月を見に行く父
私の父は、面白い人間だと思う。
プレゼントをすると喜んで、ありがとう、とはっきり言ってくれる。
いろいろなことを知っていて、わからなければ調べる。
私が自分の都合で話しかけても、どのタイミングでも傾聴してくれる。
私の甥、彼にとっての孫の写真を見ると、嬉しそうに笑う。
好きなところはたくさんあるが、理解できない部分も当たり前にある。
高校野球の観戦に行くと、火傷レベルの日焼けをして帰ってくる。
チーズバーガーを買ってくるように頼むと、ビッグマックを買ってくる。
マンションのエントランスの鍵を陥没させていたこともあった。
(全て悪意はない、他笑えない話も有)
そんな父から、生まれて初めて手紙をもらった。
純粋に嬉しかった。
実は照れてしまって、もらってから読むまで4日かかったが、
内容は、自分の父親がこんな言葉を綴れる人間であることを誇らしく思うほど、有り難く、学びになるものだった。
父の目から私や世界はどのように見えているのか、もっと知りたいと思った夜、彼は、"満月らしいから" と言って、寝巻き姿のまま外へ出かけた。