「好き」の自覚

心がゾワっとするタイミングってたくさんあるけど、そのほとんどに音楽が関係しているとわかった時、自分は「音楽が好き」なんだと気づいた。

例えばオールナイトニッポンを聞いている時、オープニングの締めにビタースイートサンバが流れるのが恒例だと知っていても、いざ流れると口角が上がる。

本当に好きなものは、「好き」という自覚が持てないものなのかもしれない。大切なものは失って初めて気づくというけれど、これは真実で、一度楽器から離れたくて離れても結局今はコンサートを主催するくらい、音楽に飢えている。なんて傲慢で執着しているのだろう、と自分を腹立たしく思う時もあるが、演奏中に相手と考えていることが同じだったり、誰かが素晴らしいパフォーマンスをしているのを見聞きすると、本当に楽しくて、時間も忘れてしまう。

英文科に通い、言語が大好きな自分だが、言葉を要さない、世界共通の音楽が持つパワーは果てしなく、偉大だとわかっている。きっと一生やめられないし、この耳を錆びさせたくないし、人に聴かせられるくらいのスキルは保持していたい。

ありきたりな言葉でしか表現ができないのが好きという感情だと思う。自分の心が躍る瞬間を蔑ろにしない、それだけで朝起きるのが楽しみになりそう。

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