ミクロかマクロか

【感想】
〈国立西洋美術館〉パリ ポンピドゥーセンター キュビズム展 美の革命

お昼を済ませて上野へ向かう。国立西洋美術館の展示を見に行く。昨年も展示を見に行ったから、半年ぶりくらいだろうか。今日は思っていたよりお客さんが多かった。

私は美術史には詳しくはないが、美術館や博物館に行くのは好きだ。作品を鑑賞することはもちろん、展示されている建物も魅力的なところが多い。あの雰囲気が好きだ。
キュビズムの作品についてはすごく興味があるというわけではなかったのだが、ご縁があってチケットをいただいたのでせっかくならばと行ってきた。行ってみればやはり発見があって面白い。

キュビズムの起こった流れを時系列に沿って紹介していたのだが、ピカソとブラックの茶色い絵画たちにしばらく立ち止まっていた。
ミクロか、マクロか。そんなことを考えていた。直線と面がキャンバスに並んでいる。これは一体何だろう。見ていると、自分が試されているような気持ちになる。タイトルにはモチーフの名前と思われるものがつけられている。女性?ギター?絵をよく見ていると、線で区切られた部分、という少し下がった見方から、筆のタッチまで近づいた見方もできる。一見整合性がなくぐちゃぐちゃしたように見える。私たちが見ている世界はものの形はわかるけれど、流動的で移り変わっていくし曖昧でもろい。しかし原子レベルで見たら、均一に揃っていて強固なイメージがある。これは、肉眼で見たモチーフのいろんな面を描いている?それともかっちりとした原子のような美しさも感じられるような。ミクロとマクロを行ったり来たりするような体験だった。

どこで聞いたか忘れてしまったが、作品を鑑賞する時何を感じるのか、それは自分の器によるのだという。何を感じられるかは自分の中にあって、内面が豊かな人は感じるものも豊かなのだ。そのことがしっくりきたのが3年くらい前だろうか。歳を重ねるごとに、作品からもらうものが多くなっていると実感している。同じ作品でも、10年後に見たら全然違う発見があるかもしれない。キュビズムと括られる作品について、今までふうんと通りすぎて来ることが多かったと思うが、新しい気付きを得られて嬉しい。今日もいろんな想像をしながら、歩いた。

おまけ
常設展を見たことがなかったので、閉館まで30分程だったが入ってみた。想像していたより作品が多く、展示も魅力的だった。これ見たことあるぞ!という有名なものもあって、じっくり見られなかったのが残念だった。またゆっくり見に来たい。美術館から出たときの空が、夕焼けが過ぎた後の雲ひとつない青、夜の紺色の手前で月がぴっかり光っていて美しかった。やっぱり冬の空が好きだ、と思った。


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