大塚 篤司

京都大学特定准教授。メラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚がん、アトピー性皮膚炎が専門の皮膚科医です。 がん薬物治療認定医。スイス留学後は新薬の開発、治験、臨床研究などに取り組んでます。https://atsushi-otsuka.com/ twitter @otsukaman

大塚 篤司

京都大学特定准教授。メラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚がん、アトピー性皮膚炎が専門の皮膚科医です。 がん薬物治療認定医。スイス留学後は新薬の開発、治験、臨床研究などに取り組んでます。https://atsushi-otsuka.com/ twitter @otsukaman

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「お医者さんと学校で話そう」出張授業のご案内

学校関係者および保護者の方々へ  「お医者さんと学校で話そう」出張授業のご案内 この度は「お医者さんと学校で話そう」に関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。皮膚科医の大塚篤司と申します。 私はアレルギー(とくにアトピー性皮膚炎)とがんを専門とする2003年卒の医師です。これまで大学病院で患者さんの治療に携わりながら、インターネットで情報発信をしてきました。現在は、AERA.dotとBuzzFeed Japan MedicalなどのWEBコンテンツで医療記事を配信

    • それぞれの舌圧子の使い方 #deleteCリレー連載 (7/8)

      その男の子はお母さんに抱きついたまま大きな泣き声とともに診察室に入ってきた。 怯えた瞳を少しだけこちらにみせ、すぐにお母さんに抱きつくように反対を向いてまた泣き出した。 「お湯を手にこぼしちゃったんです」 心配そうな母親の表情。 ぼくはできる限りやさしい声色を心がけ、静かにその子に話しかけた。 「痛いことしないから見せてくれるかな?」 看護師さんが穏やかに「大丈夫よ」と応援にはいる。 やけどした直後から病院に来るまで一生懸命冷やしていたのだろう。その小さな左手は

      • 型から逃げてはいけないし、型に逃げてもいけない。

        ここ数年、新しいチャレンジをしてきた中で、自分に言い聞かせていることがある。 「型から逃げてはいけないし、型に逃げてもいけない。」 専門的な知識に限らず、一般的な仕事や技術を学びプロとしてお金をもらうとき、”型”との向き合い方がその後の成長に大きく影響する。 基礎を学ぶのは時間もかかるし面倒くさい。 ワクワクした気持ちが推進力になるのは最初だけの場合が多い。 それでも何かを表現したいとき、基本となる”型”を学ばなくてはいけない。 当たり前のこと過ぎてぼくが言う必要

        • 趣味は人間観察でした。(本を出版するにあたって)

          趣味はなんですか?と聞かれたら、「人間観察です」と答えるようにしている。 いや、ついこの間までそう答えていた。 実際に人を観察するのが好きだし、願わくばすべての人の考えていることを理解したいと、壮大に思うこともある。 理解できない発言をする人や行動を取る人に異常に興味を持つ。 ぼくの中で自己紹介の定番となった「趣味は人間観察です」という説明は、仕事以外にほとんど趣味がないぼくにとっては、ウソでもなく他人からある程度理解される都合の良いものであった。 ときどき「おれ(

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          書くことについて

          ここ数年、文章(エッセイやコラム)を書く機会が増え、次第に自分のことがわかってきた。 ぼくは自分が経験したことしか文章に書けない。誰かから「〇〇について書いてください」と言われ、知識だけで経験が伴っていないテーマに満足する原稿を書けたことは少ない。 経験とは、どこどこへ行ったというスタンプラリーのようなものではなく、良くも悪くも“何かを感じたこと”だと思っている。 誰かが感じたことではなく、自分が感じたことを書かないと意味がない。そんな当たり前のことも、書く場を与えられ

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          ストレスで髪の毛を抜いてしまう「抜毛癖」 私が実際に取り組んだ三つの改善法

          私は高校時代、思春期をこじらせ勉強もせずに遊んでばかりいました。成績はみるみる下降し、あっという間におちこぼれました。高校3年の夏に受けたセンター試験の模試はひどいもので800点満点中300点台。 私の家は医者家系ではないのですが、自分が小児喘息だったこともあり将来は医者になりたいと思っていました。高校3年の時、父親が大怪我をしたことがきっかけに「やる気スイッチ」が入りました。毎日猛烈に勉強しました。眠気に負けないように手の甲に針を指して勉強をした日もあります。 自分を極

          ストレスで髪の毛を抜いてしまう「抜毛癖」 私が実際に取り組んだ三つの改善法

          スイスの山々とメラノーマ患者さんの想い

          私はがん免疫療法を2012年から2年間、留学先のスイスで学びました。スイスには、タレントのイモトアヤコさんが挑戦して話題となった山、アイガーがあります。その北壁は「死の壁」と恐れられ、困難で危険な登攀(とうはん)に多くの登山家が命を失いました。アイガーのすぐ隣には、ユングフラウ、メンヒと4000メートル級の山々が連なり、オーバーランド三山と呼ばれています。絶壁が危険な山々とは対象的に、その麓にはゆるやかなハイキングコースが存在します。終着地に存在するクライネ・シャイデックには

