１２／５の破壊者

１２月５日。
私は４日間も仕事をサボっている。
なのに、誰からも電話が掛かってこない。
また、無断欠勤だと思われているのかもしれない。
職場へ行ったら、お前は首だとか言われるのだろう。
私のことを心配してくれる人は誰もいない。
今度こそは、頑張ろうと思ってなんとか勝ち取った仕事。

だけど、頑張れなくて一ヶ月前に無断欠勤してしまった。
朝、目が覚めたら遅刻の時間、寝ている間にかかってきていた電話の数。
録音されている怒鳴り声。
出勤するのが怖くて、次の日も休んでしまった。
でも、このままではまた仕事が無くなってしまうから、勇気を出して出勤。
やっと仕事にも慣れてきたのに、また無断欠勤になってしまった。

荷物もなく引っ越してきて、やっと落ち着ける部屋になった一人暮らしなのに、どうして今、知らない男が私の家にいるのだろう。

アパートの鍵が回り難くて、鍵を閉めないで仕事に行っていたから、不用心だけど、誰にも入られないと思っていた。
こんなボロアパートに金目のものなんてないから、強盗も入らないと思っていた。

もう、貯金もない。お金も底をつきそうだ。
仕事もなくなる。今月の給料もまた貰えない。タダ働きしただけになる。

もう生きていけない。

この男もお金がないみたいだ、食べ物がそこを尽き、パニックになって部屋を荒らしている。
入る家を間違えたんだよ。私の家なんかに来ても何もないよ。

もういっそ、このまま殺してくれないかな。
その前に餓死して死にそう。
１日から何も食べれてない。
この男、自分だけ食べて、私には何もくれないんだもの。
はぁ、お腹へったなあ。
最後にクリスマスケーキでも食べたい。
甘いやつ沢山頬張って死にたい。

トイレに行きたいと言えば、っていうか口を塞がれているから、態度でしかわからないんだけど、「んーんー」と禰豆子のようにしか話せないから、声が届くまで時間がかかって、チビリそうになる。

最初のときは、全然通じなくって、涙流して「んーんー」と訴えたけど、もう力も尽きてきて、声も大きな声出せない。

次きたら、私そのままここに……
いや、それだけはいや……
ああ、もう誰かなんとかしてよ。この状況……