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『風鬼の金棒と精霊の金塊』:第4話『異型の精霊の出現』(協力:ChatGPT)

割引あり



第4話『異型の精霊の出現』

俺は冷たい風を背に感じながら、街を見渡していた。まだ、崩壊の兆しはあっても、そこまで深刻ではない。しかし、街の中で繰り広げられる戦闘の音が耳をつんざくように響き、心の中で何かが確実に壊れつつあることを感じていた。

「クー、もう来るよ!」

キカの声が響く。彼女は俺の隣で、風の精霊を宿した武器をしっかりと握りしめ、震えるような表情で周囲を警戒していた。異型の精霊の一団が街に現れたのは、数日前からだ。まずは水の精霊が捕食された。それから次々と生まれた異型の精霊たちは、無差別に街を侵食し、俺たちの戦いを挑んでくる。

「一度倒したところで再生する……か。」俺は、思い通りにいかない現実に苛立ちを感じながら、金棒を構えた。

俺の金棒は未完成だ。だが、それでも異型の精霊に立ち向かうには充分な威力を持っている。風鬼の金棒が完全に機能すれば、精霊を制御する力を発揮できるだろう。しかし今は、その力を未だ手に入れていない。だからこそ、俺たちは戦うしかない。

「クー、こっち!」キカが指を指すと、3体の異型の精霊がこちらに向かって歩み寄ってきた。それぞれ異なる姿をしているが、どれも恐ろしい存在だ。

最初に近づいてきたのは、液体のようにうねりながら形を変える水の精霊。触れたものを溶かすその力に、俺はすぐさま金棒を振り下ろした。だが、叩いたところでそれは一時的な打撃に過ぎない。水の精霊はすぐに再生して、さらにその姿を崩しながら俺に迫ってくる。

「このままじゃ……!」俺は足を踏み出し、次の攻撃を考えた。だがその瞬間、キカが叫んだ。

「風の精霊が――!」

一瞬、目の前が揺らいだ。風の精霊がその体を失っていく。異型の精霊たちに食われてしまったのだ。力を吸われた風の精霊は、力尽きて消えていった。その場で生まれたのは、異型の精霊の一体。こいつは再生するのか、変形するのか、俺にはまだわからない。

だが、目の前で起きた出来事は、それ以上の衝撃を俺に与えた。

「これが……」俺は呟いた。

風の精霊が異型の精霊を逆に食べた瞬間、その体が一変した。徐々にその場に現れる。精霊の金塊だ。

だが、戦いは想像以上に厳しかった。次々と精霊の金塊も風の精霊も異型の精霊に捕食され、再生能力を持つ異型の精霊がどんどん強くなっていく。俺たちがいくら戦っても、どこかでその力は消耗し、異型の精霊がますます暴力的になる。

「精霊が精霊を……食べるのか?」俺はその光景にしばらく呆然とした。

キカが隣で息を呑む。「こんな形で……本当に神器に使ってもいいの?」

その問いに答えられないまま、俺は金棒を握り直した。今は目の前の敵を倒さないと、街が壊滅する。俺たちは戦い続けるしかなかった。

「迷っている暇はない!今は目の前の者を守ることが最優先だ!」俺はそう叫びながら、異型の精霊に向かって金棒を振るう。

その時、周囲が急に静まり返った。風が止んだような、異様な空気が漂った。

「マカニ……?」

俺の目の前に現れたのは、風の精霊王、マカニだった。彼の登場により、異型の精霊たちが一瞬で吹き飛ばされた。彼が発した風の力が、空気そのものを切り裂いていく。

「自由な精霊がどれほどの脅威を生むか、今お前たちは見ているはずだ。」マカニはその鋭い目で俺たちを見据えた。

その言葉が、俺の胸に重く響く。水の精霊が自由に生きることが、これほどまでに危険だとは思いもしなかった。だが、それが精霊王の視点なのだろう。

「精霊の管理が必要だということを、今一度考えろ。」マカニは冷徹に告げた。

その言葉を胸に、疑念が俺の心に巣食っていた――本当に、この戦いは正しいのか?

(第5話『風の精霊王の試練』へ続く)

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