男性牧場、そして女性社会へ
午前中につぶやいた超ショートショートを妄想していたら、こんな結果になってきた。
男は牧場で飼育され、女は自由に
男性牧場はこうして生まれた。
シンギュラリティが起きて、男の労働は減っていった。
経済的価値を創出する役割は、少しずつ女が勝ち取る方が良いとされ始める。
政治を担うのにも、大統領、首相、名だたるTOPを選挙によって勝ち取ってきた女の存在感は、これまで男がリーダーシップを発揮してきた実績を遥かに越えて優秀な働きを見せていた。
政治家に女をという後押しは、年々高まりを見せ、女の実権は企業のTOPにも増えてくる。
女が多くの場所で指揮系統を獲得し始めると、男の居場所はどんどん少なくなっていった。
やくたたずの男が職場にいることすら気に入らないとばかりに、男の職場は奪われていった。
何処にも居場所がなくなってきた男であったが、唯一これだけは男でなければならないという部分が残された。
そのためだけに、男を利用する。男は買われるようになる。
優秀な遺伝子を残すため、身体的性能評価を行うトレーニング施設に運ばれ、教養を育むための頭脳テストは定期的に実施された。
男は長く生き延びるためだけに、トレーニングを行い、教養を育んだ。
成績表は公開される。もちろん、身体的に隠すべきところはなくなった。
大事なのは、肉体美であり、頭脳であり、整った顔なのかどうかだった。
やくたたずの男は、経済的に生きている価値がないとされた。
その管理を行っている場所が、男性牧場だった。
男性牧場から出荷されるのは、遺伝子だけだった。
男がその牧場から生きて外に出ることは許されていない。
遺伝子だけが買い物カゴに入れられて、運ばれる。
遺伝子構造と、遺伝子構造を繋ぎ合わせる試験管の中で、男の本領が発揮されたのだ。
男性牧場は、男だけの社会となっているかのようであった。
女性だらけ?の女性社会へ
その反対に女は、自由だった。
男性牧場は、飼育され育てられ、競争激しい社会となっていたが、女性社会は、自らの選択と意思で、社会に必要だとされる責務を全うしていた。
男どもは相変わらずやくたたずで、ただ育てられる事に安泰としていて、まるで仕事をしない引きこもりニートみたいな存在だと、軽視していた。
仕事をさせれば優秀に働く男もいただろう。
しかし、社会はそれを許さなかった。女の集団圧力は、力強く。回り始めた歯車は止めることができずに、男の仕事を奪い取っていった。
自分好みの男を男性牧場から買い取って放し飼いにすることは禁止された。
それを行った事で、事件が起きたからだ。
女は嫉妬し、残虐な事件が多発した。
そのため、男性牧場から男を引き取ることが出来なくなっていった。
それでも女性社会は自由だった。
私の男というシールを貼ることは中々出来ない。大金をつぎ込めばそれは可能ではあったが、よほどのことがなければ、金は積まれなかった。
優秀な遺伝子の無駄遣いは出来ないので、男の取引にはお金が必要になった。
どんな事件を引き起こすかわからない男は、男性牧場から出ることはできない。
女性社会と男性牧場の狭間に、2つの性別が行き来できる場所は用意され、秘密の施設となって存在している。
男の出荷先はそこまでで、そこから先の自由は存在していない。
その狭間の施設に、常に出入りする権利のある男は、男性牧場でももっとも優秀な男たちだけだった。
男は選ばれて運ばれるだけだったが、女と出逢えば培った技術を利用してストレス解消やリンパマッサージなどの技術を盛り込みに、次も呼んでもらおうと女の足にしがみついた。
不慮の事故で妊娠発覚
計画的妊娠という方法があるが、不慮の事故で妊娠する事もあった。
計画的妊娠は、計画的に女の子が作られる。
しかし、不慮の事故で妊娠した場合は、どちらが生まれるのかは、子供がある程度形づいて来ないとわからないのは、昔からさほど変わりはなかった。
その時、どちらが生まれるのか、男なら男性牧場で育てられ、女なら女性社会で子育てしても良いことになっていた。
子育てを専門に扱う施設もあり、概ねそこで育てられることも多かった。
好きな時に好きな場所へ行けるのも、好きな食べ物を食べれるのも、好きな時間で遊べるのも、全て許されている女性社会で、子育てに時間を取られるのを嫌がる人も多くいることは確かである。
ただ、子育てしたい人も確かだった。男の子を育ててみたいという女もいる。
将来は、男性牧場の管理人として活躍できるように、子育てから経験を積んでいこうという人も多くいた。
10歳までの男女は、そんな子育て施設で育てられる。
この子育て施設内だけが、男女入り乱れており、男の比率が若干高いという、昔の社会構造を描いているかのような経験を積める場所となっている。
10歳を越えると男は男性牧場へ送られ、女は自立するために自らの職を探すため、教育現場を転々と移動した。
どうして!俺たちだけが
男たちの反乱が起きたこともある。男は傲慢だ。
俺たちに自由を!をスローガンに団結した男たちは、その昔狩猟民族であった力を振りかざし、暴れに暴れまくった。男にとっての本職はまさにこれに尽きる。
暴れることにおいて、右に出るものはいない。そのためだけに存在しているかのように、暴れた。
しかし、あっけなく鎮圧された。
高度成長した社会では、男の腕力など、ロボットの力には叶わなかったのだ。何度も反乱した結果、女性社会で作られるロボットは優秀になり、腕力で男を勝り、そしてあっけなく鎮圧された。
どうして俺たちだけがの声はこうして、静まり返り、男たちは手足の自由を奪われ、定期的に義務付けられた運動以外で、体を動かすことも出来なくなっていく。
男たちは羊水槽と言われる羊水の成分で作られた水溶液の瓶の中に沈められ、定期的に起こされて運動を強要され、睡眠学習を強制的に施行されるだけの存在へと変わっていった。
気がつくとそこは、ロボットと女性だけの社会
長い年月をかけて、男性は忘れ去られ、歴史の教科書に登場するに留まり、不慮の事故による妊娠が起きなくなると、計画的に男性は量産され、羊水槽で成長を見送られるだけの存在へと変わっていった。
女性たちは、植物を見るかのような感覚で、男から種を取り、人を育て始めた。
いつしか、地球は統制の便利さを理由に、一つの国家だけになっていた。
そこは、ロボットと女性だけの社会。
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