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シュレーディンガーの子猫 ~乱舞:セクション11~

今の自分の状態が夢の中にあるということを思い出し、自分の夢ならばコントロールできるだろうとそっと目を開けると、内線の音が響く。
「夢の中でまで呼び出しか」
僕は面倒だなと思いながら電話の受話器を上げた。
夢の中でまで上司に呼び出されるなんて、なんて悪夢なんだ。
僕は渋々、上司の元へ向かった。
上司の元へと向かうと僕がこれまでに対応したチャット履歴をプリントアウトした用紙を見せてきた。
「お前、今まで自分が何をしてきたのかわかってるのか?」
もちろん分かっている。
面倒な夢だな。
ああ、そういえば昨日こういうやり取りがあったんだ。
そう思いだした。
夢の中で反復学習か、これはしんどいな。
「わかってるのかって聞いてんだろ!答えろ!」
クソメンドクセー
「分かってます。何かダメですか?」
どうやら上司の怒りは頂点に達しているようだった。
うん。覚えている。
昨日と同じ。
「バカヤロー!この仕事がどれだけ大事な仕事なのかわかってるのかよ!お前がやってることは詐欺だよ!お客様との関係を何だと思ってんだ!こんな馬鹿なやつだとは思わなかったよ!お前みたいなやつはここから飛び降りて死んじまいな!」
おっとアブね。
そう、昨日もこんな感じ。
お前の足は短えな(笑)
僕はもっと修羅場みたいな所にいたから、この程度の蹴りは簡単に避けれるよ。
前にいたところなんて、もっと怖い顔のおじさんがいっぱいいたしね。
「馬鹿は死んでも治らないって言うからな。お前がここから飛び降りて死んでも馬鹿は馬鹿なままだって、生きてる価値ないね。給料払うの止めたほうがいいってことだ。そうだ。来月の給料は差し押さえるから、お前に一円も払うなんて勿体無い」
足が届かなかった負け惜しみか。
最悪だ。
本当に最悪だ。
買いたかったものが、もうすぐ購入できると思っていた高揚感が台無しだ。
なんでこんな無能な上司の言いなりにならなきゃならないんだ。
僕のチャット対応の何が行けなかったっていうんだよ。
ちゃんと「敵意帰属バイアス」メンヘラなヘイター野郎たちを黙らせてやってるじゃないか。
無駄な労力を根こそぎむしり取ってやってる僕の苦労をないがしろにしやがって、本当にイラつく。
昨日のことだったとしても、この苛立ちは当分忘れることはできそうもないな。
昨日もこうだった?
同じだった?この後どうなったのか、実はあまりの苛立ちで思い出せないな。
後ろにある職場に戻る扉から出た記憶がない。
僕はこの後どんな行動をしたんだろ?

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次回予告:

「みゃ~お」
「うわっ!びっくりした。なんでここにネコ?」
まだ小さいその子猫は、僕の足にまとわり付いて、スリスリしている。

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