韓国ドラマで知る日本の歴史「緑豆の花」
新聞投稿欄で知った韓国ドラマ「緑豆の花」
1月14日の朝日新聞声欄に「韓国ドラマで知る日本の歴史」と題する投稿が掲載された。興味を惹かれて読んでみた。
投稿者は、韓国ドラマがやめられない、最近見た韓国ドラマ「緑豆の花」のストーリーを紹介していた。日本の歴史教科書では、東学党の乱(甲午農民戦争)として知られる蜂起を巡るストーリーだ。私も恥ずかしながら、「東学党の乱」という言葉は覚えていたが、詳細は知らない。一度見てみようと、全48話視聴した。
https://culture-pub.jp/midori/
東学党の乱とは、朝鮮王朝末期の地方役人の無理な取り立てなどに抗議する農民蜂起だ。
東学党の乱(甲午農民戦争)から日清戦争までを描くドラマ
東学とは
数次の蜂起により、劣勢に立った朝鮮政府は、清国に出兵を要請。天津条約を理由に、日本軍が朝鮮に出兵。この動きに朝鮮政府と農民軍は全州で和解し、清国、日本、両軍に撤退を求めた。ここまでが「緑豆の花」の前半のストーリーとなる。
このあたりの詳しいストーリーは国立公文書館のアジア歴史資料センターにも掲載されている。
日清戦争の端緒は日本軍の王宮占領、そして日本軍最初のジェノサイド
このドラマの後半は、日清戦争の端緒が日本軍の朝鮮王宮占領から始まり、再び蜂起した農民軍と日本軍との闘いが描かれる。ここで日本軍の川上操六参謀次長より「東学党に対する処置は激烈なるを要す。向後悉く殺戮すべし」と電報を打つ。竹やりで闘う朝鮮の農民たちを、日本軍は近代兵器により殺害し、日本軍最初のジェノサイド作戦となったと言われている。
日清戦争は朝鮮を舞台にして始まり、最も犠牲者を出したのは、日本でも、清国でもなく、朝鮮であり、その数3万人ともいわれている。
司馬遼太郎「坂の上の雲」で描かれた日清戦争
日本人の日清戦争は司馬遼太郎の「坂の上の雲」で描かれたイメージがある。中塚明著『司馬遼太郎の歴史観 その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う』で司馬遼太郎が書かなかった日清戦争三つのキイが紹介されている。
日清戦争に日本政府は消極的であったとする解釈や、東学農民戦争への解釈など司馬史観への批判が並ぶ。
ドラマ「緑豆の花」では、詳しくこの部分が描かれる。
緑豆将軍と呼ばれた農民軍の指導者 全 琫準(チョン・ボンジュン)、そのチョンボンジュンをうたった朝鮮民謡「セヤ セヤ パランセヤ」についても、このドラマを見れば理解できた。
ドラマ「緑豆の花」は、通販生活のコラムで辛淑玉さんが最高傑作と評している。
声欄の投稿者は、「韓国ではよく知られている歴史が、日本ではほとんど知られていないこのギャップ。」と指摘しているように、このドラマによってギャップをあらためて知ることになった。まさに、韓国ドラマで知る日本の歴史だった。
ドラマは、U-NEXT、Hulu、dTV、アマゾンプライムのアジアプレミアムで視聴可能だ。