旗」10月27日
●高校生平和ゼミナール全国連絡センター[編]『 核兵器と戦争のない世界をめざす高校生たち』
「平和新聞」10月15日
●生田武志・山下耕平[編著]『 10代に届けたい5つの“授業”』
『DEAR News』10月号
●田野大輔・小野寺拓也[編著]『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す』
『Arendt Platz』第9号
●キム・ジヘ[著]尹怡景[訳]『 家族、この不条理な脚本』
「ふぇみん」10月5日
「信濃毎日新聞」10月12日
●森岡浩[監修]『 47都道府県別ランキングがわかる! 名字の事典』
「日本農業新聞」9月29日
『 「帰れ」ではなく「ともに」』出版記念会の記事
「 共同通信」10月12日
「生活ニュースコモンズ」10月13日
「朝日新聞デジタル」10月17日
「毎日新聞」神奈川版10月19日
「東京新聞」10月20日
「民団新聞」10月16日号
『週刊金曜日』10月25日号
【イベント】
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寅さんサミット2024にて『山田洋二が見てきた日本』の著者ルブランさんのサイン会がおこなわれます
先月刊行された『 山田洋次が見てきた日本 』。11月2日、3日に開催される「寅さんサミット2024」で著者のクロード・ルブランさんが来日し、サイン会を行います。ぜひお越しください。
映画『男はつらいよ』の世界に広がる「いつまでも変わらない風景や人情」は、「寅さん」がこよなく愛した風景であり、葛飾柴又が大切にしてきた風景です。映画のロケ地となった各地域のそれぞれの風景を「原風景」というキーワードで結び、これを大切に守り、育んでいく機会として、イベントを開催いたします。( 寅さんサミットHPより)
場所: 寅さんサミット第二会場「松竹寅さんストア」※会場について詳しくは こちら
日時:11月2日(土)13時~14時、11月3日(日)13時~14時
寅さんサミットHPは こちら
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『「帰れ」ではなく「ともに」』の大阪での出版記念会が開催されます
ヘイトスピーチ裁判の画期をなす「祖国へ帰れ」は差別で違法との判決。泣き寝入りしない当事者の闘い、「多文化共生のまち」川崎での住民運動の成果である。判決の意義を明らかにし、共生社会実現のための課題をまとめた本の出版を記念して、出版記念会を開催します。多数のご参加をお待ちしています。(記念会チラシより)
出演者:崔江以子、師岡康子、中村一成、李信恵 他
場所:エルおおさか
日時:11月8日(金) 18時30分~20時30分
参加費:500円
お申込み:不要。当日は直接会場までお越しください
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K-BOOK2024にフェスティバルに今年も出店します!
韓国の文学、エッセイから絵本、人文書までここ数年続々と刊行され、日本国内でも55万部を超える売り上げる作品も登場するなど、“K-BOOK”人気が高まっています。K-BOOKフェスティバルは、いま話題の“K-BOOK”をこよなく愛する人たちの「もっと読みたい、もっと知りたい」という声にお応えする本のお祭りです。
例年通り、K-BOOKを出版する出版社の担当から直接本を購入できるのはもちろん、韓国から著者を招いたイベントや、全国の書店で「K-BOOKフェア」を開催し、盛り上がります。さらに今年は、本の販売に留まらず、韓国雑貨、韓国食品の販売、文化体験など韓国文化を楽しむことができるフェスティバルになります。( イベントHPより)
場所:出版クラブビル
日時:11月23日(土)12時~18時、11月24日(日)11時~18時
【今月の赤旗半4段広告】
![](https://assets.st-note.com/img/1730357132-nBcwdgYFs4Z9SaMkltzVQ36G.png?width=1200)
【編集後記】
あるネット上のサービスで困ったことがあったのですが、電話がいっこうにつながらず、初めてチャットでやりとりしました。結果的には私の記憶違いが原因だったことがわかり、チャットの向こうの〇×さんと「ありがとうございました」「とんでもありません」のやりとりになって終わったのですが、あれは本当に〇×さんという人間だったのか、もしかしてAIだったのか。一度chatGPTで「小林一茶の長男は小林多喜二」という記述を見て仰天したことがあり、どうにも足元の定まらないふわふわした感じがなくなりません(千)