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命の羽衣と精霊の絹糸:第6話:「封印された遺跡」(協力:ChatGPT)再改修版

割引あり



第6話:「封印された遺跡」


静寂の街

 暴風が去った後の街は、まるで嵐が嘘だったかのように静まり返っていた。
 けれど、ただの静寂じゃない。夜が明け、朝日が瓦礫に長い影を落とす頃になっても、人々はまだどこか落ち着かない様子だった。風が運んだ異変は、嵐そのものだけじゃなかったのだ。

 市場では、露店の主たちが散らばった果物や陶器を拾い集め、鍛冶屋では崩れた壁の修繕が始まっていた。
 昨日までとは違う景色——けれど、それでも人々は前に進もうとしていた。

 私も、その光景をぼんやりと眺めながら、自分の部屋に腰を下ろしていた。

 手には、あの布切れ

 私はそれを何度か握ったり広げたりした。確かにこれは、ただの布のはずなのに……。

 風が反応した。

 あの瞬間、風はまるで意思を持っているように、この布に引き寄せられていた。それは偶然なのか、それとも——。

 「……考えても仕方ないか」

 ため息をつきながら、布をお出かけセットの袋にしまう。
 最近はずっとこれを持ち歩いている。理由は分からない。でも、どこかで「なくしちゃいけない」と思っているのだ。

 外から、子どもたちの笑い声が聞こえた。

 まるで何もなかったかのように、彼らは遊んでいる。風の精霊が暴走し、街が嵐に飲まれたことなんて、もう遠い過去のことみたいに。

 ……でも、本当にそうだろうか?
 レイの最後の言葉が、まだ頭から離れない。

 「……これは、ただの始まりよ」

 何が始まるというのだろう?
 何か、もっと大きな問題が迫っているのか?

 不安を振り払うように、私は立ち上がった。

 外に出よう。少し、街を歩いてみよう。


数日後:遺跡の報せ

 それから数日が経ち、街はようやく元の活気を取り戻していた。

 鍛冶屋の火は再び灯り、市場には新しい商品が並ぶようになった。
 夜には酒場の灯りがともり、人々はあの嵐を「奇妙な天災」として片付け始めていた。

 だが、その平穏は長くは続かなかった。

 「キカ、いる?」

 ある日、朝早くにレイが訪ねてきた。

 私はまだ目が覚めきらないまま、扉を開けた。
 レイは普段と違い、どこか神妙な顔をしていた。

 「どうしたの?」

 彼女は少し口ごもった後、小さく言った。

 「……遺跡の封印が、緩んでいるかもしれないの」

 私は一瞬、言葉の意味が分からなかった。

 「……遺跡?」

 「うん。祠の地下にある、あの封印のこと。昨日、異変があったの」

 風の精霊の暴走。
 祠で見た、影のようなもの。
 そして、レイのこの言葉。

 すべてが、一本の線で繋がっていく気がした。

 「……行くべき?」

 レイは、静かにうなずいた。

 「たぶん、私たちが確かめないといけない」


遺跡へ向かう決意

 私は、そっとお出かけセットの袋を手に取った。
 その中には、あの布切れが入っている。

 遺跡へ向かう前に、それをしっかりと袋の奥にしまい込む。

 ……これは、ただの布切れじゃない。
 風が、それを証明した。

 「……行こう」

 そう言って、私は扉を閉めた。

 静かな朝の風が、そっと頬を撫でた。

(第7話:「封印の奥へ」へ続く)

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