          スイスの山々とメラノーマ患者さんの想い

          ワインの繊細な香りに魅せられて

          僕はまだ20代の頃、ワインはとてもおしゃれで洗練されていて高いお酒だとしか思っていなかった。 東京での会議が終わった帰り道、背伸びして新丸の内ビルのワインバーに入ってみた。 ワインが全く解らなかった僕は、カウンターでソムリエらしき人にお薦めを聞きながら鴨のコンフィと赤ワインをいただいた。 「マリアージュ(結婚)って言うんです。」 鴨を食べながらワインを少し口に含む。 赤ワインの香りが口の中で広がり、これまで食べていた鴨とはまた別の味わいを感じることが出来る。初めてワ

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          僕の医学研究の8割はB'z で出来ている

          人生で大きな影響を受けた有名人が僕には2人いる。 1人めは糸井重里さん。 おおよそ15年くらい「ほぼ日刊 糸井新聞」を愛読している。糸井さんの言葉に「ふむふむ」と自分の経験を照らし合わせて考えることが多い。 ただ、今回は糸井さんについては語らない。糸井さんで検索かけてここにきた方ごめんなさい。残念でした。 2人めはB'z。 B'zはボーカルの稲葉浩志さんとギターの松本孝弘さんの2人で構成するロックグループ。今年でデビュー30周年になる。 今回はB'z愛を語りたいだ

          僕の医学研究の8割はB'z で出来ている

          患者さんの気持ちがわかるという勘違い

          ラムゼイ・ハント症候群という病気がある。 水ぼうそうと同じウイルスである帯状疱疹ウイルスが、顔面神経に感染(再活性化)し、顔面神経麻痺を起こす病気。 私は昔、ラムゼイ・ハント症候群にかかったことがある。 スイスへの留学を控えたある日、右耳の入り口から奥にかけて痛みが出現した。 耳掃除した後だったことから、細菌感染を考え抗生剤を飲み始めたが症状は改善しなかった。 そのうち、右目は閉じなくなり飲み物が口からこぼれるようになり”ラムゼイ・ハント症候群”だと気がついた。

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          長い長い病院の待ち時間

          私の母校では、患者さんと外来をご一緒するという授業があった。 予め承諾を頂いた患者さんと病院受付で待ち合わせをする。そのまま外来で呼ばれるのを待ち、一緒に医師の診察を見学する。 検査がある場合は、ご一緒に回らせてもらい、最後の会計まで済ませたらお礼を言って解散。 その感想を後日レポートとして提出する。 私がご一緒した患者さんは、心臓に病気があるご年配の男性。患者さんの奥さんも付き添いで来られている。 「大学病院は丸一日かかるからね。」と、朝一番に患者さんから本日の心

          長い長い病院の待ち時間

          僕が医者になってから頑張っている理由

          僕には医者になった理由がいくつかあります。 そして、医者になってからも頑張っている理由があります。 順番が逆だが、今日は僕が医者になってから頑張っている理由を一つ書こうと思います。 ​ 書籍化に向けて以下は有料にしました。アエラドットでも同様の記事を連載してます。そちらをお読みください。

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          「ニセ医学を撲滅する」という意気込みに対する違和感

          写真家でがん患者の幡野広志さん(@hatanohiroshi ‏)の「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んだ。 幡野さんは1983年生まれ。1976年生まれの私より7つ若い。 2016年、お子さんの優くんが生まれた翌年、多発性骨髄腫という癌を発症し余命宣告を受けた。 そこから、「優くん」に伝えておきたい人生のヒントを書き残した、穏やかで優しい内容が盛り込まれた素敵な本。 この本の中で「優しい虐待」という言葉が出てくる。 幡野さんが末期がんということを知っ

          「ニセ医学を撲滅する」という意気込みに対する違和感

          ほくろの癌 メラノーマ

          ほくろの癌をメラノーマ(悪性黒色腫:あくせいこくしょくしゅ)と言います。 日本人では割と頻度の低い癌です。 2011年の調査では、1年間人口10万人あたり1−2人がメラノーマと診断されているようです。 千葉市の人口がだいたい100万人くらいですので、毎年10-20人はメラノーマを発症する計算となります。 そう考えると、決して少なくはないですね。 メラノーマは増加傾向欧米ではメラノーマの患者さんはもっと多いです。 日本人が10万人あたり1−2人発症するのに比べ、アメ

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