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命の羽衣と精霊の絹糸:第3話:「精霊の森への逃避」(協力:ChatGPT)再改修版

割引あり




第3話:「精霊の森への逃避」

 燃え盛る工房を背に、私は息を切らしながら暗い森へと駆け込んだ。
 レイ、ハク、ノアも後ろを追ってくる。

 「くそっ……これじゃ夜逃げと変わらねえ……!」
 ハクが荒く息を吐いた。

 「今は生き延びることが先よ!」
 レイが鋭く言い放つ。

 街の外れに広がるこの森は、精霊たちの眠る場所だと伝えられていた。
 しかし、今やそれどころではない。

 ——ギャアアアア!!!

 背後で獣の咆哮が響いた。
 まるで熱を帯びた風が追ってくるように、背中に焦げるような感覚が走る。

 私は、握りしめた布切れを強く抱きしめた。
 なぜか、この布だけは手放す気になれない。


黒い炎と影の翼

 森の中に踏み込んでしばらくすると、木々の影が私たちを包み込んだ。
 だが、暗闇の奥から、何かがこちらを見ている気配がする。

 「気をつけろ……まだ追ってきてる」
 ノアが低く言う。

 振り返った瞬間——森の入口で、影が揺らめいた。

 それは、まるで風にたなびく黒煙のようだった。
 だが、ただの煙ではない。
 炎の揺らぎを内包しながら、ゆっくりと形を変えていく。

 次第に、人の形をした何かが浮かび上がった。
 獣の四肢を持ち、顔の部分には仮面のような赤い光が揺らめいている。
 背中には影の翼が広がり、羽根の代わりに渦巻く炎がそこにあった。

 「……やっぱり来たか」
 レイが舌打ちする。

 それは灯と風の精霊が混ざり合い、暴走した異形。
 だが、もはや精霊の意思は感じられない。

 精霊が食い合い、その結果として生まれた化け物——。

 理性を持たない存在は、私たちを見つめると一気に地を蹴った。


逃げ場のない追撃

 「散れ!」
 ハクの叫び声と同時に、私たちは四方へと飛び退いた。

 獣が着地した瞬間、地面が抉れ、熱風が爆ぜる。
 木々が弾け飛び、森の一角が炎に包まれた。

 「ちょっ……待って、こんなとこで戦うの!?」
 私は焦って叫ぶ。

 「違う! 時間を稼ぐだけ!」
 レイが印を結び、地面に手を突く。

 その瞬間、彼女の周囲に光の粒が舞った。
 精霊の気配が、ほんのわずかに満ちる。

 「この森には、まだ生きている精霊たちがいる……! でも、今のあれは異質すぎる……!」

 獣は一瞬だけ動きを止めた。
 だが、すぐに鋭い爪を振り上げ、レイに向かって飛びかかる。

 「危ない!」

 私は咄嗟にレイの腕を引いた。
 次の瞬間、獣の爪が地面を引き裂き、土が舞い上がる。

 「こんなの相手にしてたら、こっちがもたない……!」
 ハクが叫ぶ。

 「とにかく、もっと奥へ!」
 ノアが森の中を指さす。

 私たちは森の奥へと走った。


精霊の眠る場所へ

 どれほど走っただろうか。
 森の中で、急に風が止まった。

 まるで、私たちの足を止めるかのように。

 「……何?」

 私は息を切らしながら立ち止まる。

 森の奥には、大きな泉が広がっていた。
 水面は静かで、月の光を映している。

 レイが息をのむ。

 「ここ……精霊の眠る場所だわ」

 「ちょ、ちょっと待って。じゃあ、あの化け物をここに連れ込んだってこと……?」
 ハクの顔が青ざめる。

 振り返ると、森の入口にいた獣が、ゆっくりとこちらへ向かっていた。

 そして——

 森の静けさを裂くように、泉の水が波打った。

 何かが目を覚まそうとしている。

(第4話:「生の精霊の試練」へ続く)

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