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12/1の破壊者

12/1
1分の12
12星座
12単衣
12干支
そして
12月1日
今年最後の月が始まる。

クリスマスまであと24日。
今年は災難続きだったが、今日ほどの災難は想像もしていなかった。

今日一日に起きたことを振り返る。

ひとつ、
長年働いていた会社が倒産した。
ふたつ、
借金が山積みとなり明日食べるお金がなくなり
家計をなんとかギリギリ持たせていた家庭が崩壊した。
妻は子供たちを連れて家を出て行き、実家に帰ってしまったが、連れ戻す口実は見つからない。引き返せないところまで来てしまった。
みっつ、
食べる金もなく、腹が空き過ぎて思わず手にとったアンパンを持ち逃げ……
窃盗犯になる、今も警察に怯えながら逃げている。
罪を罪と思わなくなる。
よっつ、
走ってくる自転車のカゴに入っている、おそらく今日の夕飯と思われる買い物袋を奪い取り、自転車を蹴り飛ばし逃走、その自転車に乗っていた女性に軽傷を追わせる。
どんどん自分の罪が重いものへと変わる。


どこで引き返せば良かっただろう。
いつつ、
空き巣、一人暮らしの女性の部屋に押し入り、女性を監禁しながら、今日奪った買い物袋の食料品を使い、夕食を作り、食事する。
この部屋に一人暮らしの女性は、気の毒に思うが、手足を縛らせてもらい、口を塞いで騒げないようにして、今晩静かに眠らせてもらう。
朝になったら、どうしようか。
外に出れば、窃盗犯、暴行犯。
警察に見つかれば、即逮捕だろう。
見つからずにこの部屋から出ても、この部屋の女性が警察に知らせれば、俺は簡単に捕まえられてしまうかもしれない。
もう逃げ道なんてないんだ。

今年は、最高のクリスマスで終わるはずだった。
幸せな家庭の演出もさほど悪くない仕上がりに出来たはずだった。
その全てが無くなった原因。会社の倒産だ。
会社の運営費を盗難して逃げた経理担当を探して殺してやるか、多額の保険金で今ものうのうと生きている社長宅に忍び込んで、財産を没収してやろうか。

どうしてこうなってしまったのだろう。
悪巧みしか思いつかない。
俺はこんな人間だったのか。
醜いなあ。生きていて辛い。

助けてくれ。
この言葉がもっと早く言えていたら、良かったのかもしれない……
もう、遅すぎるんだ。

ぼんやりと眺めた窓の外は、クリスマスのイルミネーションが輝き、何故かとても美しく見えた。

その明かりは涙で滲んでいた。

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